アミノ酸

必須アミノ酸とは? 体内でつくることができないアミノ酸の摂り方を紹介

必須アミノ酸

みなさんは「必須アミノ酸」という言葉を聞いたことがありますか?

必須アミノ酸とは、私たちの体にとって不可欠にもかかわらず体内ではつくることができないため、食事などから摂る必要があるアミノ酸のことです。
そんな必須アミノ酸ですが、もし不足するとどうなるのか、取り入れるとしたらどのように摂取すればいいのかなどは意外に知られていません。そこで今回は、必須アミノ酸についてご紹介いたします。

必須アミノ酸とは?

そもそも必須アミノ酸とは何か、またどのような役割を担っているのかをご紹介します。

必須アミノ酸とは、体内でつくることができないアミノ酸

必須アミノ酸とは、体の中でつくることができないアミノ酸のことを指します。
人間の体は20種類のアミノ酸からできており、その内の9種類が必須アミノ酸です。
残りの11種類のアミノ酸は「非必須アミノ酸」と言い、体内で合成することができるアミノ酸です。

必須アミノ酸は9種類

必須アミノ酸は9種類あり、「Essential Amino Acid」の略称で「EAA」と呼ばれることもあります。いずれも体内で合成できないため、食事などを通して摂取する必要があります。

必須アミノ酸は9種類

  • トリプトファン
    体内でナイアシンになるなど、脳内神経伝達物質のセロトニンの材料となる。
  • リシン
    脂肪をエネルギーに変えるのに必要なカルニチンという物質の材料になる。
  • メチオニン
    体の中でたんぱく質をつくるときにいちばん最初に必要な必須アミノ酸。
  • フェニルアラニン
    グルタミンとピルビン酸からつくられており、すべてのたんぱく質に存在している。
  • スレオニン
    魚や鶏肉、豚肉などに多く含まれており、人が体内で合成することはできない。
  • バリン
    分岐鎖アミノ酸のひとつで、筋肉をつくるのに重要な働きをする。
  • ロイシン
    たんぱく質の生成・分解を調整し、子どもの成長や大人の筋肉維持の役割を担う。
  • イソロイシン
    ヘモグロビンの形成や、筋肉をつくるのに必要なアミノ酸。
  • ヒスチジン
    ヘモグロビンに多く含まれており、不足すると貧血になる可能性がある。

アミノ酸が結合してたんぱく質になる

私たちの体は水分が60~70%、たんぱく質が20%近くを占めています。つまり、水分を除くと、ほぼたんぱく質でできているのです。
たんぱく質は、ペプチド結合によりアミノ酸が何百個もつながったもののことです。一般には、アミノ酸が50個以上結合したものを「たんぱく質」とし、50個未満のものを「ペプチド」と呼ばれています。

万が一足りなくなると筋力低下に

脳や骨・皮膚・髪・筋肉・内臓など、私たちの体はすべてアミノ酸が結合したたんぱく質でできています。
体の中でたんぱく質が足りなくなると、命に関わる心臓や脳などに優先的にアミノ酸が送られます。
それでも足りない場合は筋肉を分解して補われるため、必須アミノ酸が不足すると、最初に筋肉量が低下してしまいます。

必須アミノ酸の摂取方法

次に、必須アミノ酸を摂るためにはどうしたらいいのかをご紹介します。

たんぱく質は「毎日摂る」が重要

肉や魚・穀物など、たんぱく質を含む食品を食べると、体の中で分解されアミノ酸になり体内に吸収されます。そのため毎日必ず摂るように心がけましょう。

「9種類バランスよく」摂取する必要がある

必須アミノ酸は、9種類すべてをバランスよく摂らなければ十分な効果は得られません。
食品中のたんぱく質に含まれる必須アミノ酸の中に、少ない必須アミノ酸が1つでもあると、それに合わせて低くなり、体内のたんぱく質の利用に使われにくくなってしまうからです。
たんぱく質の栄養価を示す指標は「アミノ酸スコア」と呼ばれていて、100に近い数値であればある程必須アミノ酸のバランスが良い食品となります。

「アミノ酸スコア」が高い食品とは?

植物性たんぱく質よりも、肉や魚、牛乳、卵などの動物性たんぱく質の方が「アミノ酸スコア」の高い食品が多くなっています。
特に、卵はアミノ酸スコアが「100」で、非常に優れた食品の一つです。
肉や魚も高スコアではありますが脂質も多いため、食べ過ぎなどには気をつけましょう。

一方、植物性たんぱく質の中でも大豆はアミノ酸スコアが高い食品として知られています。動物性たんぱく質と比べても脂質が少ないため、ダイエット中などでもしっかり食べることができるのでおすすめです。

【参考】
厚生労働省「良質なたんぱく質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-036.html

食べ合わせを工夫することも一つ

「アミノ酸スコアが低い食品は良くないのか」というと、そうではありません。
不足するアミノ酸を補えるような食品同士を組み合わせて食べることも一つの方法です。

例えば、パンは必須アミノ酸「リジン」が不足していますが、ハムやソーセージなどと一緒に食べれば、足りない必須アミノ酸を補うことができます。
また白米も「リジン」が不足していますが、納豆などと一緒に食べればバランスを保つことができます。
このようにして、食品同士をうまく組み合わせていくと良いでしょう。

【参考】
一般社団法人日本パン技術研究所「たんぱく質」
http://www.panpedia.jp/healthy/pdf/nourishment-6.pdf?20190401

筋肉強化に効果的な「2つの摂取タイミング」

必須アミノ酸は、筋肉強化に効果的なので積極的に取り入れたい栄養素です。
やみくもに摂取するよりも、ベストなタイミングで摂ることで効率よく強化することができます。
それではいつが良いのか、最適な2つのタイミングをご紹介します。

朝起きてすぐ

眠っている間は栄養補給できないため、血液中のアミノ酸濃度がどんどん下がっていきます。
下がった状態のままだと筋肉が分解されてしまうため、起きてすぐに摂取するのが効果的です。

筋トレをする前

筋トレでエネルギーを消費するとアミノ酸が不足しがちになるため、トレーニング前には必ず補っておきたいものです。
食事(たんぱく質を含む食品)から摂取する場合、体内で分解されてアミノ酸として吸収されるまで2時間ほどかかります。

しかし、30分ほどで吸収できるサプリメントもあるため、トレーニングを行っている人はこちらを活用するのもおすすめです。
もし長時間のトレーニングを行う場合は途中で摂取するようにすると良いでしょう。

まとめ

必須アミノ酸は体にとって必要不可欠な栄養ですが、体内でつくることができないため、意識的に摂ることが大切です。

もちろん食物から摂取することは理想ですが、筋トレで必要量を食事で賄うのは量的に難しいため、サプリメントの活用がおすすめです。
さらに効果的に摂取したい場合は、タイミングや量にも注意してくださいね。

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

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