成長を促進させる必須アミノ酸「スレオニン」とは？

必須アミノ酸の一種「スレオニン」は、胃や肝臓を守る重要な役割を担っています。
さらには美肌効果が得られたり、医薬品として使われたりするなど、幅広く活用されていることも特徴です。

今回はスレオニンの主な効果やスレオニン含有量が少ない食品や多い食品、効果的な摂取方法などについてご紹介します。

スレオニンとは？

スレオニンとは、必須アミノ酸の中では最後に発見されました。
体内ではつくることができないため、食事などから積極的に摂る必要があります。「threonine」と表記するため、読み方の違いから「トレオニン」と呼ばれることもあります。
他の必須アミノ酸同様、内臓や筋肉・骨・脳など体にとって必要なたんぱく質をつくります。

スレオニンの効果

スレオニンは体にとって欠かせないたんぱく質をつくるだけでなく、あらゆる効果が期待できます。

成長を促進

新陳代謝を促して新しい細胞をつくることで、各機能を正常に成長させます。
そのため、子どもの成長に欠かせない栄養素でもあります。

胃の調子を整えてくれる

胃酸の分泌パランスを調整する効果があると言われており、食べ過ぎや飲み過ぎなどによって荒れた胃に対して良い効果が期待できます。

コラーゲン合成促進

スレオニンは体内のコラーゲン合成時の材料になります。
コラーゲンは肌のハリや潤いを保つ役割を担っているため、肌に対して良い効果が期待できます。

また、コラーゲンは皮膚以外にも軟骨や骨の形状と機能を維持するためにも重要で、体の結合組織の形成や弾力性・強度にも役立っています。

グルコースを生成し、エネルギー源になる

スレオニンは糖原性を持ち、グルコースをつくる材料にもなります。
グルコースとは体を動かしたり脳の栄養素となったりするもので、生きる上で重要なエネルギー源です。
運動時や空腹時などはグルコースが不足しやすく、グルコースが足りなくなると筋肉や脂肪が分解されます。

医薬品として使われることも

スレオニンは低栄養状態や低タンパク質血症・術後のアミノ酸補給のための点滴など、医薬品としても幅広く使われています。

スレオニンの効果的な摂り方

スレオニンは摂り過ぎた場合や、反対に不足した場合はどうなるのでしょうか？
またどのような食品から摂取できるのでしょうか？ご紹介します。

スレオニンを過剰摂取すると

スレオニンを過剰に摂取すると、胃腸障害や頭痛が起きることがあります。

しかし通常の食生活では過剰摂取になることはほぼありませんので、あまり心配する必要はありません。

スレオニンが不足すると

スレオニンが不足すると、上述した効果が得られないことと、貧血や食欲不振などを引き起こす可能性があります。
スレオニンは植物性たんぱく質に少なく、また穀物のたんぱく質中に含まれるスレオニンは利用率が低いとされています。

小麦にはスレオニンが少ない

小麦にはたんぱく質が含まれていますが、スレオニンとリジン・メチオニンが少ない状態です。
麺類中心の食生活をしている場合アミノ酸バランスが悪くなり、効率的に栄養を吸収できていないかもしれません。
ちなみに家畜の飼料は主に小麦であり、スレオニンやリジンなどが不足しています。
そこで家畜の飼料にスレオニンなどを添加することで栄養価が改善され、畜産の生産性向上に役立っているという事実もあります。

スレオニンを多く含む食品

スレオニンは、動物性たんぱく質に多く含まれています。
小麦や穀物には活用できるスレオニンが少ないため、下記の食品を組み合わせて食べるのがおすすめです。
ここではスレオニンが多く含まれている食品の一例をご紹介します。

肉類

鶏むね肉・豚ロース肉

魚類

かつお

その他

卵・スキムミルク・ゼラチン・さつまいも

1日に必要な摂取量

1日で必要なスレオニンの摂取量は、成人で体重1kgあたり15mgとされています。
つまり体重60kgの方であれば、900mg必要です。

バランスの良い食事をしていれば不足することはほぼありませんが、麺類中心の食生活であったり野菜のみを食べていたりするとスレオニン摂取量が足りなくなってしまうので注意してください。

まとめ

スレオニンは胃や肝臓を守り、私たちの健康を維持してくれる重要な必須アミノ酸です。

また、必須アミノ酸は9種類すべてをバランス良く摂らなければたんぱく質がつくられません。
穀物や野菜に不足しがちなスレオニンを補うことで、アミノ酸バランスが改善され、効率よく筋肉をつけることが可能となるのです。
そのためにも、日頃から意識的に食事で動物性たんぱく質を摂ったり、サプリメントで補ったりしていきましょう。

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