今回は、初心者向けのプロテインの基礎知識を紹介します。
1日あたりの摂取量から、どのようなプロテインが筋肥大に最適なのかどうか、プロテインの最適な摂取量について説明します。
プロテインを摂って筋トレをすれば、理想の身体になれるというわけではありません。
さまざまな研究結果に基づいた山本義徳先生の、「プロテインに対する知識」を身につけて、効率的な筋肥大を目指してください。
プロテイン摂取の意義
なぜ、筋トレをする人にプロテインが必要かというと、食事から十分なタンパク質を摂るこが難しいからです。
普通の人の場合、体重1kgあたりタンパク質を1g摂れば十分です。
そのため、体重60kgの人は、タンパク質を1日60gくらい摂れば十分です。
トレーニングをしている人の場合、最低でも体重1kgあたりタンパク質を2g以上摂る必要があります。
そのため、体重60kgの人は、1日120gくらい摂取する必要があります。
しかし、食事からタンパク質はせいぜい80~90g程度しか摂れません。
食事から十分な量のタンパク質を摂取しようとすると、タンパク質だけでなく、余計なカロリーや脂質も摂ってしまいます。
ところが、プロテインの場合、純粋なタンパク質であるため、余計なカロリーや栄養素を摂取することなく、必要なタンパク質だけを摂ることができます。
胃腸への負担を軽減できる
ほかにも、1日に必要なタンパク質を食事からだけで摂取しようとすると、かなりの量の食事を食べる必要があるため胃腸への負担もかなりのものになってしまいます。
しかし、プロテインはドリンクなので胃腸への負担が少なくて済みます。
消化吸収が速い
筋肉を増やすためには血中アミノ酸濃度を高め、このホメオスタシスを打ち破ることが大事です。
プロテインは消化吸収の速度が早いため、血中アミノ酸濃度が一気に高まり、ホメオスタシスを打ち破り、タンパク質の合成が高まります。
ホメオスタシスとは、人間の身体の体温・血糖値・血圧などを一定の範囲内に収める働き(恒常性維持)のことです。
肉や魚などを食べても、胃で消化されてゆっくり吸収されるため、血中アミノ酸濃度もゆっくり上がって、ゆっくり下がります。
ホメオスタシスの範囲内で血中アミノ酸濃度が推移します。
ホエイプロテイン
ホエイプロテインには、タンパク質の合成を促すシグナルを送る「ロイシン」というアミノ酸が多く含まれているからです。
また、ラクトフェリンやベータラクトグロブリンなどの免疫を高めるような物質も含まれています。
WPC(WheyProteinConcentrate)
WPCは、タンパク質含有量が100%中70%程度のホエイプロテインです。
現在、一般的なホエイプロテインのほとんどがWPCであり、ホエイのほかに乳糖・乳脂・灰分などが含まれています。
WPI(WheyProteinIsolate)
WPIは、タンパク質含有量が100%中85~90%程度のホエイプロテインです。
WPCからタンパク質をさらに抽出したホエイプロテインです。
ホエイプロテインの摂取ポイント
ホエイプロテインはトレーニングの1時間前と、トレーニング後に飲むようにしましょう。
トレーニングの60~90分後、プロテインが消化吸収され始めたところで、食事をとると血中アミノ酸濃度を高い状態に維持できると思います。
そうすることによって、血中アミノ酸濃度を高めておくことができ、トレーニングの効果をより高めることができるでしょう。
プロテインを飲むと悪影響はあるのか
プロテインは、体重1kgあたり2g~2.5g程度の常識的な摂取量であれば、悪影響はありません。
そもそも、プロテインはタンパク質であるため、肉・魚・卵にも含まれています。
過剰に摂らなければ健康に問題はなく、さらに、現実的にプロテインを100g程度、一気に摂ることは難しいです。
過剰摂取は大丈夫?
タンパク質の過剰摂取によって、どのような身体への悪影響があるか調査した研究によると、体重1kgあたり3.4g~4.4g摂取して場合でも、身体への問題はほとんどありませんでした。
腎臓病学会のタンパク質に対するレビュー
最近の発表では、「軽い腎臓病の人に対しては特にタンパク質の制限はしない」という事になっています。
腎臓が悪い人でも、タンパク質の摂取量に関する制限はないため、健康な人においてはプロテインを飲みすぎたからといっても特に問題はないと言えます。
プロテインの摂取量
年齢に応じて、タンパク質の合成能力が異なります。
プロテイン1回の摂取量
基本的に20~30代の人は、1回あたりのプロテイン摂取量が20gでも、十分にタンパク質が合成されます。
40歳以上の人は、1回あたりのプロテイン摂取量が40g程度必要です。
ある程度、年齢を重ねた人達によるタンパク質の合成能力を調べる研究によると、プロテイン20gの場合はあまり効果がありませんでした。
プロテインの摂取量を30g~40gまで増やすと、タンパク質の合成が高くなったというような報告があります。
そのため、20~30代の人はプロテインを1回あたり20gを小分けに何回も摂り、40歳以上の人は1回あたり40gを数回摂ると、タンパク合成が効率よく進むでしょう。
男女の違い
基本的に70kgの男性の場合は、筋肥大のためにタンパク質量を増やす必要があります。
プロテイン1回あたり20gを9回か、30gを6回です。
女性の場合、1回に摂る量は少なめでも問題ありません。
普通に食事をしていて追加である程度のタンパク質の量があれば十分です。
あるいはプロテインではなく、EAAだけでも十分です。
プロテインを毎日飲むべき理由
トレーニング後、36時間~48時間程度は、タンパク質の合成能力が高まっているからです。
タンパク質の合成が高まっているのに、プロテインが不足していると筋肉を作ることができません。
トレーニングをしない日や、休んでいるタイミングに筋肉が作られ、発達するということをしっかり頭において置くことが重要です。
継続的にプロテインを飲んで、タンパク質を摂取することでトレーニングの効果を最大限生かすことが出来ます。
まとめ
初心者でもわかるプロテインに関する基礎知識を紹介しました。
筋肥大を目指す人のために、プロテインは食事よりも効率的なタンパク質の摂取を助けます。
筋トレをしている人が多く摂る「ホエイプロテイン」には、2種類あり、適切な摂取量・年齢・性別に応じた最適な摂取量があるのでご確認ください。
- トレーニングをする人は、体重1kgあたり2g以上必要
- プロテインは、胃腸の負担を軽減して、吸収速度も早い
- ホエイプロテインには、WPCとWPIの2種類がある
- トレーニングの60分前とトレーニング後に摂取する
- 20代の人は1回20g程度、40代以上の人は1回40g程度必要
- トレーニング後、2~3日は筋合成が高まっているので、継続的にプロテインを摂る
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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