低炭水化物ダイエット・糖質制限ダイエット、どちらもよく目にするダイエット法ですが、どう違うのか疑問を持っている人もいるでしょう。
今回の記事では、低炭水化物ダイエットの定義・糖質制限ダイエットとの違いを解説したうえで、期待される効果と具体的な方法、成功のポイントを解説します。
健康的かつ効果的なダイエットをおこなうには、正しい知識が不可欠。ぜひ参考にしてください。
低炭水化物ダイエットとは
低炭水化物ダイエットは、炭水化物の摂取量を減らし、食事をたんぱく質・脂質中心にするダイエット法です。
低炭水化物ダイエットと糖質制限ダイエットの違い
低炭水化物ダイエットと糖質制限ダイエットの明確な違いはありません。ただし、低炭水化物ダイエットより糖質制限ダイエットのほうが、より極端に炭水化物の摂取量を減らすという意味合いで使われるケースが多いようです。
ただし、定義に明確な違いはありません。炭水化物とはイコール糖質です。低炭水化物ダイエットと糖質制限ダイエットは同じ意味と考えても問題ないでしょう。
また、糖質制限ダイエットと同様、ローカーボも同じ意味合いで使われています。
低炭水化物ダイエット=ケトジェニックダイエット
糖質制限ダイエットによって脂質を体内でケトン体という物質にし、これをエネルギー源とする状態を「ケトーシス」と呼びます。身体をケトーシス状態にする食事療法は「ケトジェニックダイエット」と言います。
つまり、低炭水化物ダイエットは糖質制限ダイエットでもあり、ケトジェニックダイエットとも言えます。
以上の事から、この記事ではこの3つのダイエット方法を同じ意味として扱っています。
低炭水化物ダイエットの効果と魅力
低炭水化物ダイエット(=ケトジェニックダイエット)を適切な方法でおこなうと、筋肉量を維持しながら効率良く体脂肪を落とせます。炭水化物の摂取を制限する事で、身体はブドウ糖ではなく、中性脂肪・体脂肪をエネルギー源として使うようになるためです。
低炭水化物ダイエットのポイントは脂肪摂取量
炭水化物を制限するだけだと、身体は「糖新生」状態になりがちです。糖新生とは、身体が筋肉中のアミノ酸を使ってブドウ糖を作り出す状態で、筋肉量が減ってしまいます。糖新生を防ぐためには、脂肪の大量摂取がポイント。PFCバランス(たんぱく質:脂質:炭水化物のバランス)は、3:6:1を目安にすると良いでしょう。
PFCバランスを3:6:1程度にすると、前述の「糖新生」(エネルギー不足による筋肉の分解)が防げます。筋肉分解が防止できれば基礎代謝の低下も起きず、リバウンドのリスクも減少し、健康的なダイエットの実現に近づきます。
ケトジェニックダイエットは食欲と戦わずに済む
ケトジェニックダイエットは食事量自体の制限はなく、空腹に耐えるストレスを感じにくいダイエット法です。食欲と戦わずに済むため挫折しにくく、糖質に気を付ければ、面倒なカロリー計算が不要なのも魅力。もちろん、度を超えた食べ過ぎはカロリーオーバーなのでNGです。
低炭水化物ダイエットのやり方
低炭水化物ダイエット、すなわちケトジェニックダイエットを成功させるやり方・コツを解説します。
炭水化物(糖質)は1日50g以下にする
一日に摂取する炭水化物(糖質換算で食物繊維は除く)は、多くても50gまでに抑えます。50g以上炭水化物を摂取したら、低炭水化物ダイエットとは言えません。50g未満に抑えられたら、より効果が期待できるでしょう。
具体的には、ごはん・パンなどの主食はすべてNGです。玄米だから大丈夫・全粒粉パンだから問題ないなどの解釈は、低炭水化物ダイエットでは間違いです。玄米も全粒粉小麦粉も糖質に変わりありません。血糖値が上がりにくいとされている低GI食品も、糖質量の観点で判断すると除外対象です。
脂肪を大量に摂取する
低炭水化物ダイエットは、身体をケトーシス状態に切替え、体脂肪を効率良く落とします。炭水化物の摂取量を抑えると同時に、脂肪の大量摂取が低炭水化物ダイエット成功のポイント。脂肪をたくさん採らないと、脂肪と脂肪の代謝産物“ケトン体”をメインのエネルギーとする状態(ケトーシス)にはなりません。
一日の総摂取カロリーの60%以上を脂肪でまかなうのが基本です。肉・魚・卵・チーズ・ナッツなど良質な脂肪の摂取源を材料に、食事メニューを考えます。さらにエネルギーになりやすいと言われているMCTオイルを加えると、ケトーシスに入りやすいはずです。
炭水化物摂取は徐々にではなく一気に制限する
低炭水化物ダイエットのやり方として多い間違いは、徐々に炭水化物の摂取量を減らしてしまう事です。効率良く効果を出すためには、「いきなり」一日50g以下に制限してください。
中途半端に炭水化物を摂取していると、身体はなかなかケトーシスに切替りません。身体がブドウ糖代謝の状態なのに炭水化物の摂取量が通常の食事よりも少ないと、低血糖になりやすく、体調不良を起こすリスクもあります。糖新生によってブドウ糖は作られますが、作られる量には限度があり、体内はブドウ糖が不足しやすい状態です。
ケトーシスになってしまえば、低血糖のリスクから解放されます。迅速にケトーシスに入るために、糖質は徐々にではなく「一気に」カットしましょう。
以下の動画「ケトジェニックで注意するべきポイントや食べ物とは」で、山本義徳先生がケトジェニックを詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
まとめ
低炭水化物ダイエット=糖質制限ダイエット、すなわちケトジェニックダイエットと考えて問題ありません。ケトジェニックダイエットを正しい方法でおこなうと、筋肉を維持しながら体脂肪が落とせて健康的なダイエットを可能にしてくれます。
ケトジェニックダイエットのポイントは、徹底した糖質制限と十分な脂質の摂取。糖質は一日50g以下に抑え、総カロリーの60%以上を脂質から摂ります。肉・魚・卵・チーズに加え、エネルギーになりやすいMCTオイルなどを上手に取入れるのがオススメです。
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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