腕を内側にひねったり、後ろに動かしたりする際に使われる広背筋。広背筋は、広背筋上部にある僧帽筋と背骨の左右にある脊柱起立筋とともに、背筋を構成している筋肉です。広背筋は脇から腰にかけて広がり、脇下の大円筋とともに肩関節の動作に関わります。
今回の記事では、チューブを使って広背筋を鍛えるメリットやメニュー、また効果的なトレーニングのためのコツ・ポイントを解説します。
広背筋をチューブで鍛える際のメリット・デメリット
チューブを使った広背筋のトレーニングにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。チューブトレーニングのメリット・デメリットを理解し、トレーニングの条件や目的に合ったメニューを組立てましょう。
広背筋チューブ筋トレのメリット
チューブを使った広背筋トレーニングのメリットは以下のとおりです。
・場所を取らずにいつでも鍛えられる
家事や仕事の隙間時間におこなえるのがチューブトレーニングのメリットです。チューブを持てばすぐにトレーニングを始められ、広い空間も必要ありません。
・簡単に負荷を変えられる
チューブは負荷の変更を簡単におこなえます。幅を狭く持つほど負荷が増えて、キツいトレーニングが可能になります。
チューブトレーニングと同じくどこでもできる自重トレーニングは、自分の体重を負荷とするため、基本的に負荷の変更はできません。ダンベル・マシンを使ったトレーニングで負荷を変更する場合は、器具の交換・セットなどの手順を踏む必要があります。
・ケガをしにくい
ダンベル・バーベルなど重いものを使うトレーニングでは、背中・腰に急に重さが加わります。そのため、手順やフォームを間違えると筋肉が大きなダメージを受け、腰痛などにつながるリスクがあります。
チューブの場合、引っ張りに合わせて負荷がかかるため、ケガにつながりにくいといえるでしょう。チューブは軽量なので、トレーニング中にうっかり落としても安心です。
・コンパクトなので持ち運びに便利
チューブは軽量かつコンパクトなため、持ち運びが負担になりません。自宅でトレーニングしたあとバッグに入れておけば、外出先でも隙間時間にサッと取り出してトレーニングできます。
筋トレは継続することで効果を発揮します。気軽に持ち運びできる器具であれば、思い立ったときにトレーニングできるため継続しやすくなるでしょう。継続した結果が表れることでモチベーションがアップし、さらなる継続につながるという好循環が生まれます。
広背筋チューブ筋トレのデメリット
次に、チューブを使った広背筋トレーニングのデメリットを解説します。
・大きく負荷を変更したい場合にはチューブ自体の変更が必要
チューブを持つ位置を変えれば負荷の変更は可能ですが、変えられる範囲には限度があります。負荷を大幅に変更したい場合は、チューブの買い替えが必要です。
・ダンベル・マシンに比較して全体的な負荷が小さい
チューブトレーニングは、久しぶりに運動する人や筋トレ初心者にオススメのトレーニングです。
ダンベル・マシンなどの器具と比べチューブの負荷は軽めのため、高いレベルで筋肉増加を目指す人にとっては物足りなく感じることもあるでしょう。
広背筋を鍛えるチューブトレーニングの方法
広背筋を鍛えられるチューブトレーニングのメニューを紹介します。どのメニューでも、チューブが長すぎるときは手首に巻いて調整してください。
チューブワンハンドローイング
チューブワンハンドローイングは、前かがみになって広背筋を鍛えるメニューです。片手でおこなうため体幹に対してひねる負荷がかかり、広背筋だけでなく腹斜筋も鍛えられます。
1. チューブを片脚で踏み前に出す
2. 片手で持った2本のチューブを掴み、息を吐きながら背中側に引く
3. 息を吸いながらチューブを戻す
チューブラットプルダウン
チューブラットプルダウンは、ジムの定番マシン「ラットプルダウン」トレーニングのチューブ版です。ドアにチューブを固定するドアアンカーかドアアンカーつきチューブを用意してください。
チューブラットプルダウンは広背筋の外側に働きかけるため、背中に広がりができます。背中が広がることで相対的にウェストが細く見え、くびれのあるスタイルが実現できるでしょう。
1. チューブをドアの上に固定して両手で持つ
2. ドアの下に膝で立ち、息を吐きながら両手を背中側に引く
3. 息を吸いながら戻す
チューブプルオーバー
チューブプルオーバーは大胸筋のトレーニング「プルオーバー」を応用した広背筋トレーニングで、こちらもドアアンカーが必要です。
大胸筋を鍛える場合は脇を閉じて肘は前に向けますが、広背筋を鍛える場合は肘をやや外側に開くのがポイントです。
1. ドアの上にチューブを固定する
2. ドアに背中を預けてチューブを頭上で持つ
3. 両手を胸の前まで下ろして息を吐く
4. 息を吸いながら戻す
チューブベントオーバーローイング
バーベルやダンベルでおこなう「ベントオーバーローイング」のチューブ版がチューブベントオーバーローイングです。広背筋・僧帽筋を鍛えてしっかりした背中を作りたい人にぴったりのメニューです。
腰を丸めないようにし、腹筋に力を入れてしっかり固定しましょう。身体をまっすぐキープするには腹筋の力も求められるため、腹筋・大殿筋への効果も期待できます。
1. 両脚でチューブを踏んで固定し両手でチューブを持つ
2. 前かがみになったままで、息を吐きながら両手を背中側に引っ張る
3. 息を吸いながら戻す
チューブデッドリフト
チューブデッドリフトはバーベルでおこなう「デッドリフト」のチューブ版で、広背筋はもちろん、お尻の大殿筋から腹筋まで鍛えられるメニューです。腰は丸めずに、腹筋に力を入れて固定し、肩甲骨を寄せて引き切ります。
1. 両脚でチューブを踏んで固定し、両手で持つ
2. 腰は丸めず、お尻を突き出して前かがみになる
3. 息を吐きながらチューブを引きつつ上体を起こす
4. 息を吸いながら戻す
チューブシーテッドローイング
チューブシーテッドローイングは、ジムの定番マシン「シーテッドローイング」トレーニングのチューブ版です。肩がすくまないように、脇は開きすぎないように注意しましょう。
1. 脚を伸ばして座り、チューブを足裏に引っ掛ける
2. チューブを両手で持ち、息を吐きながら背中側に引っ張る
3. 息を吸いながら戻す
チューブトレーニングで広背筋を鍛える際のコツ・ポイント
チューブで広背筋を鍛える際のコツ・ポイントを解説します。
チューブを数種類用意する
トレーニングごとに適切な負荷が変わるため、チューブは何種類か用意しておきましょう。ドアアンカーつきチューブかドアアンカーを用意しておけば、より多くのトレーニングをおこなえます。
できるだけ多めの回数をおこなう
チューブで広背筋を鍛える場合、1セットの回数はできるだけ多くするのがオススメです。チューブではかかる負荷が小さいため、少ない回数では筋肉が鍛えられるほど負荷がかかりません。回数を多くして、筋肉の成長につなげましょう。
ゆっくりとした動作でおこなう
チューブトレーニングはゆっくりおこなうのがポイントです。チューブは負荷が弱めなため、反動をつけると簡単にトレーニングができてしまい、筋肉には刺激になりません。筋肉に負荷をかけるためには、ゆっくり時間をかけて効かせることを意識しましょう。
以下の記事では、初級・中級・上級とレベルに合わせた筋トレグッズを解説していますので参考にしてください。
筋トレ効果を引き出すにはたんぱく質の補給も大切!
筋トレの効果アップには栄養補給も欠かせません。特に、筋肉の材料となるたんぱく質が豊富なプロテインがオススメです。ここではトレーニング時に積極的に摂取したいプロテインを紹介します。
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プロテインの効果・選び方・飲み方は以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
まとめ
チューブは持ち運びが簡単で、いつでも気軽にトレーニングできるメリットがあります。負荷の変更が容易でケガをしにくい点も魅力ですが、ダンベル・マシンのトレーニングに比べて大きな負荷はかけられないというデメリットもあります。
チューブトレーニングの際はチューブを複数用意し、ゆっくりとした動作でできるだけ多くの回数をおこないましょう。
筋トレで刺激された筋肉を回復・成長させるためには、栄養補給が欠かせません。サプリメントを活用して、たんぱく質をしっかり摂取しましょう。
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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