トレーニング

ショルダープレスで大きな肩を作る!山本義徳先生が解説!

ショルダープレスとは、肩の筋肉を鍛えるウエイトトレーニングの種目です。トレーニングを始めたばかりの人でも取り組みやすい種目でありながら、上級者でも細かなフォームを変えていくことでバリエーションを持たせることができ、筋肉への効かせ方も変わる奥の深さがあります。

この記事では、正しいショルダープレスのおこない方と、ダンベルショルダープレスなどのさまざまなバリエーション種目を山本義徳先生が解説します。

ショルダープレスは三角筋を鍛えるベーシックな種目

ショルダープレスは、肩の筋肉である三角筋を鍛えるベーシックな種目のうちのひとつです。とくに、身体を正面から見たときの肩の形に影響する三角筋前部を鍛える上で効果的です。

ジムに行くと、ショルダープレスのための専用のマシン(ショルダープレスマシン)が置いてある場合もあります。しかし、基本的にショルダープレスとは、ダンベルやバーベルを肩の筋肉を使って上に押し上げる動作をおこなうフリーウエイトの種目のことをさします。

ショルダープレスのやり方(バーベルショルダープレス)

1.バーベルを肩幅より少し広い手幅で持ち、顎の高さに持つ

2.肘を伸ばしてバーベルを上にあげる

3.ゆっくりと顎の高さまで下ろす

参考:肩を鍛えるバーベルショルダープレスの方法

ショルダープレスの重量と回数

始めのうちは10回前後が限界になるような重さで、3セットを週2回を目安におこなうと良いでしょう。

しかし、トレーニングに慣れてくるにつれ、肩だけではなく他の部位のトレーニングの強度とボリュームが増えていくため、オーバーワークに気を付ける必要があります。

特にベンチプレスを頻繁におこなう人は、三角筋前部の使いすぎに注意しましょう。思うようにベンチプレスの記録が伸びないと思ったら、肩のプレス種目を控えてみると記録が伸びる可能性があります。

ショルダープレスのさまざまなバリエーション

ショルダープレスには、先ほどご紹介したバーベルショルダープレス以外にも、使う器具や下ろす位置、手の向きを変えることでさまざまなバリエーションがあります。

ダンベルショルダープレス

手のひらを前にむけ、肘を横に張った状態でダンベルを上げるショルダープレスもよく知られています。手のひらを前に向けた状態でおこなうと、肩関節の構造の関係から、肘をあまり下まで下ろすことができません。したがって三角筋のストレッチが難しくなってしまうのが難点です。

ダンベルフロントプレス

手の甲を前にむけた状態でショルダープレスをおこなうことで、肘の位置を無理なく下まで下げやすくなります。下までしっかりと下ろせることで、三角筋をストレッチさせることが可能です。

バーベルバックプレス

頭の後ろに下ろしたバーベルを頭上に上げるのが、バーベルバックプレスです。ジムでよく見かける種目ですが、頭の後ろに下ろすことで肩の外旋が強くなり関節にとっては自然な状態とは言えません。肩関節の可動域が狭い人は怪我を防ぐためにもあまり高重量を扱わない方が良いでしょう。

バーベルフロントプレス

バーベルを使ったショルダープレスも、顔の前に下ろして手の甲を前に向けることで、肩への負担を和らげることができます。慣れないうちはバーベルを落としてしまう危険性もあるため、より動きが安定したスミスマシンを使っても良いでしょう。

ショルダープレスで鍛えられる筋肉

ショルダープレスは、肩の筋肉である三角筋を鍛えることができます。特に三角筋の前部を鍛える上では効果的です。

三角筋

三角筋は、筋繊維の走る方向によって前部(フロント)・中部(サイド)・後部(リア)の3つに分類されます。ショルダープレスでは三角筋を全体的に使うことができますが、特に前部への刺激が強くなります。

起始

前部
鎖骨の外側1/3

中部
肩峰(けんぽう)

後部
肩甲棘(けんこうきょく)

停止

上腕骨の三角筋粗面(さんかくきんそめん)

作用

前部
肩関節の外転・屈曲・水平屈曲

中部
外展

後部
外展・伸展・水平伸展

上腕三頭筋

上腕三頭筋は、肘関節と肩関節の2つの関節をまたぐ筋肉です。ショルダープレスをはじめとした、あらゆるプレス系運動の補助筋として使われます。

起始

長頭(ちょうとう)
肩甲骨の関節下結節(かんせつかけっせつ)

外側頭(がいそくとう)
上腕骨の後外面

内側頭(ないそくとう)
上腕骨の後内面

停止

肘頭(ちゅうとう)

作用

肘関節の伸展
肩関節の伸展(長頭)
肩関節の内転

ベンチの角度に注意する

角度をつけたベンチに座ってショルダープレスをおこなう場合は、ベンチの角度にも注意しましょう。ベンチの角度を垂直にすることにこだわる必要はありません。むしろ垂直にすることで腰への負担がかかり、さらには三角筋でダンベルの負荷を受け止めることも難しくなってしまいます。

ベンチの角度は80度

垂直よりも少し倒した80度くらいにベンチの角度を合わせることで腰への負担も少なく、安定して高重量を扱うことができるため、基本的にはベンチの角度は少し倒しておこなうようにしましょう。

ベンチを倒しすぎてしまうのも、肩のトレーニングとしては問題があります。ベンチの角度を60度くらいまで倒してしまうと、胸のトレーニングのような動きとなってしまうため、大胸筋に刺激が移動してしまうためです。

まとめ

ショルダープレスにはさまざまなバリエーションがあり、それぞれ効果が異なります。自分にとってやりやすく、かつ関節に負担のかかりにくいフォームを見つけて行うと良いでしょう。

・手の甲を前に向け、ダンベルあるいはバーベルを顔の前に下ろすフロントプレスをおこなうことで、肩関節に負担をかけずに三角筋をストレッチさせることができる。

・ベンチの角度を80度くらいに設定すると、腰への負担も少なく、高重量を安定して扱うことができる。

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

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