糖質制限のやり方が間違っていると、リバウンドにつながりやすくなります。リバウンドを防ぐためには、エネルギーに関わる糖質や脂質の仕組みを理解して、糖質制限の正しいやり方を知る事が大切です。
この記事では、効果が期待できる糖質制限の正しいやり方を解説し、具体的なオススメ食品と避けるべき食品をご紹介します。正しい知識を身につけて、結果につながる糖質制限をおこないましょう。
ここで解説するのは、山本義徳先生の考える糖質制限の理論です。食事からの糖質摂取をほぼゼロに抑え、脂肪を多く摂ることによって、ブドウ糖ではなくケトン体をエネルギーとして使うケトーシスを目指すもので、ケトジェニックダイエットの理論と同じです。
糖質制限は簡単?効果的なやり方を解説!

糖質制限はどのようにおこなうと効果的なのか、具体的な方法と注意点を解説します。
糖質制限のやり方
糖質制限は、糖質が多めの食材を抑え、その分たんぱく質や脂質などを摂取する食事療法です。さまざまなやり方が提案されており、明確な方法は決まっていませんが、代表的な方法として以下のようなものがあります。
- アトキンスダイエット:アメリカの医師、ロバート・C・アトキンスが考案したダイエット方法で、1日の糖質量を40g未満(20~40g)にする。たんぱく質・脂質はたっぷり食べていい
- ケトン食:摂取エネルギーの60~90%を脂質で摂取する
- ケトジェニックダイエット:たんぱく質:脂質:炭水化物のバランスを3:6:1くらいにする
3つの方法に共通しているのは、糖質を極端に制限し、脂質の摂取量を増やす点です。
1日のうち1食だけ糖質を減らすような中途半端な制限では、実質的にはカロリー制限とあまり変わらないため、糖質制限本来の効果を得ることはできません。
糖質制限本来の効果とは、ブドウ糖ではなくケトン体をメインのエネルギー源にする「ケトーシス」になる事です。ケトーシスになるには、糖質の摂取量を可能な限りゼロにし、総摂取エネルギーの60%以上を脂質にするのがポイントです。
また、山本義徳先生が推奨するケトジェニックダイエットの理論では、ダイエットの初期において、糖新生につながりやすい糖原性アミノ酸が含まれるプロテインをなるべく控えます。
糖新生とは、身体のおもなエネルギー源である糖質が不足した場合に、筋肉を分解してできたアミノ酸から糖質を作り出す作用です。糖質の摂取量をゼロにしても、糖新生で糖質が作られるとケトーシスに切替りにくくなります。糖質制限を始めたばかりで、まだケトーシスになっていない段階ではプロテインを控えて、糖新生につながりにくいケト原性アミノ酸のロイシンとリジンが含まれるBCAA・EAAを優先的に摂取してください。
ケトジェニックダイエットの理論については、以下の動画で詳しく解説されているので、あわせてご覧ください。
糖質制限の注意点
糖質制限をするときは、エネルギー不足にならないよう注意が必要です。糖質を抜く事で減ったカロリーは、脂質やたんぱく質で補う必要があります。
糖質制限のやり方で多い間違いは、脂質も同時に制限してしまう事です。ローカーボ(低糖質)+ローファット(低脂質)の組合せは、体重を急激に落とす効果はありますが、筋肉量もかなり落ちるためリバウンドしやすくなります。栄養失調に近い状態でもあり、健康的な痩せ方とはいえません。この状態でいくら十分なたんぱく質を摂取しても、糖新生が起きてしまい、筋肉の分解は避けられません。
多くの日本人は、食事で脂肪を大量に摂取する習慣がありません。そのため、意識しないと脂肪摂取量は不足しがちです。次の章でもご紹介しますが、肉・魚・卵・チーズ・ナッツなどから良質な脂質をたくさん摂取しましょう。脂質は総摂取エネルギーの60%以上を目安にしてください。
糖質制限で食べるべきものと食べないほうがいいもの

糖質制限は、エネルギー源としてケトン体を利用できるようになるのが本来の目的です。糖質制限を効果的におこなうためには、食べたほうがいい食品と避けたほうがいい食品を把握しましょう。
糖質制限で食べるべきもの
糖質制限中に積極的に食べるべきものは、以下のように糖質の含有量が少ない、またはゼロの食品や、良質な脂質を多く含む食品です。
- 牛肉・豚肉・鶏肉などの肉類
- 魚介類
- チーズ
- 卵
- 豆腐・納豆・枝豆などの大豆製品(糖質もそれなりに含むので食べすぎに注意)
- ナッツ類
- きのこ類
- 海藻類
- アボカド
- コンニャク
- MCT(中鎖脂肪酸)オイル
糖質制限で食べないほうがいいもの
以下の食品は糖質含有量が多いため、糖質制限中は避けたほうがいいでしょう。
- 穀物類:米(玄米を含む)、パン類・麺類(ラーメン・うどん・そば・パスタなど)・餅・トウモロコシなど
- 根菜類:ジャガイモ、サツマイモ、レンコン、ニンジン、タマネギなど
- 甘い果物:ブドウ・リンゴ・バナナなどほとんどの果物・ドライフルーツ
- でんぷん含有食品:葛(くず)・春雨など
- 砂糖などの甘味料を使った食品:ケーキ・和菓子・チョコレート・アイスクリーム・砂糖入り清涼飲料水・ジュースなど
- 糖質の多い調味料:ケチャップ・一部のソースやドレッシングなど
- お酒:ビール・日本酒・ワインなどの醸造酒
なお、つき合いでお酒を飲む必要があるシーンでは、糖類があまり含まれていない焼酎やウイスキーなどの蒸留酒を選ぶようにしましょう。
糖質制限中は摂取カロリーを控えすぎない
糖質制限で多い間違いは、カロリー制限を同時におこなってしまう事です。糖質制限ではカロリーを控えすぎる必要はありません。糖質を抑えつつ、たんぱく質と脂質を十分に摂取し、基礎代謝以上のカロリーを摂取するよう心がけましょう。
糖質制限+カロリー(糖質を制限しているのでおもに脂質)制限では、筋肉の分解は避けられません。筋肉量が減ると基礎代謝が低下し、普通の食事に戻したときにリバウンドしやくなります。
ちなみに、糖質制限では栄養バランスもあまり意識しなくてかまいません。肉、卵、チーズといった食品を十分に摂取していれば、必須アミノ酸や必須脂肪酸、ビタミン、ミネラルなどの必須栄養素は自然と補給できます。
なお、糖質制限後のリバウンドの原因としては糖耐能の低下もあげられます。糖質を制限していると、ブドウ糖を処理する能力である糖耐能が弱まり、筋肉のインスリン感受性(血液中のブドウ糖を筋肉に取り込む作用)が一時的に低下します。筋肉に取り込まれなかった大量のブドウ糖は、中性脂肪として蓄積されてしまうため、リバウンドにつながるのです。
リバウンド対策については、以下の記事で詳しく解説されているので、ぜひ参考にしてみてください。

まとめ
糖質制限は、糖質をなるべくゼロにする事と、たんぱく質・脂質の十分な摂取が大切です。
糖質制限の初期には、エネルギー不足による糖新生で筋肉が減らないよう、糖原性アミノ酸の摂取を減らし、ケト原性アミノ酸であるロイシンとリジンを摂取するのがポイントです。リバウンドを防ぐために、肉・魚・卵・チーズ・ナッツなどで良質な脂質を十分に摂取し、基礎代謝以上のカロリーを確保しましょう。
正しい知識でおこなえば、リバウンドしにくい糖質制限が実現するはずです。記事中でご紹介した、山本義徳先生による解説動画もぜひ参考にしてください。
監修者情報

山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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