昔からダイエットをしたければランニングをすれば良いといわれてきました。しかし最近では、HIITと呼ばれる無酸素運動がダイエットに効果的だといわれています。
実際、HIITとランニングではどちらがダイエットやトレーニングに役に立つのでしょうか?
今回はHIITとランニングを比較します。それぞれのトレーニングの特徴・効果・違いとともに、HIITとランニングの組合せが良いのか悪いのかも紹介します。身体を鍛えるすべての人に役に立つ内容ですので、ぜひ参考にしてください。
「どっちがいい?」HIITとランニングの比較
まずはHIIT とランニングの比較をしていきます。どちらもダイエットに効果があるとされていますが、どのような違いがあるのか、それぞれの特徴を見ていきましょう。
HIITの特徴
HIITは「High Intensity Interval Training」の略称、高強度インターバルトレーニングの事です。
トレーニングは、20秒間の全力運動を10秒間のインターバル(休憩)を挟みながらおこないます。最初はこれを6~8セット繰返しましょう。
20秒間の全力運動の種類は、エアロバイクなどの局部的な運動でも問題ありませんが、ダッシュやバーピーなどの全身運動のほうがより高い脂肪燃焼効果が期待できます。
20秒間の全力運動をおこなうHIITは無酸素運動です。高強度トレーニングのため、非常に疲れる運動ですが、頑張って続けましょう。
一度のトレーニングを休まずにおこなうと、5分間程度で終了します。時間がない人でも、効果的なトレーニングが可能です。
HIITはおもに瞬発系の筋肉である速筋が鍛えられます。速筋は筋肥大を起こしやすく、トレーニング効果が現れやすい筋肉です。
まさにHIITは、効率良く身体を鍛えたい人にオススメの運動といえるでしょう。
HIITトレーニングをもっと詳しく知りたい人は以下の動画をご覧ください。
ランニングの特徴
ランニングは、いわゆるダイエットなどを目的とした代表的な有酸素運動の一つです。身体にかかる刺激は、低強度でゆっくりとしたペースで長時間走るのがポイントです。
1回のランニングにかかる時間は約30~40分です。時間をかけてゆっくりと身体を動かしていきます。ランニングで鍛えられるのは瞬発系の筋肉ではなく、遅筋と呼ばれる持久力に関係する筋肉です。
HIITとランニングの比較
HIIT | ランニング | |
運動の種類 | 無酸素運動 | 有酸素運動 |
鍛える筋肉 | 速筋 | 遅筋 |
運動強度 | かなり強い | 弱い |
かかる時間 | 5分 | 30~40分 |
向いている人 | 体力のある人 効率良く身体を鍛えたい人 |
運動初心者 |
ランニングではなくHIITを推奨する理由
トレーニングの目的にもよりますが、トレーニングでバルクアップを目指したい人の場合、特にランニングはオススメできません。
ランニングは瞬発系ではなく持久力系の筋肉が働くため、速筋繊維が遅筋線維に変わりやすくなります。速筋繊維は爆発的な力を発揮するために必要な筋肉であるのに対し、遅筋は長期間身体を動かすのに必要な筋肉です。速筋が遅筋に変わると大きな力を出しづらくなり、トレーニング効果が低下してしまいます。
ランニングばかりしていると身体の回復能力も低下しやすくなるため、これも筋肉の成長を妨げる要因になっています。
ランニングなどの有酸素運動は、UCP(Uncoupling Protein/脱共役たんぱく質)を減少させます。
UCPは運動などをせずとも身体の熱を高める効果があるため、UCPが減少すると冷え性や低体温になりやすく、結果的にエネルギーが消費されにくくなります。
UCPには脂肪を燃焼させる効果があり、身体を動かしていないときでも脂肪は燃焼します。その点でも、ランニングのやりすぎは推奨できません。
ウエイトトレーニングをしている人なら、やはり無酸素運動であるHIITだけをおこなうのがオススメです。無理にランニングと組合わせておこなう必要はありません。
HIITだけのトレーニングであれば速筋が遅筋に変わらず、UCPの減少も起こりません。やりすぎには注意が必要ですが、適度におこなえば身体へのダメージも少なく、回復能力も低下しません。
このような理由から、トレーニングによってバルクアップを目指している人にはランニングではなくHIITを推奨します。
ダイエットに有酸素運動が向かない理由は、以下の動画でも紹介しています。ぜひ参考にしてください。
まとめ
ダイエットに効果的な運動は数多くありますが、HIITは特に効果的なトレーニング方法です。
昔からダイエットにはランニングが効果的とされていましたが、現在はランニングによるダイエット効果はあまり期待できないという結論になっています。
「HITTとランニングの両方をおこなうのが良いのでは?」という人もいるかもしれませんが、HIITのみをおこなうだけでも十分に効果があります。
バルクアップを目指したい人にも、HIITは効果的なトレーニングです。
本気で痩せたいのであればランニングをHIITに変えるのも良いかもしれません。
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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