ダイエット

糖質制限で食後の眠気・だるさがなくなる理由とは?

食後に眠気やだるさを感じて、午後の時間帯は仕事や勉強に集中できないという人もいるかもしれません。食後の眠気やだるさの原因は、血糖値の乱高下といわれています。糖質制限は血糖値の乱高下を予防し、眠気やだるさを抑える効果が期待できます。

この記事では、食後の眠気・だるさと糖質制限の関係性を中心に、具体的にどのような食事をすれば眠気・だるさを解消できるのかを解説します。糖質を摂らないとエネルギーが不足したり、低血糖になったりするのでは?という疑問にもお答えしているので、糖質制限や食後の眠気対策に興味のある人はぜひ参考にしてみてください。

ここでは、山本義徳先生の考える糖質制限の理論を解説します。食事からの糖質摂取をほぼゼロに抑え、脂肪を多く摂ることによって、ブドウ糖ではなくケトン体をエネルギーとして使うケトーシスを目指すもので、ケトジェニックダイエットの理論と同じです。

糖質制限は血糖値スパイクを予防して眠気を抑える

「昼食後の眠気は当たり前」と我慢する必要はありません。眠気の原因を知れば対策が可能です。

眠気の原因「血糖値スパイク」は血糖値の乱高下

食後に眠くなる理由は「血糖値の急激な上昇」です。糖質の摂取で血糖値が急激に上昇すると、上昇した血糖値を下げるために大量のインスリンが分泌されます。その結果、血糖値が一気に低下します。このような血糖値の乱高下が「血糖値スパイク」と呼ばれる状態です。

血糖値スパイクを起こして血糖値が大きく下がると、脳に運ばれる血液の血糖値も下がるため、脳の働きが悪くなって眠気が襲ってきます。この時点で眠気対策としてカフェイン飲料などを摂取すると、飲み物に含まれる糖質で再び血糖値が上昇し、そのあとに血糖値が急降下するという悪循環が起きてしまいます。

糖質制限で血糖値上昇を抑えれば眠くなりにくい

糖質を制限すると食後の血糖値の乱高下が抑えられ、食後の眠気やだるさも予防できます。すべての人がまったく眠くならないわけではありませんが、強烈な眠気はなくなる傾向にあります。

眠気解消のための昼寝や、カフェイン飲料の摂取も不要になるので、就寝時に眠れなくなる事もありません。

適切なケトジェニックダイエットで眠気は防げる?

ケトジェニックダイエットは、十分なたんぱく質と脂肪を摂取し、糖質を可能な限り避ける食事療法なので、血糖値の急激な上昇が起きにくく、強烈な眠気も発生しにくくなります。詳細はのちほど「バルクアップ目的なら糖新生はNG」でも解説します。

ただし、ケトジェニックダイエットによる血糖値の変化には個人差があります。血糖値がまったく上昇せず、眠気を完全に感じなくなるわけではないため注意が必要です。

糖質を摂らないとエネルギーが出ない?

ご飯やパンなどの糖質を摂取しなければ眠気は起きにくくなります。しかし、よくいわれている事として、糖質を摂取しないと「身体がエネルギー不足になる」「低血糖になって危険」「逆に眠くなる」という主張があります。

糖質制限してもエネルギーは糖新生で作られる

基本的に、たんぱく質と脂質を十分に摂取していれば、糖質を抜いてもエネルギー不足にはなりません。

人間の体内には「糖新生」という仕組みがあります。糖新生では、脂肪から分解されるグリセロールや筋肉のアミノ酸を原料に体内で糖を作り出せるので、糖質がなくてもエネルギーが不足せず、血糖値も維持できます。

バルクアップ目的なら糖新生はNG

ただし、バルクアップ目的でトレーニングしている人は、糖新生はできるだけ起こさないほうが良いでしょう。糖新生は、おもに筋肉中の「糖原性アミノ酸」を使っておこなわれるため、糖新生が活発になると筋肉の分解が進んでしまうからです。

糖新生を抑えるためには、身体を「ケトーシス」に切替える必要があります。ケトーシスとは、ブドウ糖ではなくケトン体をエネルギー源として多く利用する状態です。ケトーシスになるには、糖質をほぼゼロまでカットするほか、総カロリーの60%以上を脂質で摂取し、糖新生を起こしにくい「ケト原性アミノ酸」を多く摂取する必要があります。

近年注目されているケトジェニックダイエットは、ケトーシスの状態でおこなうダイエットです。ケトーシスに切替わるまでは、プロテインではなく、ケト原性アミノ酸のロイシンとリジンが配合されたBCAAやEAAを優先的に摂取しましょう。特にEAAは、BCAAに含まれる成分もカバーできるので便利です。

ケトジェニックで注意するべきポイントや食べ物について詳しく知りたい人は、以下の動画をご覧ください。

ケトジェニックダイエットをサポートするアイテム『VALX シリーズ』の商品詳細は以下からチェックできます。

食事は抜かない

眠気を防ぎたい場合でも、食事をまったく摂らなければ低血糖で眠気が襲ってくる可能性があります。食事はしっかり摂るようにして、エネルギー不足につながるカロリー制限もしないように注意しましょう。

昼食を摂る時間があまりなければ、チーズやナッツなど、手軽に摂取できて糖質が低く、高たんぱく質・高脂質な食品がオススメです。昼食の代わりにプロテインを飲むのも良いでしょう。

まとめ

食後の眠気やだるさは、血糖値の乱高下「血糖値スパイク」が原因です。糖質を制限すれば血糖値スパイクが抑えられ、食後の眠気やだるさが起きにくくなります。

糖質を制限しても、たんぱく質や脂質を十分摂取していれば、糖新生によりエネルギー不足にはなりません。ただし、バルクアップを目指している人は、筋肉分解につながる糖新生をなるべく起こさないよう、ケトーシスに切替える必要があります。糖質をゼロにしつつ、脂質を十分に摂取し、糖新生が起きにくいロイシンやリジンを多く摂取するのがオススメです。

低血糖を防ぐためにも、食事は抜かずにしっかり摂るようにして、午後の眠気とだるさを解消しましょう。

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

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