アミノ酸の一種である「リシン」は、筋力強化や肝機能強化など、あらゆる効果を得ることができると言われています。
体内で作り出せない栄養素のため、食事などから摂る必要がありますが、日常的によく摂取する食材の一部にはあまり含まれないことがあるため、不足しがちになることも。
今回はリシンのもつ7つの主な効果と、リシンを多く含む食品、摂取する時に気をつけたいことなどをまとめてご紹介いたします。
リシンとは?
リシンは9種類ある必須アミノ酸の一種で、「リジン」と呼ばれることもあります。
他の必須アミノ酸と同じく、内臓や筋肉・骨・脳など体にとって必要なたんぱく質をつくる役割や肝機能強化などの役割を担っています。
リシンの代表的な7つの効果
肝機能強化
アルコールの解毒や老廃物の排泄・エネルギーの産出など、健康に生活する上で重要な臓器の一つである肝臓の機能を強化すると言われています。
免疫力アップ
細菌やウイルスが体内へ入ってくることを防ぐ抗体の材料となっているため、免疫力アップにつながります。
疲労回復
体の細胞や組織の修復をすることから、疲労回復の効果が期待できます。
筋力強化
筋肉はたんぱく質でできており、たんぱく質をつくるためには必須アミノ酸9種類をバランスよく摂る必要があります。
そのため、リシンも筋力強化の役割を担っています。
集中力アップ
脳のエネルギー源・ブドウ糖が不足すると集中力が低下します。
リシンはブドウ糖をエネルギーに変える働きをするため、集中力アップが期待できます。
成長促進
リシンは成長ホルモンの分泌を促す働きをしたり、体の成長や修復に関わる重要な材料となったりします。
また、人体の成長に欠かせないカルシウムの吸収をサポートしています。
脂肪燃焼促進
リシンを摂ることで、カルニチン(脂質代謝に関与するビタミン様物質)が合成されます。このことから、脂肪燃焼を促すことが期待できます。
リシンの摂取不足と摂取過剰の場合どうなる?
リシンが不足すると?
体内でリシンが足りなくなると、慢性疲労や貧血・集中力の低下・めまい・吐き気などが起きる場合があります。
他にも肝機能が低下することによって、血中の飽和脂肪やコレステロールの増加などが起こることがあります。
リシンを多く摂ったからといって安心できない
リシンを過剰に摂取すると、下痢や胃痛などといった症状が起こることがあります。
食事でリシンを摂る場合は偏った食品を食べ過ぎないように意識しましょう。
またサプリメントで摂る場合は、用量をしっかりと守って摂取するようにしましょう。
リシンを効果的に摂取するにはバランスが重要
リシンは食品によっては含有量が少ないものがあります。
代表的なものには、「小麦粉」「米(精白したもの)」「とうもろこし」などの穀類が挙げられます。
ごはん・パン・麺類といった炭水化物中心の食生活では、体内のリシンが不足しがちです。また植物性たんぱく質もリシン含有量が少ないため、ベジタリアンの人もリシン不足の可能性があります。
そこでリシン不足にならないためにも、下記に挙げるリシンの豊富な食品を一緒に摂るようにしましょう。
リシンが多く含まれている食品
肉・魚類
鶏むね肉・サバ・かつお など
大豆製品
高野豆腐・納豆・大豆 など
リシン不足で筋力低下にもなる
体内にリシンが不足すると、リシンから得られる効果を十分発揮できないだけでなく、たんぱく質をつくる働きにも影響します。
必須アミノ酸はリシンを含め9種類ありますが、9つのうち1つでも摂取量が少なくなると、他8つの摂取量が多くても一番少ない量の分しかたんぱく質になりません。
体の中でたんぱく質がつくられなくなると、命に関わる心臓や脳などに優先的にアミノ酸を送るために筋肉を分解して補われます。
つまり、必須アミノ酸が不足すると、筋肉量低下につながってしまう恐れがあります。
せっかくトレーニングをしてもいまいち筋肉がつかないと思ったら、リシン不足の可能性があるのです。
解決方法は?
リシンを補って栄養バランスを改善
必須アミノ酸9種類それぞれ必要な量は国際機関によって定義されており、これを「評点パターン」と呼びます。
そして、食べ物のたんぱく質をつくるアミノ酸の内、評点パターンに満たないものを「制限アミノ酸」と呼びます。
上述したように小麦や精白米はリシンが少なく、評点パターンの基準値に満たないことがあるため、リシンが含まれている食材を補うことでたんぱく質の栄養価を高めることが期待できます。
リシンの適切な摂取量
リシンの1日の摂取量の目安は、体重1kgあたり30mgと言われています。
体重60kgの方であれば、1800mg程度必要です。
ちなみに、鶏むね肉(生・皮なし)やかつお(生)は、100g中に2100mgのリシンが含まれています。
まとめ
リシンは健康に生活する上で欠かせない栄養素であるばかりでなく、筋力を維持・強化するためにも重要であることがおわかりいただけたでしょうか。
食事で摂ることが難しい場合は、サプリメントの活用がおすすめです。筋トレとうまく組み合わせて効率的に摂取してください。
【参考】
・アミノ酸大百科
https://www.ajinomoto.co.jp/amino/chikara/kenkou.html
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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