効率良く筋トレをするために、BCAAを取り入れてみたいと思っている人は多い事でしょう。BCAAは、役割やその作用を詳しく知ることで、効果的に取り入れる事が可能です。
この記事では分岐鎖アミノ酸のBCAAについて特徴や役割、得られる効果について解説します。「筋トレ効果を高めたい」などの理由でBCAAに興味を持つ人は、ぜひ参考にしてみてください。
BCAAとは身体づくりに大切な必須アミノ酸の事!
まずは、筋トレ効果の向上をサポートしてくれるBCAAについて詳しく見ていきましょう。
BCAA(分岐鎖アミノ酸)とは?
BCAAとは、必須アミノ酸のなかで「分岐鎖アミノ酸」に分類されるバリン・ロイシン・イソロイシンの3種類の総称です。
バリン
バリンは、筋肉などの成長に関与するアミノ酸です。この成分が不足すると、食欲低下や栄養不良を引き起こしやすくなります。血液中の窒素バランスを整えたり、肝機能をサポートしたりする働きもあります。
ロイシン
ロイシンは、たんぱく質の合成を中心とした筋肉維持に必要なアミノ酸です。バリンと同じ肝機能サポートのほかに、肝細胞の分化や増殖を正常に導く働きもあります。また、血糖コントロールのサポートができるところも、ロイシンの大きな特徴です。
イソロイシン
バリンやロイシンと同様に、筋肉強化や肝機能のサポートなどに役立つアミノ酸です。ほかの2つと異なる役割としては、疲労時の神経の働きのサポートといったものがあげられます。また、血液中のヘモグロビン形成にも欠かせない成分となります。
BCAAの役割とは?
BCAAは、筋肉を構成するたんぱく質である筋たんぱく質や血液中に多く含まれ、筋肉を動かすときのエネルギー源として使われます。
BCAAを摂取すると、腸から成分が吸収されて血液中のBCAA濃度が高まります。そして、摂取から30分ぐらい経つと血中濃度がピークを迎え、筋トレのエネルギー源として活用可能になるというわけです。
なお、BCAAなどの必須アミノ酸は、人間の体内で作り出す事ができません。筋肥大や健康維持のためにも、食事やサプリメントで摂取をする必要があります。
BCAAを含んでいる食べ物とは?
BCAAは、一般的な食材に含まれるたんぱく質で、毎日の食事から摂取する事が可能です。BCAAの含まれる食材には以下の食品があります。
- まぐろの赤身
- かつお
- 鶏肉(むね・もも)
- 牛肉
- 納豆
- 高野豆腐
- 卵 など
ただし、食べ物からBCAAを摂る場合、食べ過ぎによるカロリーやコレステロールなどの過剰摂取にならないよう気をつけなければいけません。
特に、大きな筋肉づくりなどを目的にトレーニングや食事のコントロールをしている場合は、食事だけからBCAAを摂取しようとせず、サプリメントを活用すると効果的です。
BCAAは増量にも減量にも役立つ!4つの効果
筋トレをするときにBCAAを摂取すると、以下の4つの効果が期待できます。
1. 筋肉の分解を防ぐ
BCAAを摂取する最大のメリットは、筋トレなどの運動をするときに、大事な筋肉が分解されるのを防げる点です。
人間の身体は、運動時のエネルギーとして、筋肉に蓄えられているグリコーゲン(糖質)や脂肪を使います。これらを分解しても足りない場合は、血液中にある糖分やBCAAなどからもエネルギーを作り出します。
つまり、筋肉が蓄えていたたんぱく質を分解してエネルギーとして利用してしまうのです。
筋トレなどの運動時にきちんとBCAAを摂取しておけば、大事な筋肉の分解を防ぐ事ができ、エネルギー不足にも陥りにくくなります。目的に合った筋トレの効果も得られやすくなるでしょう。
なお、BCAAをサプリメントで摂取すれば、余分なカロリー摂取をせずに筋肉分解を軽減でき、ダイエット効果も期待しやすくなります。
2. 筋肉量の増加を促す
BCAAは、筋肉を強く大きくするうえでも非常に役立ちます。
BCAAのなかで特に注目したいのが、筋肉合成のスイッチを押してくれる「ロイシン」です。筋肉の合成は、細胞内のシグナル伝達に関係するmTORによって促されており、ロイシンにはこのmTORを活性化する働きがあるとされています。
ある研究では、ロイシンの血中濃度がある程度まで上昇したときに、筋肉の合成がスタートするという結果が出ています。
強く大きな筋肉を作るためには、血液中のロイシン濃度を一気に上げる事のできるBCAAの摂取が大切になります。
3. 持久力を向上させる
運動前のBCAA摂取には、疲労を軽減し、スタミナを向上させる働きもあります。これは、運動時の筋肉のエネルギーとして摂取したBCAAを使う事で、体内での糖分の利用が抑制され、結果として疲労の原因となる乳酸が生まれにくくなるからです。ランニングなどの長時間にわたる有酸素運動の前後に活用してもいいでしょう。
スポーツ直後や寝る前にBCAAを摂取すれば、損傷や疲労が蓄積した筋肉の回復を早めたり、筋肉痛などのダメージを軽くしたりする事も期待できます。
4. 集中力の向上
トレーニング中に身体疲労が生じると、アミノ酸の1種であるトリプトファンの影響でセロトニンの分泌が促されます。セロトニンには気持ちを安定させてリラックスさせる効果がありますが、眠気などを引き起こすので、トレーニング中の集中力が維持できなくなってしまいます。
BCAAは、トリプトファンの脳内への取込みを阻害するので、セロトニンの生成を防いでくれます。結果として、トレーニング中の集中力向上につながるでしょう。
まとめ
BCAAとは、分岐鎖アミノ酸(バリン・ロイシン・イソロイシン)の総称です。BCAAは、筋肉を構成する筋たんぱく質や血液に含まれています。このアミノ酸を摂取する事で、筋肉の分解を防いだり、増強を促したりする効果を得られます。
また、持久力や集中力の向上・肝機能のサポートなども期待できます。身体づくりは、BCAAを摂取するところから始めましょう。
筋肉を作る材料をさらに効果的に摂取したい人にはなくEAAもオススメです。EAAには、必須アミノ酸がBCAAより多く、吸収スピードも速い特徴があります。
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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