山本義徳先生が提唱するマンデルブロトレーニングとは、トレーニングの刺激を毎回変えて効率的な筋肉の発達を促す、非線形ピリオダイゼーションのトレーニング方法です。
この記事では、山本義徳先生が30年に渡る指導で生み出し、多くの人に効果をもたらした体系的なメソッド「マンデルブロトレーニング」について解説していきます。
マンデルブロトレーニングの理論
マンデルブロトレーニングは、数学者のブノワ・マンデルブロが提唱した「マンデルブロ集合」にちなんで名付けられました。マンデルブロ集合を構成する点は、それぞれがバラバラに離れているように見えても、全てが体系的に繋がっているのが特徴です。
マンデルブロトレーニングでは毎回全く違ったトレーニングをおこない、刺激の種類を変えていきます。しかし、一見バラバラなことをやっているように思えても、全体を通して見るとしっかりと系統立てられた方法で変化をさせているのです。
筋肉はストレスによって発達する
トレーニングを始めてまだ間もない頃は、上げられる重量がどんどん増えやすく、身体の変化も目覚ましいものがあります。しかしある程度トレーニングに慣れてくると、どうしても伸び悩む時期が訪れます。
この原因は「トレーニングのストレス(刺激)への慣れ」であることが多いものです。筋肉はトレーニングの刺激によるストレスに適応することで成長していきます。しかし、ある程度の期間トレーニングを続けていると身体が刺激に慣れてしまい、ストレスだと感じなくなってしまうのです。
それを防ぐために編み出されたのが「ピリオダイゼーション」という方法です。
定期的にトレーニングの負荷や回数を変え、異なった種類の刺激を与えることをピリオダイゼーションと呼びます。
ピリオダイゼーションには、スケジュールに伴ってどんどん負荷を上げていく線形ピリオダイゼーションと、毎回全く違う刺激をランダムに与える非線形ピリオダイゼーションがあります。
規則性を持ってトレーニングを組み立てて行く線形ピリオダイゼーションは、トレーニングの管理を行いやすいという利点があります。しかし、肝心なトレーニングの効果については非線形ピリオダイゼーションの方が高いのではないか、と言われています。
非線形ピリオダイゼーションの効果
トレーニング経験が1年以上の被験者200人に対し、6週間に渡る調査をおこなった論文が2016年に発表されました。
実験に参加した被験者は、50人ずつの4つのグループに振り分けられました。
・毎回一定のボリュームと負荷でトレーニングをおこなうグループ
・2週間毎にボリュームを減らし、負荷を上げていくトレーニングをおこなうグループ
・2週間毎にボリュームを増やし、負荷を下げていくトレーニングをおこなうグループ
・毎回の負荷とボリュームを変えるトレーニングをおこなうグループ
上記の4グループに対して、実験開始前と終了後にそれぞれ筋力測定を行なった結果を比較したところ「毎回の負荷とボリュームを変えるトレーニングをおこなうグループ」が群を抜いて良い結果を示しました。
この実験の結果から、毎回のトレーニングで負荷を変える非線形ピリオダイゼーションをおこなう方が筋肉の成長に効果的である可能性が示されています。

実は、古くからボディビルダーたちの間では毎回違う刺激を与えていくトレーニングはおこなわれており、確かな効果を上げていました。しかし、トレーニング内容はその人の長年の勘と経験によって決定されることがほとんとで、具体的な重量や回数は示されていませんでした。
山本先生が提唱する「マンデルブロトレーニング」は、その時どきでトレーニングの刺激に変化をつける非線形ピリオダイゼーションを進化させ、重量・回数を具体的に示しています。本来かなりの上級者向けである非線形ピリオダイゼーションが、マンデルブロトレーニングによって誰でも実践できるようになったのです。
マンデルブロトレーニングの方法
マンデルブロトレーニングでは、毎回トレーニングのRMを変えることで異なった種類の刺激を筋肉に与えていきます。以下に説明する各フェイズを、フェイズ1→フェイズ2→フェイズ3→フェイズ1・・・という順番で繰り返しおこないます。
RMとは?
RMとはrepetition maximumの略語です。トレーニング動作を何回(レップ)反復できるかによる負荷の大きさを示しています。1回が限界の負荷を1RM、10回反復できる負荷を10RMというように表します。
フェイズ1 中重量
通常のボディビルトレーニングと同様に、8RM〜10RMほどの重量を扱うトレーニングを2〜4セットおこないます。この方法のトレーニングを続けていくだけでもある程度の効果を得ることはできますが、トレーニングの停滞期を避けるためには刺激の変化が必要になります。
フェイズ2 高重量
3RM〜5RMの高重量を扱うトレーニングを3〜4セット行います。このフェイズは筋肉に主に物理的刺激を与えることが主な目的です。物理的刺激とは、高重量でトレーニングをおこなうことにより、筋繊維の細胞の膜に炎症が起きるような刺激のことを指します。
フェイズ3 低重量
20RM〜30RMで軽重量・高回数のトレーニングを、セット数は少し多めの3〜5セットおこないます。このフェイズでは筋肉に化学的な刺激を与えていきます。
化学的刺激とは、トレーニングによって細胞の状態が通常とは変わるような刺激のことを指します。たとえば細胞のpHが中性から酸性に傾いた状態になったり、酸素濃度が普段より低下したりすることが該当します。

まとめ
マンデルブロトレーニングにおいては、筋肉への刺激をその都度変えることで身体をトレーニングの刺激に慣れさせないことが大切だと考えられます。
ある程度トレーニングを重ねた中・上級者が、より上を目指したいのであれば、マンデルブロトレーニングを実践してみてはいかがでしょうか?
監修者情報

山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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