現代は、長時間のオフィスワークやスマートフォンの使いすぎなどで同じ姿勢でいることで筋肉が凝り固まり、肩こりや猫背になる人も少なくありません。
肩こりや猫背などの改善効果が期待されるのが、広背筋のストレッチです。
広背筋は背中の筋肉の中で一番大きい部位で、トレーニングをしている人が最も硬く凝りやすい部位です。
ストレッチは継続しておこなうことで筋肉の柔軟性が向上し、柔らかくほぐす効果が期待できます。
今回は、広背筋ストレッチの重要性やメリット、どこでも気軽にできる簡単なメニューを紹介します。
凝り固まった背筋が伸びてスッキリとした気分になれるので、ぜひ試してみてください。
広背筋のストレッチが必要な理由
広背筋は、背中の上腕骨から背中・腰まで続いている大きな筋肉です。ドアを開く際に引く動作、体温計をはかる際に脇を絞める動作など、日常生活で良く使われます。
スポーツでは、レスリング・柔道・水泳などの競技で必要とされる筋肉です。
広背筋が緊張によって固まると、次のようなトラブルを引き起こす可能性があります。
- 血流の悪化
- 背中・腰の冷え
- 肩こり・腰痛
- 筋肉のバランスの乱れ
- 巻き肩・猫背などの不良姿勢
広背筋の緊張がさらに強くなると、基礎代謝の低下にもつながるといわれています。
広背筋は、トレーニングで特に硬くなりやすい筋肉です。硬くなった状態でトレーニングを続けるよりも、ストレッチで筋肉をほぐしてからおこなうほうが、トレーニング効果が期待できます。
広背筋のストレッチをするメリットと効果
広背筋は大きな筋肉で身体のさまざまな部位に影響を与えるため、しっかりとストレッチでほぐすことが大切です。
トレーニングとストレッチを組合せて筋肉をほぐすことで、しなやかで柔らかい筋肉を維持できます。
以下、広背筋のストレッチの効果やメリットを解説します。
筋肉の柔軟性が高まって各部位に栄養が届きやすくなる
ストレッチで関節を曲げたり伸ばしたりすると、筋肉の柔軟性を高めるのに効果的です。筋肉がほぐれると血流も良くなり、身体の各部位へ酸素と栄養が届きやすくなります。
反対に、筋肉が硬くなると全身の毛細血管が圧迫され、血液の循環が悪くなります。筋肉は酸素不足・栄養不足の状態となり、疲労物質を分解できずにさらに硬くなり、身体の不調が慢性化します。
姿勢が良くなりケガや腰痛の予防につながる
長時間のデスクワークやスマートフォンの見過ぎで前屈みの姿勢が続くと、無意識に猫背の状態になります。
筋肉はずっと同じ姿勢でいると凝り固まり、血行が悪くなるのでストレッチなどで筋肉をほぐすことが大切です。
広背筋のストレッチをおこなうと、姿勢が改善されます。姿勢が美しいと見た目の印象も良くなり、若返り効果も期待できます。
背中の筋肉が硬くなると、腰・広背筋の痛みの原因にもつながります。背中の柔軟性を高めることで関節の可動域も広がり、あらゆるケガや腰痛予防に効果的です。
毎日少しずつストレッチをおこなうことで柔軟性も向上します。無理せずゆっくりと続けるようにしましょう。
広背筋のストレッチはこんな人にオススメ
もし、あなたが以下の症状に当てはまるとしたら、今日から広背筋ストレッチを始めることをオススメします。
- 基礎代謝が落ちている人
- 長時間同じ姿勢でいる人
- 身体が冷えやすい人
- 姿勢が悪い人
広背筋のストレッチは、すぐに始めても十分効果が期待できるものです。何もしないでいると治るどころか、どんどん悪化してしまう可能性があるため、さっそくおこなってください。
広背筋ストレッチの正しいやり方
次に、気軽に自宅でも簡単にできる広背筋のストレッチを紹介します。
背中の凝りをほぐすには、筋肉をゆるめて柔軟性を高めることが大切です。
だからといって、痛みを我慢してストレッチしても逆効果になる可能性があります。無理をせず、ゆっくりと時間をかけて伸ばしてください。
基本編|広背筋全体を縦に伸ばす
1 床に両膝と両手をつけて四つん這いの状態になる
2 両手を前に出し顔を床につけ、身体ごと前に伸ばして行く
3 背中がしっかりと伸びているのを意識する
4 大きく深呼吸をし、そのままの状態で30秒程度キープする
5 2~4を2セットおこなう
壁に手をついておこなう方法や、イスに手をつき上体を落とす方法もあります。
このストレッチは場所を選ばず、どこでも気軽にできるのでオススメです。
基本編|広背筋を左右に伸ばす
1 床に四つん這いになり、膝は脚のつけ根の真下、手は肩よりやや前につける
2 右手は正面に伸ばし、左手は手の平を上にして右の脇の下を通して身体の外側に伸ばす
3 左肩・左肘・左側頭部をゆっくりと床につくまで身体を倒して行く(このとき骨盤がずれないように注意する)
4 右腕の下から目線は真上もしくは床に向け、首の後ろもしっかり伸ばす
5 そのままの状態で10秒ほどキープする
6 元の体勢に戻り、反対側も同様におこなう
ポイントは、お尻が膝の真上にくるように意識し、上の手はできるかぎり頭から離すようにして脇の筋肉を伸ばしてください。
痛みが出る場合は、無理をしないで上の手を伸ばさず、顔の前あたりに置くようにします。
肩まわりや腰まわりは凝り固まりやすい部位なので、ゆっくりとほぐしてください。
応用編|タオルを使って広背筋全体を伸ばす
1 タオルを胸の前で肩幅くらいの間隔で持ち、脚も肩幅に開く
2 タオルを頭上に持ち上げ、背中を丸めるようにしてゆっくり左(もしくは右)斜め前に倒して背中の筋肉を伸ばす
3 そのまま20秒ほどキープする
4 ゆっくりと元の状態に戻し、反対側も同様におこなう
ポイントは、身体を倒すときにゆっくりと息を吐きながら曲げて行くことです。
肩は上がらないようにして、両肘はなるべく伸ばした状態でおこなってください。
広背筋全体がしっかりと伸びるので、猫背を改善したい人にもオススメです。
まとめ
今回は、広背筋ストレッチの重要性やメリット、誰でも簡単にできるストレッチの方法を解説しました。
広背筋は、日常生活やスポーツで良く使われる筋肉です。
長時間のオフィスワークやスマートフォン、トレーニングなどで広背筋が凝り固まると、血流の悪化・肩こり・腰痛・基礎代謝の低下などの原因になることもあります。ストレッチなどで身体をほぐしてあげることが重要です。
広背筋ストレッチは、痛みを感じるほどおこなってはいけません。ゆったりと心地良いと感じる程度に伸ばします。
ちょっとしたスキマ時間にできるので、ぜひ毎日の習慣に取入れてみてください。
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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