トレーニング

時短できる?”ネガティブトレーニング”を山本義徳先生が徹底解説!

ネガティブトレーニングには、通常のトレーニングよりも強い刺激を短時間で得ることができるというメリットがあります。そして、同じネガティブトレーニングでも扱う重量によって効果が変わってきます。

この記事ではネガティブトレーニングの効果、そして注意点を山本義徳先生が解説します。

ネガティブトレーニングとは

ネガティブトレーニングとは、筋肉が伸びながら力を発揮することに意識をおいたトレーニング方法です。

筋肉は、伸び縮みすることで関節に動きをもたらします。筋肉が縮みながら力を発揮する動きをポジティブ動作、筋肉が伸びながら力を発揮する動きをネガティブ動作と言います。
ダンベルカールであれば、肘を曲げダンベルを上げる動作がポジティブ、逆に肘を伸ばしダンベルを下ろす動作がネガティブです。

ネガティブ動作では、ポジティブ動作と比べて120%〜140%ほどの重い重量を扱うことができます。高重量を扱うことができる分、筋肉へ強い刺激を与えることができます。

ネガティブトレーニングの効果

下ろすときに強い負荷をかけたトレーニング動作を8回、合計2セットのネガティブトレーニングをおこなった日本の研究では、慣れないうちは完全に回復するまでに28日間もかかったという結果が出ました。ネガティブトレーニングの刺激に慣れるにつれ、回復に必要な日数は短くなりますが、それでも6日間は回復に要するのだそうです。

トレーニングに慣れている人が、8回2セットのネガティブトレーニングを週1回おこなえば、十分な刺激を与えることができるということになります。

少ないセット数で強い刺激を与えることができるネガティブトレーニングは、トレーニングの時短に向いていると言えます。

ダンベルやバーベルを下ろす時に筋肉が伸びながら力を発揮することを意識し、ゆっくりと時間をかけて下ろしていく方法であれば、扱う重さにかかわらずネガティブトレーニングと呼ぶことができます。

ネガティブトレーニングのやり方

ネガティブトレーニングの方法は、大まかに分けると2種類あります。自力で上げることができる重さをゆっくりと下ろす方法と、自力では上げることができない高重量を下ろすところだけ自力でおこなう方法です。

軽い重量のネガティブトレーニング

まず一つは、ポジティブ動作でも普通に扱えるくらいの比較的軽い重さでネガティブトレーニングをおこなう方法です。

例えば80kgのベンチプレスを10回行う場合、通常のやり方では10回できても、ゆっくり下ろすと5〜6回しかできなくなります。上げるときは出来るだけ時間をかけずに上げ、5秒を目安にゆっくりと下ろします。

日本で行われた別の研究では、ネガティブトレーニングには最大筋力の65%の重量が用いられました。例えば100kgのベンチプレスがギリギリ1回上げることができる人の場合、65kgの重量でゆっくり下ろすことを意識すれば、ネガティブトレーニングトレーニングの効果が得られることになります。

重い重量のネガティブトレーニング

自力では上げることができないくらいの高重量を扱うネガティブトレーニングは「ピュアネガティブ」や「ネガティブオンリー」とも呼ばれます。

例えば40kgのバーベルカールを1回上げるのが限界の人の場合、自力では上げることができない45kgまで増やして反動の力を使って上げます。トレーニングパートナーがいる場合は、補助をしてもらって上げても構いません。そして下ろす時には自力でゆっくりと下ろすことを意識します。

ネガティブトレーニングの注意点

軽い重量と重い重量のネガティブトレーニングでは、使用される筋繊維がそれぞれ異なります。

軽い重量のネガティブトレーニングでは速筋繊維だけでなく、遅筋繊維もかなり発達します。それに対して重い重量のネガティブトレーニングでは、速筋線維だけが発達することがわかっています。そのため、軽い重量と重い重量のネガティブトレーニングは別々に分けてトレーニングする必要があります。

それらに通常のポジティブトレーニングを加えた3種類のトレーニングをそれぞれ別の日に行うことで、速筋繊維と遅筋繊維をバランスよく鍛えることができます。

また、これら3つのトレーニングを同じ日にやってしまうとオーバーワークに陥ってしまうので注意が必要です。プログラム作成をする際には十分に気をつけましょう。

まとめ

ネガティブトレーニングは、下げる動作を意識的にゆっくりすることで、筋肉への負荷を大きくするトレーニング方法です。ダンベルやバーベルを下ろすことを意識すれば広い意味ではネガティブトレーニングと呼ぶことができますが、その中でも軽い重量と重い重量で行う2種類の方法に分けられ、効果も異なります。

・軽い重量で行うネガティブトレーニングは、速筋繊維だけでなく遅筋繊維も鍛えられる
・重い重量で行うネガティブトレーニングは、速筋繊維を効果的に鍛えることができる

普通におこなうトレーニングよりも強い刺激を与えることができるのがネガティブトレーニングです。オーバーワークに陥らないために、一度に複数のネガティブトレーニングをおこなうのは避けましょう。

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

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