「O脚が気になる」
「最近脚がたるんできた」
「スポーツを続けているのにパフォーマンスがイマイチ」
上記のような悩みは、内転筋の衰えが原因かもしれません。内転筋を鍛えるトレーニングをおこなうと、美容・健康の面でも良い効果を得ることができます。
この記事では、トレーナーの山本義徳先生がオススメする内転筋のトレーニング方法をご紹介します。しっかりと内ももを強化して、あなたの理想の身体に近づきましょう。
内転筋群の概要・役割
内転筋は、太ももの内側にある筋肉です。正確には1つの筋肉を指して内転筋と呼んでいるわけではありません。大内転筋・長内転筋・短内転筋・薄筋・恥骨筋の5つの筋肉の総称として、内転筋群という名前が使われています。
内転筋は脚のつけ根から膝の内側あたりにかけて付着し、毎日何気なくおこなっている膝の曲げ伸ばしや歩行、脚の開閉などに欠かせない筋肉です。
O脚・脚のたるみが気になる人は、内転筋群が衰えているのかもしれません。普段あまり歩かない人や、脚を組むことが習慣化している人は注意が必要です。
内転筋群の衰えが進むと、膝や腰の痛み、骨盤の傾きから来る身体のゆがみ、便秘、代謝不良などさまざまな症状が出る原因にもなります。
これらの症状は、内転筋群を鍛えることで改善・軽減効果が期待できるでしょう。
内転筋の筋トレ効果・メリット
ここでは、内転筋のトレーニングをおこなうメリットと効果を順に解説します。下半身を細く見せたい女性や、運動機能をアップさせたい人など、さまざまな人にうれしい効果をもたらしてくれます。
下半身が安定しやすくなる
筋トレを続けて内転筋がしっかり動くようになると、骨盤・股関節の安定につながります。特に骨盤のゆがみは姿勢の悪化や腰痛の原因となるため、筋トレで下半身を安定させましょう。
スポーツをしている人にとっても、骨盤の安定は見逃せないメリットです。骨盤が正しい角度で安定していると姿勢が良くなり、スポーツ中のケガも減らすことができます。
下半身のボディラインが引き締まる
内転筋が強化されると、太ももの内側が引き締まってきます。「太ももに隙間を作りたい」という女性の願いは、内転筋を鍛えることで叶えることが可能です。
O脚も、内転筋の衰えや骨盤のゆがみが原因であることが考えられるため、筋トレを続けることで改善が期待できます。
内転筋群のある太ももの内側を鍛えると、リンパの流れ・血流も良くなり、冷え・むくみの解消にも効果的です。
運動のパフォーマンスアップを期待できる
骨盤が安定し、良い姿勢をキープできるようになると、運動時のパフォーマンス向上も見込めます。特に、さまざまなスポーツで必要な「走る」際のパフォーマンスアップは外せないポイントです。
そのほか、内転筋の強化は体幹を使いやすくする効果も生み出します。運動時に体幹を意識している人も多いと思いますが、内転筋のトレーニングを取入れることで、さらなるパフォーマンスアップにつながります。
内転筋を鍛える筋トレメニュー
内転筋を鍛えたい人にオススメの筋トレメニューをご紹介します。
このメニューを監修した山本義徳先生は、トレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガーなど数多くの有名アスリートを指導した経験も持っています。
筋トレの方法だけでなく、意識したいポイント・目安となる回数・セット数も記載していますので、ぜひ実践してみてください。
ワイドスクワット
ワイドスクワットは、一般的によく知られるノーマルスクワットよりも脚の幅を広げておこなうトレーニングです。ゆっくりと負荷をかけることで、内ももの筋肉を鍛えることができます。
トレーニングの手順
1.肩幅よりも広く脚を広げて立ちます。つま先は外側に向けてください。
2.息を吐きながら、ゆっくりと膝を曲げ、腰を下ろします。つま先と膝が同じ向きになるようにしましょう。
3.太ももが床と平行になるまで膝を曲げます。いったん止まり、息を吸いながらもとの体勢に戻ります。
POINT
猫背にならないよう、背筋を伸ばしておこなうことが大切です。
膝を曲げる際、膝がつま先よりも前に行かないように気をつけましょう。
セット数と回数
セット→3
回数→20回
サイドランジ
片方の膝を曲げ、もう片方の膝は伸ばすという左右非対称の動きをするトレーニングです。
ワイドスクワットが左右の膝を同時に曲げるのに対し、サイドランジは左右の膝を交互に曲げていきます。
内転筋の強化・内ももの引き締めだけでなく、スポーツ時の「横」の動きを強化したい人にもオススメです。
トレーニングの手順
1.肩幅よりも広く脚を広げて立ちます。つま先は外側に向けておきましょう。
2.左右どちらかの膝を曲げ、反対側の膝は伸ばしたまま腰を下ろします。
3.膝を曲げたほうの太ももが床と平行になるまで腰を下ろしていきます。平行になったらいったん止まりましょう。
4.伸ばしたほうの脚に力を入れて、もとの体勢に戻ります。次は反対側の膝を曲げて同様にトレーニングします。
POINT
姿勢をまっすぐにするよう意識しましょう。
膝を曲げる際には、つま先は膝と同じ方向に曲がるようにし、膝がつま先よりも前に行かないよう気をつけてください。
セット数と回数
セット→2
回数→左右交互に20回(インターバル30秒)
スモウデッドリフト
デッドリフトは、バーベルを使ったトレーニングです。
なかでもスモウデッドリフトは、両脚の間隔を広く取ってしゃがんだときに、その名のとおり”スモウ(相撲)”で四股を踏むときのようなフォームになるのが特徴です。
一般的なデッドリフトは「ヨーロピアンデッドリフト」とも呼ばれ、脚の間隔を狭くしておこないます。ヨーロピアンデッドリフトでは、腰の力が非常に多く使われます。
日本人の場合は、「ヨーロピアンデッドリフト」より「スモウデッドリフト」のほうが体格に合っているためオススメです。
トレーニングの手順
1.脚をできるだけ広めに開き、つま先を外に向けて立ちます。
2.上半身を垂直にしたまま腰を下ろします。しゃがむ際に膝が内側にならないよう注意してください。
3.両手を肩幅程度の広さに広げて、バーベルを持ち上げます。
4.バーベルを下ろす際は、腰を傷めないようゆっくりとおこないましょう。
POINT
上半身は垂直の状態で下ろすことを意識しましょう。
スモウデッドリフトは、内転筋を鍛えるためのとても良いトレーニング方法です。
しかし、上体を上げる際に膝を内側に絞ってしまわないよう気をつける必要があります。膝を内側に向けず、外側に向けたまま動作をおこないましょう。
身体が前傾しないよう意識することも大切です。前傾してしまうと内転筋よりも腰のほうに効いてしまうため、上半身はあくまで垂直の状態を心がけてください。
バーベルを持つときに握力がもたない人はストラップを使うと良いでしょう。便利な道具も併用しながら、より重いバーベルを扱うことをオススメします。
セット数と回数
セット→2
回数→6-8回
トレーニングをしたあとは、ストレッチも必ずおこないましょう。
内転筋のストレッチ方法は、以下の記事をご覧ください。
内転筋の筋トレ頻度
内転筋の筋トレは、週に1~2回を目安におこなってください。
トレーニング後は、次のトレーニングまで48時間から72時間程度の間隔を空けることがポイントです。
筋肉はトレーニングをおこなうと損傷を受けるため、そこから回復しようとします。筋肉が回復し、以前よりも強さを増す「超回復」といわれる状態になるまでに、48時間から72時間程度かかります。
「全身くまなく鍛えたいから、休んでいる時間がもったいない」と感じる人は、「分割法」を試してみてはいかがでしょうか。
分割法は、日によって鍛える部位を変えることで、効率よく全身を鍛える方法です。
内転筋を鍛えた翌日は休み、翌々日は上半身を鍛えるというように、トレーニングを分割しておこなえば、内転筋の筋トレは週1~2回にとどめながら、休む時間を有効に使えます。
筋トレの分割法は、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
内転筋を鍛えると、美容・健康・運動パフォーマンスにさまざまなメリットがあります。最初は回数を少なめにする・慣れてきたら増やす・分割法を試してみるなど、自分の身体と相談しながらトレーニングをおこなってください。
今回ご紹介した筋トレメニューを実践して、身体に関するさまざまな悩みを解消させましょう。
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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