アミノ酸

トリプトファンは必須アミノ酸の1つ。筋トレに効果がある理由とは?

「トリプトファン」は、筋力強化に役立つ効果がある一方でリラックス効果もあることから、トレーニングする上で賛否両論あるアミノ酸です。
「筋トレには不向きだ」という声がありますが、本当にそうなのでしょうか?

今回はトリプトファンの特徴と筋トレに効果がある理由、そして効果的に摂取する方法などについて詳しくご紹介いたします。

トリプトファンの役割とは?

トリプトファンとは、9種類ある必須アミノ酸の一種です。
他のアミノ酸同様、内臓や筋肉・骨・脳などに必要なたんぱく質をつくる役割を担っています。
また体内でつくり出すことができないため、食事などで積極的に摂る必要があります。

トリプトファンはセロトニンの材料となる

トリプトファンは役割の1つとして、精神バランスを安定させる効果があると言われています。
その理由は、トリプトファンが「セロトニン」をつくり出すからです。

セロトニンとは感情や睡眠などに関わる神経伝達物質で、心と体のバランスを整え、幸福感・満足感・心地良さを得られることができるものです。
そのため、セロトニンをつくり出すトリプトファンは「幸せホルモン」とも呼ばれています。

トリプトファンは睡眠にも影響

摂取したトリプトファンによって脳内で作り出されたセロトニンは、脳の松果体でメラトニンになります。

メラトニンとは眠気を誘うホルモンのことで、夜に分泌されることで心地よい睡眠をとることができると言われています。
そのため、摂取量が極端に少ないと、睡眠に影響が出てしまう恐れがあります。

しかし「トレーニングをする時に、あまりにもリラックスしてしまったら良くないのでは?」と疑問に思われる方もいるかもしれません。
しかし、筋トレをする上で欠かせない栄養である理由が2つあります。

トリプトファンが筋トレに必要な理由①

筋肥大に必要だから

筋肉をつくるためには、材料となる必須アミノ酸9種類をバランスよく摂らなければいけません。
一種類でも欠けると十分なたんぱく質を体内で合成できなくなってしまいます。
そのためトリプトファンも他の必須アミノ酸同様、筋肥大には必要なものとなります。

トリプトファンが筋トレに必要な理由②

筋肥大を邪魔するミオスタチンをおさえるから

筋肉の合成をおさえる「ミオスタチン」という物質があります。
ミオスタチンは筋肉が過剰に発達しすぎないように、フェイルセーフとして筋抑制因子を持っていますが、その筋抑制因子をおさえてくれるものがトリプトファンです。
つまり筋肥大はミオスタチンに抑制されるため、筋肥大を考える場合にはミオスタチンを抑制するトリプトファンがとても大切な役割を担ってくれているといえます。

トリプトファンを効果的に摂取しよう

必須アミノ酸の一つであるトリプトファンは体内ではつくり出すことができないため、食事などから摂取しなければいけません。

それでは、どのような食品から摂取できるのでしょうか?
ここではトリプトファンを多く含む食品と効果的な摂取タイミングをご紹介します。

トリプトファンが多く含まれている食品

大豆製品

豆腐・納豆・味噌・しょうゆ など

乳製品

チーズ・ヨーグルト・牛乳 など

その他

バナナ・ごま・ピーナッツ 卵など

トリプトファンを多く含む食品を食べる時は、米や芋などの炭水化物や、魚類に多く含まれているビタミンB6をいっしょに摂るとより効果的です。
トリプトファンを多く含む食品を摂取できない事情がある場合、サプリメントを活用するといいでしょう。
サプリメントは食事で摂るよりも体内への吸収スピードが速く、効果的に摂取することができます。

トリプトファンの摂取量

トリプトファンは、体重1kgあたり4mg程度が目安です。
つまり体重60kgの方の場合は1日240mgのトリプトファンが必要となります。

トリプトファン含有量の目安

  • バナナ1本:11mg
  • 卵1個:108mg
  • 納豆40g:96mg
  • 牛乳200cc:82mg

トリプトファンの摂取タイミングは「朝食」

一般的に、「午前中にトリプトファンを摂らないと、レム睡眠の開始が遅れる」といわれています。
良質な睡眠で疲労回復できれば、より効果的なトレーニングにもつながることでしょう。
トリプトファンを多く含む食品は、できれば朝食で積極的に摂取することをおすすめします。

まとめ

トリプトファンは筋力増強のためにも睡眠をとってリラックスするためにも、なくてはならないものです。
とはいえ、「トリプトファンのみ摂ればいい」というわけではありません。
他の必須アミノ酸と同様、バランスよく摂ることで理想的な肉体を手に入れてください。

【参考】
「トリプトファン」を摂って、しあわせホルモン「セロトニン」を増やそう!|山梨県厚生連健康管理センター

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

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