「腹筋をしっかり割りたい」「立体的なシックスパックを作りたい」と思っている人も多いでしょう。しかし、やみくもに腹筋トレーニングをするだけでは、なかなか効果を得られません。
腹筋を鍛えるには、各部位を意識した効率的なトレーニングをおこなうことが大切です。
この記事では、腹筋の種類(部位)ごとに効率良く鍛えられる、9種類のトレーニング方法を紹介します。あわせて、トレーニングのコツやポイントも解説しますので参考にしてください。
腹筋の種類(部位)を解説
腹筋といえば、お腹全体を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
腹筋には腹直筋・腹斜筋・腹横筋の3つの部位があります。腹筋トレーニングを始める前に、それぞれの位置や特徴を確認しておきましょう。
腹直筋
腹直筋とは、恥骨から肋骨あたりにかけて広がっている、お腹の前面にある筋肉です。平たく長い筋肉で、腹直筋の中央部分や左右上下を隔てるように白線があります。この隔てられた筋肉が発達することにより、シックスパックが叶います。
腹直筋は身体を前に曲げたり、横に倒したりするときに使います。ムキムキになりたい人、腹筋を割りたい人はもちろん、ダイエット目的の場合も意識したい部位です。
腹直筋を鍛えると、体幹のコントロールや、姿勢・体型維持に役立ちます。
腹斜筋
腹斜筋とはお腹の横にある、脇腹の筋肉のことです。表層部を外腹斜筋、深層部を内腹斜筋といいます。腹斜筋が発達すると、腰にくびれができてスマートに見えるようになります。
腹斜筋は日常的に、身体を曲げたり、回転させたりするときに使います。スポーツでは、テニス・ゴルフ・野球など身体をねじる動作の多い競技で必要とされます。
腹斜筋を鍛えることにより体幹が安定します。歩く・走る・飛ぶ・登るなどの動作の際に脚への負担が減り、動作が楽になるでしょう。
腹横筋
腹直筋とは、内臓を包み込むように位置する筋肉です。内臓を守るインナーマッスルで、外からは見えない部分のため意識的に鍛える必要があります。
腹直筋は体幹と腰まわりを安定させてくれるため、コルセットのような役割を担っています。「せきやくしゃみをするたびに身体が痛む」「排便に力が入らない」という人は、腹直筋が弱っているのかもしれません。
腹直筋を鍛えることにより、腹圧や体幹の安定性が高まります。どのようなスポーツでも必要な筋肉のため、鍛えておいて損はありません。
腹直筋の鍛え方
お腹前面の筋肉を割りたい場合は、腹直筋を鍛えましょう。体脂肪率を落とすことも大切ですが、腹筋を割るためには効率の良いトレーニングが欠かせません。
以下、腹直筋を鍛えるために有効なトレーニングを3つ紹介します。
リバースクランチ
リバースクランチは、腹直筋の下部を鍛えるのに有効なトレーニングです。
1. 仰向けになり、両手を床につける
2. 膝を90度に曲げて両足を天井に向けて上げる
3. さらにお尻を持ち上げて膝を胸へと近づける
4. ゆっくりお尻を下ろして下の位置に戻る
仰向けになる際は、腰が浮かないようしっかり床につけます。お尻を上げるときは、骨盤を丸めるよう意識しましょう。
最初は10回3セットを目安におこなってください。
リバースクランチは、以下の動画でも詳しく解説しています。
ジャックナイフ
ジャックナイフとは、V字腹筋とも呼ばれる高強度なトレーニングで、シックスパック作りに欠かせません。
1. 仰向けになり、両手・両足を天井に向けて上げる
2. 伸ばした状態の両手・両足をさらに持ち上げV字を作る
3. V字のままゆっくり両手・両足を下ろす
4. 両手・両足は床につかないようキープして再度V字を繰り返す
V字を作るときは、反動を使わずゆっくりおこないましょう。お腹の真ん中が支点になるよう意識します。手でつま先にタッチするイメージを保つと、しっかり負荷がかかるのでオススメです。
ジャックナイフは、以下の動画でも詳しく解説しています。
レッグレイズ
リバースクランチと同じく、腹直筋の下部を鍛えるトレーニングです。お腹のお肉を落とし、スッキリさせる効果が期待できます。
1. 仰向けになり、両足を床と垂直になるくらいまで上げる
2. 両足をそろえながらゆっくり下ろし、床につかない位置でキープする
3. ゆっくり戻して繰り返す
両手はお尻の下や横に置きましょう。腰が反らないよう、お腹やお尻にしっかり力を入れておこないます。反動をつけて両足を上げ下ろしすると、腹筋への効果が薄れてしまうため、ゆっくりおこなうのがポイントです。
レッグレイズは、以下の動画でも詳しく解説しています。
腹斜筋の鍛え方
美しいシックスパックを作る、または腰のくびれを作るためには、脇腹の筋肉である腹斜筋のトレーニングが必要です。
以下、腹斜筋を効率良く鍛えるための3つのトレーニングを紹介します。
ツイストクランチ
ツイストクランチは、身体をひねりながら外腹斜筋・内腹斜筋の両方に強い負荷を与えるトレーニングです。
1. 床に仰向けになり、両手を耳の後ろあたりに置き、両膝を90度に曲げる
2. 対角の肘と膝を近づけるように上体を丸めながら身体をひねる
3. ひねった位置で1秒間静止したあと、下の位置に戻る
4. 反対側も同じようにひねる
上半身が起き上がりすぎると、効果が半減するので注意が必要です。慣れてきたら、身体をひねった状態をキープしてさらに負荷をかけてください。
ツイストクランチ関連のトレーニングは、以下の動画でも詳しく解説しています。
サイドプランク
サイドプランクとは、体幹を鍛えるために有効なプランクの一種です。横向きでおこなうプランクのため、脇腹の腹斜筋をしっかり鍛えることができます。
プランクとは、うつ伏せになって前腕・肘・つま先を床につけて、身体全体を浮かせてまっすぐに保つトレーニングです。
1. 左半身を下にして横向きになる
2. 上半身を起こし、左肘を曲げて脇の下に垂直に置く
3. 右足を左足の上に置き、肘と左足の側面で支えるように身体を持ち上げる
4. 頭からつま先まで直線になるようにする
5. そのままの体勢で45~60秒キープする
6. 左右を入れ替えて同じことを繰り返す
靴下を履いたままおこなうと、床に滑って上手く力が入らない可能性があります。室内履きを着用するか、裸足でおこなうことをオススメします。プランク中は傾かないよう、身体が床から垂直になるよう意識しましょう。
身体がグラグラする人は、体幹が弱い可能性があります。まずはサイドプランクの体勢を10秒キープし、徐々に時間を伸ばして慣れるのがポイントです。
ダンベルサイドベント
ダンベルサイドベントとは、ダンベルを活用して身体を傾けることで腹斜筋に負荷をかけるトレーニングです。美しいくびれ作りに役立ちます。
1. 脚を腰幅くらいに開いて片手にダンベルを持って立つ
2. もう片方の手は頭の後ろに置き、身体をダンベル側と反対のほうに傾ける
3. 骨盤や足が動かないよう、ゆっくり繰り返す
身体を傾けているときは、ダンベルを持っている側の腹斜筋を意識します。骨盤が左右にずれてしまうと、正しい効果が期待できません。ゆっくりで良いので骨盤を固定し、正しいフォームでおこないましょう。
目標回数は10回3セットです。
腹横筋の鍛え方
インナーマッスルの腹横筋を鍛えるためには、最内層まで刺激を与えることができるトレーニングが必要不可欠です。
腹横筋はほかの多くの筋肉と協働しているため、腹横筋だけを鍛えるトレーニングがほとんどありません。
腹直筋など表面にある筋肉よりも鍛えにくい部分になるため、腹横筋だけでなく腹筋全体を意識するイメージでおこないましょう。
プランク
プランクは腹筋トレーニングのなかでも認知度が高く、すでに取入れている人も多い種目です。トレーニング効果を高めるためには、正しいフォームを意識することが大切です。
1. 両肘と両膝を床につけて四つん這いの姿勢になる
2. 両膝を伸ばして、両肘とつま先で身体を支える
3. 身体が一直線になるようキープして30秒~1分間静止する
プランクに慣れていないまま体勢をキープしようと無理をすると、お尻が沈んだり浮いたりして、本来の効果が得られない可能性があります。最初は短い時間でも良いので、身体を一直線にした体勢を維持してください。
目標回数は30秒~1分2セットです。
プランクは、以下の動画でも詳しく解説しています。
プランクアブス
プランクアブスは、プランクのアレンジメニューで、身体全体をバランス良く鍛えるトレーニングです。通常のプランクに慣れてからおこないましょう。
1. 通常のプランクと同じ姿勢を作る
2. 身体が「く」の字になるようにお尻を高く上げる
3. ゆっくり下ろして元の姿勢に戻り繰り返す
肩とお尻が一直線になるようなイメージでおこないます。反動を利用しておこなうと、腰を痛める可能性があるので注意してください。
目標回数は10~20回3セットです。
スパイダープランク
プランクアブスと同じく、プランクをアレンジしたトレーニングです。蜘蛛が地面を動くときの姿に似ていることから、スパイダーと呼ばれています。
1. 通常のプランクと同じ姿勢を取る
2. 両手を床につき、肘を伸ばして身体を支える
3. 片足を曲げて膝を肘まで近づける
4. リズム良く左右交互に繰り返す
身体はプランク同様、一直線になるよう意識します。視線はおへそに落として、腰を反らさないよう注意しましょう。足を曲げているときに、脇腹への効き目を確かめながら、ゆっくりおこなうのがポイントです。
目標回数は左右交互に動かして1回とし、10~20回3セットです。
腹筋トレーニングの回数と頻度
「回数を重ねるほど強化できる」と思う人も多いのではないでしょうか?
しかし、腹筋もほかの筋肉と同じで、しっかり休息を取る必要があります。オーバーワークになれば、反対に筋肉の発達が妨害される恐れがあるため、注意してください。
トレーニング効果を高めるためには、高回数を高頻度でおこなうのではなく、低回数でしっかり負荷をかけるのがポイントです。
1度負荷をかけたら、中3日ほど空ける必要があります。しっかり休息を取りながら、最低2~3か月続けることをオススメします。
正しいトレーニング頻度は、以下の記事でも詳しく解説しています。
腹筋トレーニングのコツ・ポイント
腹筋トレーニングの効果を得るために意識すべきことは、回数や頻度だけではありません。腹筋の伸縮や腹筋以外への負荷にも配慮が必要です。
以下、腹筋トレーニングをおこなう際のコツとポイントを解説します。
腹筋をしっかり伸縮させる
腹筋トレーニングをおこなう際は、筋肉の伸縮を意識しましょう。腹筋は恥骨から胃のあたりまで広がっていて、とても長い筋肉のため、収縮・伸展をしっかりとおこなうことがポイントになります。
腹筋の可動域は、垂直の状態から前に倒すより後ろに反らすほうが広がる、といわれています。腹筋の収縮・伸展を促すためには、ボールクランチなど身体を反らせるトレーニングを取入れることをオススメします。ボールクランチは、エクササイズボールなどを使ってボールの上に仰向けになり、腹筋をストレッチさせてからクランチします。
腹筋以外の筋肉になるべく負荷をかけない
クランチなどで腹筋を鍛えると、無意識のうちにほかの筋肉に負荷がかかります。トレーニングによっては、股関節を曲げようとする腸腰筋ばかりに負荷がかかってしまう恐れがあります。
腹筋にしっかり負荷をかけるコツは、腸腰筋を緩めることです。プランクをおこなう場合は足を上げて身体を前に倒すなど、腸腰筋を使わないよう意識しましょう。
今より負荷をかける方法
人によっては、今より負荷をかけてしっかり効かせたいと思う人も多いでしょう。しかし、回数や頻度を上げるだけではオーバーワークになる可能性があります。
高負荷な腹筋トレーニングをおこなうには、インターバルを短縮して筋肉を休ませる時間を少なくするのがオススメです。トレーニングの可動域をより大きく動かすことで、腹筋に刺激を与えられます。
まとめ
腹筋には、腹直筋・腹斜筋・腹横筋の3種類があります。腹筋を鍛えたい人は、腹筋の部位や役割を認識したうえでトレーニングをおこないましょう。
それぞれの部位に効かせるトレーニングは、反動をつけておこなうのではなく、ゆっくり正しいフォームでおこなうのがポイントです。
腹筋トレーニングには、コツやポイントがあります。正しい姿勢やトレーニング頻度・回数、腹筋の伸縮や腹筋以外への負荷にも配慮すれば、高い効果を得られます。
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
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