ベントオーバーローイングを正しくおこなえれば、背中の筋肉が全体的に使わるためバルクアップにとても有効です。この記事では、効果的なベントオーバーローイングのためのコツを山本義徳先生が解説します。
ベントオーバーローイングとは
ベントオーバーローイングとは、バーベルを持って屈んだ姿勢(ベントオーバーの状態)から、バーベルを身体へと引き付けて背中の筋肉を鍛えるウエイトトレーニングの種目です。
人によっては、ベントオーバーローや、ベントローのように略して表現する場合もありますが、すべて同じ種目のことを指しています。
ベントオーバーローイングのやり方
1.屈んだ姿勢(ベントオーバーの姿勢)をとり、バーベルをもつ
2.みぞおちに向かって、バーベルを引きつける
3.上半身の位置をキープしたまま、バーベルを下に下ろしていく
ベントオーバーローイングで鍛える筋肉
ベントオーバーローイングをおこなうことで、広背筋を始めとした背中の筋肉を鍛えることができます。
広背筋(こうはいきん)
広背筋は、上半身の逆三角形を作るために特に重要な筋肉です。
起始
第7腰椎〜第5腰椎
腸骨稜(ちょうこつりょう)後面・仙骨(せんこつ)後面
第10〜12肋骨
停止
上腕骨の小結節稜(しょうけっせつりょう)
作用
肩関節の内転
肩関節の伸展
肩関節の内旋
僧帽筋(そうぼうきん)
僧帽筋は、背中に全体的に覆いかぶさるように付着している面積の大きな筋肉です。広背筋が背中の広がりを作るのに対して、僧帽筋は背中の厚みを作り出します。
起始
上部:後頭骨(こうとうこつ)
中部:第7頚椎・第1〜3胸椎
下部:第4〜12胸椎
停止
上部:鎖骨の外側後面1/3
中部:肩峰内側縁(けんぽうないそくえん)と肩甲棘上縁(けんこうきょくじょうえん)
下部:肩甲棘(けんこうきょく)内端
作用
上部:肩甲骨の挙上(きょじょう)
中部:肩甲骨の挙上・内転・上方回旋
下部:肩甲骨の下制(かせい)・内転・上方回旋
上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)
ベントオーバーローイングをはじめとした背中のトレーニングでは、肘関節の屈曲動作により背中の筋肉だけではなく上腕二頭筋も強く関与します。
起始
長頭:肩甲骨の関節上結節(かんせつじょうけっせつ)
短頭:烏口突起(うこうとっき)
停止
橈骨粗面(とうこつそめん)と上腕二頭筋腱膜(じょうわんにとうきんけんまく)
作用
肘関節の屈曲
前腕の回外
肩関節屈曲の補助
ベントオーバーローイングの攻略方法
ベントオーバーローイングをおこなう上でネックとなるのが、腰への負担です。ベントオーバーローイングはバーベルを使用するため、高重量を扱うことのできる種目です。しかし、扱う重量が重くなるほど、ベントオーバーの姿勢を保持するための脊柱起立筋などの腰の筋肉への負担が大きくなってしまいます。腰への負担が大きくなると、背中の筋肉の動きに集中しにくいだけではなく、腰痛などの怪我の原因となってしまう可能性もあります。
腰への負担をできるだけ少なくするためには、もも裏とお尻の筋肉を使って身体を支えることがポイントです。
そのためには、足を腰幅程度に開いて立ち、かかとに重心を置くようにしてみましょう。膝は前に出さずに、脛が地面と垂直になるように立つことで、ハムストリングス(もも裏の筋肉)や大臀筋(お尻の筋肉)を利用して姿勢を保持することができるようになります。
参考動画:背中トレの疑問を徹底解決!効かせにくい場所にもしっかり効かせるコツを解剖学で暴く【背中トレ】
それでもベントオーバーの姿勢がうまく取れない人は、代替種目としてダンベルローイングがオススメです。
関連記事:ダンベルローイングの正しい効かせ方を山本義徳先生が解説
ダンベルローイングは、片手と片膝をベンチについて姿勢を保持するため、腰に負担がかかりにくいのが特長です。
まとめ
ベントオーバーローイングをおこなうことで、広背筋や僧帽筋を始めとした背中の筋肉を全体的に鍛えることができます。
高重量を扱うことができますが、そのぶん腰への負担も強くなってしまします。
・足幅は腰幅程度
・かかとに重心をのせ、脛を地面と垂直にする
この2点をを意識すると、もも裏とお尻の筋肉で姿勢を保持し、効果的なベントオーバーローイングをおこなうことができます。
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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