上半身の筋肉のなかでも特に大きな大胸筋は、鍛え上げられた身体を印象づけるのに欠かせない筋肉です。しっかりと筋肉をつければ、がっちりとした逞しい胸板になり、メリハリのあるラインを作れます。
ジムでマシンを使ったトレーニングも有効ですが、自宅で胸を鍛えたい人・ジムの補助的に自重トレーニングをしたい人もいるでしょう。
この記事では、大胸筋の概要・鍛えるメリットを解説するとともに、自宅でできる大胸筋の自重トレーニングメニューを紹介します。
大胸筋とは
大胸筋とは冒頭のとおり、上半身の筋肉のなかでも特に大きな筋肉です。大胸筋は、鎖骨・胸骨~肋軟骨・腹直筋を包む腹直筋鞘から上腕骨の大結節稜にかけてついています。細かく上部・中部・下部に分かれており、腕を内側に閉じたり上げたりするときなどに力を発揮します。
キレイな大胸筋を作るには、それぞれをバランス良く鍛えなくてはいけません。どの部位を鍛えるかで、シルエットが変わってくるためです。
例えば、大胸筋上部は鎖骨の下あたりから盛り上がったシルエットを作り、中部を鍛えれば身体の幅を厚くできます。下部を鍛えれば腹筋との境目を際立たせ、メリハリのあるラインを作れるでしょう。
大胸筋の上部・中部・下部のどの筋肉がメインで作用するかは、腕の動作によって異なります。具体的に、斜め上・斜め下に腕を押し出す動きでは上部と下部が、腕を内側に閉じるときには中部の筋肉がメインで作用します。
大胸筋の筋トレで得られる5つのメリット・効果

大胸筋を鍛えることで分厚く逞しい胸板を手に入れられますが、メリットはこれだけではありません。ここでは、筋トレで大胸筋を鍛えるメリットと効果を5つ紹介します。
大胸筋以外の筋トレ効率も向上する
大胸筋を鍛えることによって、ほかの部位の筋トレ効率も向上できます。なぜなら、大胸筋は腹筋・背筋と同様に体幹を支える筋肉だからです。
体幹を鍛えると腕・お腹・肩などの部位にも、しっかりと負荷を加えたトレーニングが可能になります。結果的に、これまでよりも効率的な筋トレができるようになるでしょう。
さらに、筋トレの回数が増えたり幅が広がったりするため、トレーニングへのモチベーションアップも期待できます。
変化が出やすく自信がつきやすい
大胸筋は、ほかの部位に比べて鍛えやすく、脂肪がつきにくい特徴があります。先述のとおり、大胸筋は上半身のなかでも大きな筋肉のため、トレーニングすればその分だけ成果が出やすいともいえます。
努力の分、変化が出やすいことから、筋トレのモチベーションアップ・自信にもつながるでしょう。大胸筋の筋トレで、さらなる高強度のトレーニングにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
基礎代謝が上がる
大胸筋に限ったことではありませんが、筋トレによって身体の筋肉量が上がると基礎代謝が向上します。基礎代謝とは、体温を保ったり内臓を動かしたりといった、無意識下でおこなう代謝のことです。
ただ生きているだけで消費されるエネルギーで、基礎代謝が向上すると痩せやすく太りにくい身体になります。上半身のなかでも大きな筋肉を鍛えることは、基礎代謝を上げて効率的に筋肉量を増やすことにつながります。
ケガをしにくくなる
大胸筋を鍛えると、反射的に腕を出して身体を支えるなどの動作がしやすくなります。そのため、不意につまずいたときにも壁・柱・床へとっさに手を出して、身体を支えられます。結果的に、転倒・ケガの予防につながるのは大きなメリットです。
正しい姿勢になる
大胸筋は体幹を支える筋肉であるため、鍛えることによって正しい姿勢を楽に保てます。また、大胸筋の上部・中部・下部をバランス良く鍛えると、メリハリのついたボディラインになって美しいシルエットが手に入ります。
スーツ・シャツがだぶつくことなく、かっこよく着こなせるようになるのも、大胸筋トレーニングのメリットです。
大胸筋を自宅筋トレで鍛える自重メニュー

続いて、自宅でできる大胸筋のトレーニングを紹介します。自重でできる筋トレメニューを集めたので、自宅に器具がない人も挑戦してみてください。
ジムでマシントレーニングをしている人は、自宅での補助的な筋トレとして取入れてみるのもオススメです。
ノーマルプッシュアップ
ノーマルプッシュアップとは、一般的にいわれる腕立て伏せのことです。大胸筋を鍛える代表的な筋トレですが、正しいフォームでできている人は意外に少ないかもしれません。フォームが崩れると、しっかりと刺激を与えられない場合もあるため、今一度フォームを確認してみましょう。
ノーマルプッシュアップの手順は、次のとおりです。
1. 脚はあまり広げずにうつ伏せの状態になる
2. 肩幅より少し広めに手をつく
3. 身体を持ち上げ、かかとから首までが一直線になるようにキープする
4. 息を吸いながら肘を曲げ、身体を下ろす
5. 胸を下げた状態でキープする
6. 息を吐きながら肘を伸ばし、身体を持ち上げる
目安は30秒以内のインターバルを取って、20回×3セットです。慣れたら回数を増やしていきましょう。
ワイドプッシュアップ
ワイドプッシュアップは、ノーマルプッシュアップよりも手を置く位置を広げておこなう腕立て伏せです。肘が外に広がりやすくなるため、肩甲骨を寄せることを意識しておこないます。腹筋に力を入れてお腹・腰が落ちないように、フォームを安定させましょう。
ワイドプッシュアップの手順は、次のとおりです。
1. 脚はあまり広げずにうつ伏せになって、ノールプッシュアップの姿勢を取る
2. 手と手の幅を肩よりも広く取って、そのまま身体を下げる
3. 限界のところまで下げたら、しばらくキープする
4. 素早く身体を持ち上げる
ワイドプッシュアップの目安は、15~20回×3セットです。フォームを意識しておこない、慣れたら回数を増やしていきましょう。
デクラインプッシュアップ
デクラインプッシュアップは、つま先を高くしておこなう腕立て伏せです。ノーマルプッシュアップ・ワイドプッシュアップ・次に紹介するナロープッシュアップよりも、負荷が大きくなります。
デクラインプッシュアップの手順は、次のとおりです。
1. 30~50cm程度の高さのイス・ベッドなど、ズレにくい台を用意してつま先を乗せる
2. 手は肩幅くらいに広げ、肩の下に真っ直ぐ置いて身体を一直線にする
3. 少し先の床を見ながら肘を45度ほどに曲げ、身体を下ろしていく
4. 床を押すようにして元の姿勢に戻す
最初は10回×3セットを目安にし、慣れたら15~20回×3セットおこないます。腹筋を意識してお尻が下がらないように注意しましょう。
ナロープッシュアップ
ナロープッシュアップは、ノーマルプッシュアップよりも腕の幅を狭くする腕立て伏せです。手の幅を狭めることで、大胸筋の上側・内側を鍛えられます。大胸筋以外に、上腕三頭筋をはじめとする腕の筋肉を刺激できるのも特徴です。
ただし、ナロープッシュアップはピンポイントで刺激を与える筋トレのため、難易度がやや上がります。ノーマルプッシュアップを正しいフォームでできるようになってから、ナロープッシュアップを取入れるのがオススメです。
ナロープッシュアップの手順は、次のとおりです。
1. 両手の親指と人差し指を合わせ、ダイヤモンドの形を作る
2. 手はその形のまま、胸の真下の床につく
3. 脚は伸ばし、つま先でバランスを取る
4. 肘を曲げ、身体を下ろしていく
5. 床につかないところまで身体を下ろしたら、1秒キープ
6. 地面を押すように素早く元の姿勢に戻る
目安は、10回×3セットです。慣れたらキープの時間を伸ばしていきましょう。
ディップス
ディップスは、平行棒などの器具を使ったトレーニングです。大胸筋と腕にかけてダイレクトに負荷がかかるため、しっかりと刺激を与えられる筋トレになっています。
ディップスの手順は、次のとおりです。
1. 肩幅と同じくらいの幅の平行棒を用意する
2. 平行棒をしっかりとつかみ、肘を伸ばした状態で身体を支える
3. 膝は軽く曲げ、両足首はクロスさせる
4. かかとはお尻に近づけ、上半身は少し前傾させる
5. ゆっくりと肘を曲げ、肘が90度になるくらいまで身体を真下へ下ろす
6. 身体が下げ切ったところで2~3秒キープする
7. そのまま身体を持ち上げる
はじめのうちは10回×3セットを目安とし、慣れたら15回×3セットです。全身に力を入れて、身体がふらつかないように意識しておこないましょう。
ショルダータッププッシュアップ
ノーマルプッシュアップを基本に、肩をタップする動きをプラスしたのがショルダータッププッシュアップです。タップするときに片腕で身体を支えるため、より体幹を鍛えられます。
ショルダータッププッシュアップの手順は、次のとおりです。
1. ノーマルプッシュアップの姿勢を取る
2. 息を吐きながらゆっくりと身体を下ろす
3. 息を吸いながらゆっくりと身体を持ち上げる
4. 動きの流れで、右手で左肩をタップする
5. 息を吐きながらゆっくりと身体を下ろす
6. 息を吸いながらゆっくりと身体を持ち上げる
7. 動きの流れで、左手で右肩をタップする
8. 2~7の動作を繰り返す
バランスを取るのが難しい場合は、膝をついたり脚を広げたりしておこなうと良いでしょう。
スパイダーマンプッシュアップ
ノーマルプッシュアップに脚の動きをプラスしたのが、スパイダーマンプッシュアップです。大胸筋とともに、腹斜筋を鍛えることができます。
スパイダーマンプッシュアップは、以下の手順でおこないましょう。
1. ノーマルプッシュアップの姿勢を取る
2. 身体を下ろしながら右肘に右膝を引き寄せる
3. 脚を戻しながら身体を持ち上げる
4. 身体を下ろしながら左肘に左膝を引き寄せる
5. 脚を戻しながら身体を持ち上げる
6. この動作を繰り返す
スパイダーマンプッシュアップは、プッシュアップしながら脚を引き寄せるため、難易度が高くなります。慣れないうちは、ゆっくりとフォームを確認しながらおこないましょう。
ヒンズープッシュアップ
ヒンズープッシュアップは、大胸筋に加えて、上腕三頭筋・腹筋も同時に鍛えられるトレーニングです。プッシュアップの姿勢からお尻を突き上げ、大きな三角形を作って身体を上げ下げする動作を繰り返します。
ヒンズープッシュアップの手順は、次のとおりです。
1. ノーマルプッシュアップの状態から、お尻を突き上げて大きな三角形を作る
2. 棒をくぐるように胸を床にスライドさせながら、身体を床ギリギリのところまで下ろす
3. 身体を下ろしたときと同じ軌道をとおって三角形に戻す
4. この動作を繰り返す
ヒンズープッシュアップは、身体を大きく動かすことと反動をつけすぎないことを意識しておこないましょう。
大胸筋を効果的に鍛えるには栄養補給が欠かせない!
筋トレを日常的におこなう人は、筋トレ後をゴールデンタイムとしてプロテインを摂るのが常識になっているかもしれません。
運動後の摂取はもちろんなのですが、山本義徳先生は、特に運動前にプロテインを摂取することを推奨しています。トレーニング前にプロテインで栄養補給しておくことで、運動中の栄養不足を抑えて筋肉分解を防げるからです。
そもそもプロテインとはたんぱく質のことを指し、アミノ酸で構成されています。プロテインの摂取によって、体内でより素早くたんぱく質の生成ができるようになります。
たんぱく質は、筋肉を作るうえで欠かせない栄養素です。基本的に筋肉は、筋トレの刺激によって一度損傷し、回復するときに大きくなります。ところが、回復時にたんぱく質がなければ、筋肉はスムーズに大きくなりません。
加えて、必要なタイミングで栄養素が不足していると、筋肉そのものを分解してエネルギーに変えようとします。その結果、筋トレをしているのに筋肉が減るということも起こりうるため、栄養補給は重要です。
プロテインは、大きく分けてホエイ・カゼイン・ソイの3種類があります。それぞれ特徴があり、運動前後の栄養補給が目的であれば、吸収がスムーズなホエイプロテインがオススメです。ホエイプロテインはWPC・WPI・WPHに分かれており、プロテインの純度に違いがあります。なかでも、WPCは特に純度が低くて安価で、WPHは純度が高いものの高価なのが特徴です。
ホエイプロテインの種類については、以下の記事で詳しく解説しています。

なお、プロテインは純度が高いほうが効率的に栄養補給できます。とはいえ、毎日の筋トレで欠かさずプロテインを摂取するには、続けやすいものを選ぶことが重要です。経済的な部分も考慮すると、以下で紹介するWPIがオススメです。
VALX ホエイプロテイン WPI パーフェクト
山本義徳先生が監修する『VALX ホエイプロテイン WPI パーフェクト』は、プレーン味を含め6種類のフレーバーがあります。溶けやすくて飲みやすいため、ストレスなく継続できるでしょう。たんぱく質含有量も非常に多く(全フレーバー90%以上)、効率的に摂取が可能です。

まとめ
大胸筋を鍛えるメリットと、自宅でできる大胸筋の筋トレメニューを紹介しました。大胸筋は上半身のなかでも大きな筋肉のため、筋トレの成果も比較的出やすい部位です。
身体の筋肉量も効率的に増やせることから、基礎代謝の向上も期待できます。ほかにも、正しいフォームでトレーニングすれば、体幹を鍛えることにつながります。大胸筋を鍛えることで、キレイな姿勢を楽に保てるようになるでしょう。
そして、筋トレ前後はベストなタイミングで必要な栄養素を補給することが大切です。プロテインを活用して効率的に栄養補給し、トレーニングの成果を最大限に引き出しましょう。

監修者情報

山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
【You Tube】
山本義徳先生の知識と経験に基づいたトレーニング方法や、プロテインやサプリメントの情報を科学的根拠(エビデンス)に基づいて、YouTube動画を随時更新しています。
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