グルタミンは運動をする人だけではなく、運動をしない人にもオススメできるサプリメントです。しかし、グルタミンの重要性や働きが正しく理解されていないため「グルタミンサプリメントは不要」「摂取しても効果はない」などと評価される事も少なくありません。
今回は、グルタミンの働きを紹介し「グルタミンを摂取する必要はない」という説のどこに問題があるかを解説します。
グルタミンは効果なし?グルタミンが持つ効果を再確認
まず、グルタミンの働きを確認してみましょう。
そもそもグルタミンとは?
グルタミンはアミノ酸の一種で、筋肉を構成するたんぱく質の主要な成分です。グルタミンは、体内で作り出せる非必須アミノ酸であるため、通常であればサプリメントなどから積極的に摂取する必要はありません。
しかし、トレーニング時や風邪をひいたときなど、身体に大きなストレスがかかると大量に消費されるため、体内で作り出す量だけでは足りなくなる場合があります。
グルタミンが不足すると、身体は筋肉を分解してグルタミンを供給しようとするので、ストレス時には外部から積極的に摂取しなければなりません。
上記のように、グルタミンは特定の条件下で必要量が増大する事から「条件下必須アミノ酸」とも呼ばれています。
なお、グルタミンは飲むだけで筋肥大が見込まれるものではありません。あくまでも「トレーニングなどのストレスで傷ついた筋肉を修復させるもの」と認識しましょう。
グルタミンの働き
グルタミンは筋肉を守る働きや消化管の機能を維持する作用、免疫力を向上させる効果などが認められています。
・筋肉を守る働き
グルタミンの貯蔵量が多いと、身体にストレスがかかっても筋肉が分解されにくくなります。特にトレーニング時は大量のグルタミンが必要となるため、積極的な摂取が欠かせません。
さらに、グルタミンには成長ホルモンの分泌量を高める作用もあります。成長ホルモンは、筋たんぱく質の合成や傷ついた細胞の修復をうながします。グルタミンを摂取すると、トレーニング後の筋肉の修復を早める作用が期待できます。
・消化管の機能を維持する働き
グルタミンには、消化管の状態を良好に保つ働きもあります。グルタミンが不足して腸管粘膜が薄くなると、栄養の吸収が悪くなるだけでなく、ウイルスや細菌が体内に侵入しやすくなります。潰瘍などができる場合もあるため、運動をしない人であってもグルタミンは積極的に摂取すべきでしょう。
・免疫力を高める働き
グルタミンは、免疫細胞のエネルギー源としても利用されます。トレーニングをするとグルタミンが不足しがちになるため、免疫機能が低下するおそれがあります。風邪をひくとグルタミンの必要量がさらに増すため、筋肉の分解につながりかねません。
トレーニングの質を維持し、日々の健康を管理するためにも、グルタミンは重要な栄養素といえます。
グルタミンは不要と勘違いされる理由とは
上記のように、グルタミンは身体にとって欠かせない栄養素です。大切な栄養素にも関わらず、不要論がささやかれるのはなぜでしょうか。それは、以下のような誤解が原因と考えられます。
非必須アミノ酸だから摂取する必要がないという誤解
グルタミンは、体内で生成可能な非必須アミノ酸です。そして、通常は体内に十分な量が蓄積されているため「サプリメントで補う必要はない」と考える人もいます。
しかし、体内にグルタミンがたくさん存在するのは、ほかのアミノ酸に比べて必要度が高いからといえます。前述のとおり、グルタミンは特定の条件下で必要量が増大する「条件下必須アミノ酸」です。トレーニングなどをおこなう場合は、グルタミンを積極的に摂取しなければ体調を崩しやすくなる事も考えられます。
したがって、非必須アミノ酸である事は、グルタミンの積極的摂取を否定する理由にはなりません。
筋肉を肥大させる「攻めのサプリメント」であるという誤解
グルタミンには、筋肉の分解をおさえ、傷ついた筋肉の修復をサポートする働きが認められています。そのため、グルタミンは「オフェンスのアミノ酸」と呼ばれる事もあります。
しかし、グルタミン自体に筋肉量を大きく増加させる作用はありません。グルタミンの働きを正しく理解せず、飲むだけで筋肉がつく「攻めのサプリメント」だと思い込んでいると、十分な効果が得られないため「不要」と判断してしまう可能性があります。
サプリメントを選ぶ際には、自分の求める効果とサプリメントの持つ作用が一致するかどうかをしっかり確認するのが大切です。
上記のほかにも、グルタミンを十分に摂取しておくと風邪の予防などにもつながるため、グルタミンの積極的な摂取は人体にとって、決して損にはならないでしょう。
まとめ
グルタミンはアミノ酸の一種で、筋肉の分解をおさえたり、身体の調子を整えたりするのに欠かせない栄養素です。体内で生成可能で、貯蔵量も多いため「サプリメントで摂取する必要はない」といわれる場合もありますが、運動時や体調不良時には積極的な摂取が望まれます。
なお、グルタミン自体に筋肥大効果はありませんが、EAAやプロテインなど筋肉の材料となるサプリメントと併用すれば、効率の良いバルクアップが期待できます。
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監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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