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筋トレの時間に関する疑問を解決!ベストな時間帯は?長時間やると良くない?

筋トレをどの時間帯に、どのくらいの長さおこなうべきなのか迷うことがあるかもしれません。この記事では山本義徳先生が、筋トレをおこなうべき時間帯の考え方と長時間の筋トレが良くない理由を解説します。

筋トレのベストな時間帯はいつ?

筋トレをどの時間帯におこなうべきかを一概に答えることは難しいものです。それぞれの時間帯におこなうメリットを知った上で、自分のライフスタイルに合わせて取入れるのが良いでしょう。

筋トレを夕方の時間におこなうメリット

さまざまな研究の結果に基づいた推論では、筋トレは夕方から夜にかけての時間帯でおこなうのがベストだと言われています。

起床後すぐは、エネルギーが不足している状態です。エネルギー不足の状態で筋トレをおこなってしまうと、筋肉を分解してアミノ酸を取出すことでエネルギーが補われます。

朝食・昼食をしっかり食べて身体の中に筋トレのエネルギー源であるグリコーゲンをしっかりと貯め込んでから筋トレをした方が、筋肉が分解されるリスクも少なく、筋トレのパフォーマンスも向上すると言われています。

筋トレを朝の時間におこなうメリット

一方で、筋トレを朝におこなうメリットもあります。原始時代の人はもともと、朝起きてすぐ狩りをおこなっていました。そのため朝の時間帯にはコルチゾルやテストステロンなどの運動のパフォーマンスを向上させるホルモンの分泌が活発です。朝の時間帯はグリコーゲンは少ないものの、それらのホルモンの働きにより血糖値は高い状態です。

筋肉量を増やすことが目的ではなく、ダイエットや運動不足解消のために筋トレをおこなうのであれば、朝の方が良いパフォーマンスを発揮できる人もいるでしょう。

筋トレと食事のタイミング

筋トレを食事前もしくは食事後にどちらのタイミングでおこなうのが良いのか迷うこともあるでしょう。

まず避けたいのが、空腹時に筋トレをおこなうことです。空腹で血糖値が下がった状態で筋トレをしてしまうと、足りないエネルギーを補うために筋肉の分解が進んでしまいます。

逆に、食後すぐの筋トレもオススメできません。食べてすぐだとまだ血糖値も上がりきっていません。また消化のために内蔵で血液が必要になるため、筋肉に流れる血液が足りない状態になりがちです。また、胃にまだ食べ物が残った状態で筋トレをすると、不快感を覚える人も多いでしょう。

筋トレは、食事をしてから2時間くらい経った状態でするのが良いと言われています。血糖値をある程度高く保った状態で筋トレをおこなうことで、筋肉の分解を防ぎ、さらには筋トレのパフォーマンスもより高くなることが期待できます。

ライフスタイルに合わせた時間におこなうのがベスト!

当然、人によってライフスタイルは千差万別です。筋トレをできる時間帯も生活や仕事の関係により異なります。そして人によって体質もさまざまです。

例えば、夕方に筋トレをおこなってしまうとアドレナリンが出て夜に眠れなくなってしまう人もいます。そのような人は、朝から昼の時間帯に筋トレをおこなうのが良いでしょう。

また、生活リズムが昼夜逆転しており、真夜中に筋トレをおこなうと一番良いパフォーマンスを発揮できるという人もいるでしょう。結局は自分の体質や生活スタイルに合わせた時間帯でおこなうのがベストだということになります。

どの時間帯に筋トレをするのがベストかを一概に決めるのは難しいものです。しかし、どの時間帯に筋トレをおこなう場合でも、1回の筋トレにかけるべき時間の長さには目安にしたい基準があります。

長時間の筋トレが良くない理由

1回のトレーニング時間が2時間を超える人も珍しくないなか、山本義徳先生自身は1回のトレーニングを1時間ほどで終わらせているそうです。これには筋肉の発達のための科学的根拠に基づいた理由が存在します。

筋トレ時間は75分以内がベスト

筋肉を発達させたいのであれば筋トレは長くても75分以内を目安に終わらせるべきだと山本義徳先生はいいます。75分を大幅に過ぎてしまうと、筋肉を分解してしまうコルチゾルというホルモンの分泌が増え、さらには男性ホルモンであるテストステロンのレベルが下がり筋トレのパフォーマンスも下がってしまいます。

そうなると筋肉が増えるどころか逆に減ってしまうことにもなりかねません。

長時間の筋トレが逆効果になる理由

筋肉を増やすことを目的とする筋トレは無酸素運動に分類されます。無酸素運動の特徴は、発揮出来るパワーが大きい代わりに、運動を持続出来る時間が短いことです。無酸素運動によって筋肉が発達を促進する刺激を得ることができます。

逆に、長時間走るマラソンなどの運動は有酸素運動と呼ばれます。筋肉が発揮するパワーは弱い代わりに、長時間の運動を続けることが可能です。有酸素運動は脂肪燃焼に効果がある反面、長時間続けることで筋肉が分解されやすいというデメリットがあります。

筋トレは本来、短い時間しかおこなうことができない無酸素運動のはずですが、長時間おこなうことができるということは、それは強度が弱いということになります。時間が長くなることで無酸素運動がどんどん有酸素運動に近くなり、エネルギーの発揮形態も有酸素運動をおこなうときのものに近づいていきます。そのため無酸素運動で得られるはずだった、筋肉を発達させる刺激が、筋トレの時間が長くなればなるほど得られにくくなってしまうのです。

また、筋トレによって発達しやすいのは速筋繊維です。しかし有酸素運動をおこなうことで使われるのは主に遅筋繊維です。長時間続ける筋トレでは、発達しやすい速筋繊維に刺激を入れることができないということになります。

以上の点が、筋肉の発達させるためには、筋トレを高強度かつ短時間でおこなうべき理由です。

インターバルの時間は?

インターバルとはセットの間に筋肉を休ませるためにとる休憩時間のことです。インターバルを十分に取らずに次のセットへ移ってしまうと、筋トレのパフォーマンスが下がってしまい、筋トレの効果が得られにくくなってしまいます。

インターバルは長くとる

1回の筋トレにかけるトータルの時間は短い方が良いという反面、筋トレのセット間のインターバル(休憩時間)はある程度長くとった方が良いと山本先生はいいます。なぜなら筋肉をある程度回復させた方が次のセットでより高重量を扱うことができ、筋肥大や筋力向上に効果があると分かっているからです。

ひと昔前までは、セット間のインターバルは短い方が成長ホルモンが活発になり筋肥大に効果があると言われていましたが、現在では成長ホルモンは脂肪燃焼を促進する効果はあっても、筋肥大や筋力向上にはあまり影響を及ぼさないことが分かっています。

特に、筋肉を発達させることを目的とした高重量を扱う筋トレの場合は、筋トレのセット間には少なくとも5分のインターバルをとるようにしましょう。

筋トレ時間を短くするための時短テクニック

種目数が増えるほど、1回の筋トレの時間を短く抑えるための工夫が必要になります。また、そもそも忙しくて筋トレに割くことができる時間があまり無いという人もいるでしょう。そのような場合でも活用できるテクニックをご紹介します。
<h3>スーパーセット

ある程度のインターバルをしっかりと取りながらも、筋トレの時間を短く収めなければならないのは難しいものです。インターバルの時間が長くなるほど1回の筋トレでおこなうことができる種目の数は減ってしまいます。

そこで活用したいのがスーパーセットと呼ばれる方法です。スーパーセットでは異なる2つの種目をインターバルを取らずに連続でおこない、それを1セットとして数えます。例えば上腕二頭筋と上腕三頭筋のように、互いの筋肉が拮抗する関係のスーパーセットが効果的です。上腕二頭筋が使われる時には、上腕三頭筋がストレッチされて回復が促進されます。

このような工夫を取り入れることで、長くなりがちな筋トレ時間を短縮することができます。

関連記事:いつもとは違う刺激を入れるセットの組み方を山本義徳先生が解説

山本スペシャル

筋トレできる時間があまりない時、もしくは筋トレの最後の締めに活用したいのが山本スペシャルです。山本スペシャルとは、山本義徳先生が考案したオリジナルの筋トレ方法で、同じ種目を、高重量・中重量・低重量と3つの重さに分けて連続でおこなう方法です。

関連記事:山本スペシャルでサイドレイズがさらに効く!山本義徳先生オリジナルメソッドを解説

あまり時間がない時は山本スペシャルを1セットおこなうだけでもある程度は筋肉を追い込むことができます。また、ベンチプレスなどの高重量を扱うことのできる種目をしっかりとインターバルを取りながらおこなった後に、ダンベルフライなどのターゲットに刺激が集中しやすい種目で山本スペシャルをおこなうのも効果的です。

まとめ

筋トレをどの時間帯におこなうのが良いのかは個人差が大きいため、一概に言うことはできません。自分がどの時間帯に一番パフォーマンスを発揮できるか、そして自分の生活リズムとの兼ね合いで、自分にとってのベストな時間帯を見つけていくべきでしょう。

一方で、1回の筋トレにかける時間の長さは75分以内が良いことは誰にでも共通して言うことができます。筋トレ時間が75分を大幅に超えてしまうと、筋トレのパフォーマンスが下がり、筋肉も分解されやすくなってしまいます。筋トレは高強度かつ短時間でおこなうのが理想的です。

ある程度長いセット間のインターバルを取りながらも、筋トレを短時間で終わらせるためには、スーパーセットや山本スペシャルなどの工夫も取入れてみましょう。スーパーセットでは拮抗する関係の筋肉を同時に鍛えることができ、山本スペシャルでは速筋繊維と遅筋繊維を同時に鍛えてより強い刺激を与えることができます。

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

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