身体づくりのための栄養摂取の手段として、また、運動中・運動後の疲労を和らげるため、プロテインだけでなくBCAAも飲用する人が増えてきました。
しかし、摂取の最適なタイミングについて理解できている人はどれくらいでしょうか。また、運動前後だけでなく、寝る前の摂取が効果的であることは、意外と知られていないかもしれません。
この記事では、BCAAを飲むのに最適なタイミングについて解説します。より効率良く栄養を補給するための参考にしてください。
3種類の必須アミノ酸「BCAA」とは
正式名称は「Branched Chain Amino Acids」で、その頭文字をとってBCAAといいます。
3種類の必須アミノ酸の総称でもあり(バリン、ロイシン、イソロイシンの3つ)、3つのアミノ酸の分子構造が枝分かれしていることから、分岐鎖アミノ酸とも呼ばれています。
筋肉を構成する必須アミノ酸のおよそ3割をBCAAが占めており、筋肉を増やすことや維持に関わりが深いだけでなく、身体を動かす際にもエネルギー源となるなど、BCAAは人間の生命活動にとって大切な成分といえるでしょう。
また、筋肉の分解を抑制する働きもあることから、筋肉量を減らさないためにも摂取が必要です。そのほか、運動時の集中力アップや疲労感の軽減サポートの役割も期待されます。
運動習慣がある人はもちろん、そうでない人も、BCAAは身体に必要であるため摂取を習慣化したい栄養素のひとつです。
しかし、BCAAを含む必須アミノ酸は、人間の体内では生成されない成分です。そのため、必須アミノ酸が多く含まれる肉・魚・卵など、通常の食事から積極的に摂取することが望まれます。難しい場合はサプリメントを活用しましょう。
BCAAを飲むのに最適な4つのタイミング
BCAAは、摂取するタイミングが非常に重要です。具体的には、運動前、運動中、運動後、寝る前の4つのタイミングがBCAAを飲むのに適しています。
BCAAを飲むメリットとして、BCAAの血中濃度が高まることがあげられます。血中濃度を高めておくべきなのがこの4つのタイミングであり、筋肉の合成促進や分解の抑制に効果的でしょう。
ここからは、それぞれのタイミングについて解説します。
1.トレーニング前
トレーニング中に高い血中濃度を維持するために、トレーニングを開始する30分前を目安にBCAAを飲んでください。
その際の摂取量としては、2,000mgがオススメです。それより少ないと血中濃度が上がりきらないため、この量が適正とされています。
血中濃度を上げておく理由は、エネルギー源を確保するためです。
通常、人間は身体を動かすとき、糖分や脂肪からエネルギーを代謝させます。ところが、脂肪はエネルギーとなるのに時間がかかり、糖と脂肪が不足すると、今度は筋肉を分解してエネルギーが作り出されます。
しかし、それはトレーニングで筋肉をつけたい・鍛えたい人からするとデメリットです。
そこでBCAAを事前に摂取しておくと、血中のBCAAの濃度が高まり、それをエネルギーとして利用できるため筋肉の分解を抑えられます。
エネルギー源を切らさないために、事前の摂取を心がけましょう。
2.トレーニング中
トレーニング・運動中には水分と一緒に摂取しましょう。
マラソンや長時間にわたって運動する場合の摂取はとくにオススメです。
BCAAには、筋肉の損傷や分解を抑える働きもあるため、運動中の摂取により長く身体を動かせるようになるでしょう。
また、BCAAに含まれる成分が、脳に疲労を感じさせるセロトニンというホルモンの動きを抑制するため、運動中の集中力アップや疲労感を和らげる働きも期待できます。
結果として、集中して質の高い運動に取り組めるようになり、その成果も得られやすくなるでしょう。
運動習慣がある人、60分以上のトレーニング・ランニングなどをするのであれば、運動中のワークアウトドリンクとして、水分と一緒に補給するのがオススメです。
3.トレーニング後
トレーニングの効果をしっかり出したい・筋肉量を増やしたいという人にとって運動後にBCAAを摂取するのも有効です。
筋肉量の増加促進に寄与する働きがあるためで、運動直後での摂取であればより効果が高いといわれています。
とくにトレーニング後の30分は、筋合成のゴールデンタイムと呼ばれているため、この時間内に摂取するようにしましょう。
また、疲労を極力抑えたいという人にも効果的です。BCAAは、運動で損傷した筋肉を回復させることにも役立つため、筋肉痛や、疲労感を軽減させることも期待できます。
BCAAは運動後の筋肉合成と回復、この2つに作用する栄養素なので、終わったらストレッチなどで身体をほぐしつつ一緒に摂取しましょう。
トレーニングの成果を効率良く得られるだけでなく、回復スピードも速められます。
4.寝る前
人間は寝ているときでもエネルギーを代謝しています。また、寝ていると、栄養の供給が途絶えるためエネルギーが不足しがちになるでしょう。
エネルギーが不足すると、身体はその不足分を筋肉の分解によって得ようとするため、筋分解が起きてしまうことは前述したとおりですが、それを防ぐための手段として、就寝前にBCAAを摂取しておくのがオススメです。水分と一緒に摂取できるため、就寝前であっても負担は少ないでしょう。
食事からBCAAを摂取することもできますが、就寝前に食事をしてしまうと、消化にエネルギーが使われてしまいます。そのため、気軽に摂取でき、消化不要で吸収の早いBCAAは最適といえます。
ただし注意点は、就寝前の摂取で寝つきが悪くなる可能性があることです。自然な眠りのためには、メラトニンというホルモンの分泌が欠かせません。これを調節するのがセロトニンであり、セロトニンの材料がトリプトファンと呼ばれるホルモンです。
BCAAにはこのトリプトファンが脳へ働きかけるのを阻害する役割もあるため、BCAAに偏った摂取は、寝つきを悪くさせることにつながる可能性があります。
寝つきの悪化を防ぐには、ほかの栄養素もバランス良く摂ることが大切です。偏った摂取にならないよう注意しましょう。
まとめ
BCAAの摂取のタイミングについてトレーニング前・トレーニング中・トレーニング後のほかに、寝る前に飲むことも効果的であることがわかりました。ただし、眠りを阻害する可能性もあるため、過剰かつBCAAに偏った摂取は控えるようにしましょう。
理想的なタイミングで最適な量を摂取すれば、疲労を和らげることの手助けとなり、身体づくりに効果が高い栄養成分であるため、賢く摂取することが大切です。
そうすればトレーニング効果をアップさせ、バルクアップも効率的にできるようになるでしょう。また、BCAAを摂取するなら、以下の『VALX EAA9(イーエーエーナイン)』もぜひお試しください。BCAAを含む必須アミノ酸9種類を摂取できます。
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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