ベンチプレスを行っているトレーニーにとって、100キロのベンチプレスを上げることが目標だと思います。
しかし、100キロのベンチプレスを上げられる人は日本で1%しかいないと言われており、非常に難しい挑戦であることがわかります。
トレーニーにとって、ベンチプレスが人気なトレーニング種目にもかかわらず、100キロを上げる人が少ないということは、どこかの重量で止まっていることが考えられます。
そこで今回はベンチプレス40kg・60kg・80kgという重量ごとに応じたトレーニングメニューを山本義徳先生が紹介します。
ベンチプレスの正しいフォーム
ベンチプレスなどの筋トレは正しいフォームで行わないと、大胸筋などの鍛えたい部位の筋肉に刺激を入れることができません。
そこでベンチプレス100キロを達成するよりも先に、正しいフォームでベンチプレスを行うために意識するべきポイントを説明します。
筋トレ上級者や、ベンチプレスの基本が身についている人は飛ばしてもらってもかまいません。
バーベルは81cmラインを目安に握る
ベンチプレスのバーベルの握る位置を説明します。
一般的なフォームは、バーベルを胸まで下ろしたとき、前腕と地面が垂直になるような位置で握ります。
そのため、バーベルの81cmラインを目安にして、左右が均等になるように握りましょう。
ベンチプレスの基本的なフォームに慣れた人は、斜め上に上げる軌道にすることで重量が伸びやすくなります。
肩甲骨を寄せて、胸を張る
トレーニング用のベンチに仰向けになり肩甲骨を寄せて胸を張った状態で、バーベルをあげることで、大胸筋をより伸縮させることができます。
バーベルを下ろしながら息を吸う
ベンチプレスの呼吸方法として、息を吐きながら上げて、息を吸いながら下ろすことが一般的です。
呼吸を止めて筋トレをし続けると、血圧が上昇して毛細血管が破れる恐れがあります。
そのため、呼吸を止めたとしてもベンチプレスを2回上げて、1回は呼吸をするように心掛けてください。
足でしっかりと踏ん張る
ベンチに仰向けになった状態で、地面に足をつけて踏ん張ることで、肩甲骨を寄せたり胸を張りやすくなります。
上半身ばかりに注意がいきやすいですが、足をしっかり踏ん張ることも重要なポイントのひとつです。
ベンチプレス初心者の平均的な重量は40kg
一般的なベンチプレス初心者の男性の場合、ベンチプレスの最大重量は40kg前後といわれています。
そこでベンチプレス初心者の男性がベンチプレス100キロを上げるためのトレーニングメニューについて紹介します。
60kgや80kgのベンチプレスで止まっている人は、身体の筋肉がベンチプレスの刺激に慣れてしまったことが考えられます。
高重量で少ない回数のトレーニング方法などについても紹介しているため、ご参考にしてください。
40kgから60kgまでのベンチプレスのメニュー
40kgから60kgまで記録を伸ばす方法として、10回3セットの基本的なメニューを山本先生は推奨しています。
基本的な考え方として1セット目の10回は余裕があり、2セット目は少しきつく、3セット目はギリギリ10回できる重量に設定することを心掛けましょう。
さらに、1セット目と2セット目のインターバルとして5分間取ることで、筋肉をある程度休ませることができます。
筋肥大と筋力向上に最適なインターバルについて紹介しているコラムはこちらです。
トレーニング頻度として、間に3日間休みを設けるサイクルで行います。
10回3セットの基本的な考え方と、5分間のインターバルを設けるポイントは「60kgから80kgまでのベンチプレスのメニュー」「80kgから100kgまでのベンチプレスのメニュー」まで変わりません。
トレーニングメニュー
ベンチプレスのトレーニングメニューを紹介します。
山本先生の基本的な考え方として、トレーニング効果を高めるためにウォーミングアップを取り入れています。
最大重量の40%で筋肉を温めて、80%の重量で神経系を活性化させることを、山本先生は推奨しています。
そのため、20kgを20回行うことで大胸筋を温めて、30kgを3回行うことで神経系を活発に働かせる狙いがあります。
- 20kg × 20回
- 30kg × 3回
- 40kg × 10回(インターバル 5分間)
- 40kg × 10回(インターバル 5分間)
- 40kg × 10回
60kgから80kgまでのベンチプレスのメニュー
60kgのベンチプレスまでトレーニングで扱えるようになった人は、先程紹介した基本的なメニューから少し発展させたメニューを行いましょう。
なぜなら同じようなトレーニングを行っていると、身体がトレーニングによる刺激に慣れてしまい、筋肉の発達が停滞する恐れがあるからです。
そのため山本先生が推奨しているメニューは、10回3セットの日と5回3セットの日を交互に行い、間に3日間の休みを組合せた方法です。
10回3セットの日は前述したトレーニングメニューと同じですが、5回3セットの日は少し重い重量で行うことで筋肉に新鮮な刺激が加えられます。
10回3セットの日のトレーニングメニュー
ウォームアップ方法は前回と同様、最大重量の40%で大胸筋を温めて、80%の重量で神経系を活性化させます。
次に、ベンチプレスの重量を増やす目安として、3セット全て10回できたら、次の10回3セットの日に2.5kg増やします。
- 20kg × 20回
- 30kg × 3回
- 60kg × 10回(インターバル 5分間)
- 60kg × 10回(インターバル 5分間)
- 60kg × 10回
5回3セットの日のトレーニングメニュー
ベンチプレスを1回上げられる最大重量(1RM)や最大反復回数(RM)の一覧表を参考に考えると、60kgのベンチプレスを10回×3セット行える人は、70kgのベンチプレスを5回×3セット行えると考えられます。
- 20kg × 20回
- 50kg × 3回
- 70kg × 5回(インターバル 5分間)
- 70kg × 5回(インターバル 5分間)
- 70kg × 5回
https://fitmap.jp/magazine/kintore/bench-press/730/
80kgから100kgまでのベンチプレスのメニュー
80kgの重さのベンチプレスがトレーニングで扱えるようになった人は、60kgのトレーニングメニューにネガティブトレーニングを加えたメニューを行いましょう。
ネガティブトレーニングを行うことで、40kgから80kgまでのトレーニングとは異なる刺激が筋肉に加わり、筋肥大と筋力向上が滞らなくなります。
山本先生が推奨しているメニューは、10回3セットの日・5回3セットの日・ネガティブトレーニングの日を交互に繰り返し、間に3日間の休みを組合せた方法です。
10回3セットの日と5回3セットの日は、上記で説明した内容と同じですが、ネガティブトレーニングの日は最大重量に対して110%の重量で行うことがポイントです。
さらにネガティブトレーニングでは、トレーニングを補助してくれる人と一緒に行うことを山本先生は推奨しています。
ネガティブトレーニングとは、筋肉が伸ばされながら発揮する力を大きくするトレーニング方法です。
ベンチプレスの場合、バーベルを下げるときに大胸筋が伸ばされるため、バーベルを下げる動きがネガティブトレーニングにあたります。
10回3セットの日のトレーニングメニュー
- 30kg × 20回
- 55kg × 5回
- 75kg × 10回(インターバル 5分間)
- 75kg × 10回(インターバル 5分間)
- 75kg × 10回
5回3セットの日のトレーニングメニュー
ベンチプレスを1回上げられる最大重量(1RM)や最大反復回数(RM)の一覧表を参考に考えています。
- 30kg × 20回
- 60kg × 3回
- 85kg × 5回(インターバル 5分間)
- 85kg × 5回(インターバル 5分間)
- 85kg × 5回
ネガティブトレーニングの日
ネガティブトレーニングでは、ベンチプレスの最大重量に対して110%の重量に設定します。
パートナーや補助の人に手伝ってもらいながら、5秒間かけてゆっくり下ろすという方法を、山本先生は推奨しています。
補助的なトレーニング種目
ベンチプレスとは異なるトレーニング種目を補助的に取り入れることで、ベンチプレスを強くすることが可能です。
今回は、山本先生が推奨しているディップスと、大胸筋に効かせられるダンベルフライのトレーニング方法について紹介します。
ディップス
ディップスとは、大胸筋・上腕三頭筋・三角筋に効かせられる自重トレーニングです。
両手のみで全体重を安定させて支えるフォームのため、全身の筋肉群(スタビライザー)が使われます。
ベンチプレス時に、最後まで肘を伸ばせられず潰れてしまう人にオススメのトレーニングメニューです。
- 自重 × 10回
- 自重 × 10回
- 自重 × 10回
自重3セットに慣れてきたら、5回程度できるくらいのウエイトを加えることを、山本先生は推奨しています。
ダンベルフライ
ダンベルフライとは、三角筋や上腕三頭筋への刺激が少なく、大胸筋を刺激できるトレーニング種目です。
ベンチプレスよりもダンベルフライのほうが大胸筋をストレッチさせることができます。
- ベンチプレスの30%の重量 × 10回
- ベンチプレスの30%の重量 × 10回
- ベンチプレスの30%の重量 × 10回
ダンベルフライのポイントは以下で説明しておりますので、ご確認ください。
ベンチプレスで気をつけるべき栄養補給
100kgのベンチプレスを上げるためには、大胸筋のトレーニングだけでなく栄養にも気を配る必要があります。
トレーニング前にプロテインを飲む
ベンチプレスだけにとどまらず、筋トレ前には血中アミノ酸濃度を高めておくことで、トレーニング中に筋肉が分解されることを防ぎます。
そのため、トレーニングの60~70分前までにホエイプロテインを摂って血中アミノ酸濃度を最大にすることを心掛けましょう。
トレーニング中にEAAを飲む
ベンチプレスと一緒に、ディップスやダンベルフライを行うとトレーニング時間が60分を超えることが考えられます。
トレーニングによってエネルギーが不足して筋肉の分解が起こらないよう、トレーニング中のワークアウトドリンクとしてEAAを飲むことを山本先生は推奨しています。
まとめ
ベンチプレス100キロの目標を達成するために、具体的なトレーニングメニューと補助トレーニングを紹介しました。
40kgの人、60kgの人など、ステージごとにトレーニングメニューを紹介しているため、ぜひ実践してください。
- ベンチプレス100キロを達成するには、正しいフォームを身につける
- ベンチプレスの重量に応じたトレーニングメニューを実践する
- インターバルは5分間取る
- プロテインやEAAを積極的に摂取する
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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