アスリートも取入れていることでその名が広がり、一般のトレーニーのなかでも認知されているHMB。インターネットでHMBについて検索すると、効果がない、HMBの効果は嘘、といった予測変換も散見されます。
実際のところ、HMBを摂取しても効果は本当にないのでしょうか。
今回は最新の論文や研究などから、HMBの効果を解説します。誤った情報が拡散されていることもあり、それを鵜呑みにしないためにも、正しい知識をつけてトレーニングに励んでください。
HMBとは
HMBは、必須アミノ酸であるロイシンが代謝されることで生み出される成分です。
正式名称は「β-Hydroxy-β-MethylButyrate(ベータ・ヒドロキシ・ベータ・メチル酪酸)」といい、サプリメントなどへの表記ではその略称が一般的です。
HMBを摂取すると、効率よくバルクアップが可能で、筋組織の分解を抑制できるといわれています。また筋肉痛から回復を促進する効果も期待できるでしょう。
また、脂肪・悪玉コレステロールの減少に働きかける役割や、インスリンが正常に働くように手助けする効果などもあるとされています。
HMBが体内で作り出されるのには、先述のように必須アミノ酸であるロイシンが深く関わっています。ロイシンは筋肉を作るのに必要なだけでなく、トレーニング中のパフォーマンスを維持するためにも役立つ成分です。まさに、トレーニーにとっては不可欠な栄養素といえるでしょう。
ロイシンが代謝することで体内にHMBが生成されますが、HMBに変換されるのは摂取したロイシンのうちたった5%とごくわずかです。食事で摂取できるロイシンの量だけでは、バルクアップのためのHMBを生成するにはおそらく足りないでしょう。
その変換率を考えると、食事からだけでなく、サプリメントからHMBを摂ることが効率的で、さらにはHMB単体のサプリメントを飲むのが望ましいでしょう。
栄養不足やトレーニングしない身体にHMBを摂取しても効果はない
定期的なトレーニングと筋肉の材料となるたんぱく質を十分に摂取していれば、HMBの効果を感じやすいとされています。
一方で、トレーニング習慣がない人や筋肉の材料となるたんぱく質の摂取が不足気味の人がHMBを飲んだところでは、効果を実感しづらいでしょう。
国際スポーツ栄養学会がHMBの効果について発表しており、いくつか抜粋します。
- HMBは筋肉の合成を促進し、分解を抑制することにより筋肥大を期待できる。
- HMBはトレーニング後の筋肉の回復促進を高める効果が期待できる。
- アスリートは運動前後に摂取すると効果を得られやすい。
- 若年層および高齢者が長期にHMBを摂取しても安全である。
つまり、
- 筋肉合成の促進
- 筋肉の分解抑制
- リカバリー促進効果
- 摂取の安全性
という特徴がHMBにはあると論じています。
参考:
国際スポーツ栄養学会 HMB(β-ヒドロキシ-βメチル酪酸)に関する報告
まず認識しておかなければならない点として、HMBは筋肉の合成を促進させる役割を果たすものであって、直接的に筋肉の材料となるわけではない、ということです。材料となるのは、あくまでもたんぱく質です。
そのため、筋肥大をしたい場合には、筋トレによる筋肉への刺激、筋肉の材料となるたんぱく質を必要量摂取することが前提となります。そこにHMBを追加することで、筋肉の合成を促し、より筋肥大が期待できる、という構造です。
筋肥大を促進させる効果について、2015年に厚生労働省は「HMBは筋たんぱく合成を誘導する重要な働きをすると想定されている」と発表しました。
HMBには筋肥大促進の効果があることから、仮に摂取しても効果がないと感じるのは、筋肉を増やすために必要なたんぱく質やトレーニングが足りないことが想定されます。
また、あるHMBサプリに関する消費者庁発表の研究レビューでは、HMBに関して以下のような報告が上がっています。
本研究レビューで採択した文献には、スポーツ選手のみを対象とした試験は含まれていないため、トレーニング等で身体を鍛えた者に対して上記の筋肉量や筋力に関する効果が期待できるかは定かではない。よって、表示しようとする機能性としては、トレーニング等で鍛えた身体や筋力の維持を連想しえない表現が不可欠である。従って、表示しようとする機能性は、「筋肉量や筋力の低下を抑制する働きがあり、自立した日常生活を送る上で必要な、筋肉量や筋力の維持に役立つ」が適切であると考える。
出典:https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc06/youshiki5?yousiki5216File=B185%255CB185_youshiki5.pdf
上記の発表によると、トレーニング習慣がない人や筋肉を作るたんぱく質の摂取が不足している場合にHMBを摂取しても、効果としてはあくまで筋肉量低下の抑制や維持のみ、ということになります。
そのため筋トレやたんぱく質の十分な摂取がない状態でHMBを飲んだとしても、筋肉量アップなどの効果は感じにくい、ということがいえるでしょう。
ただし、HMBがトレーニーにとって万能かというとそういうわけではありません。
同研究レビューによると、摂取しても筋肉量について効果なしが1例、筋力について効果なしが1例あり、すべての人に効果があるとはいえないことも示唆されてもいます。
過去には、「HMBを飲めば痩せる」「HMBを飲むだけで筋肉がつく」といったような誇張された表現でHMBの効果が宣伝されたこともあって、実際の効果が疑問視されるようになりました。
そもそも飲めば痩せるようなサプリメントはありません。また、筋肉は適切なトレーニングとたんぱく質の摂取が必要であるため、HMB単体で摂取したところで筋肉がつくことはありません。
HMBは効果なし、といわれてしまう背景には上記のような出来事も関係していると考えられます。
しかし、あらゆる研究や論文から、HMBには筋肉合成の促進と分解抑制の効果があることは認められています。
トレーニングやプロテインなどを摂っていて筋肥大をしたい、という人には効果的なサプリメントであることは間違い無いでしょう。
HMBの効果を実感したいという場合は、筋トレ・たんぱく質の摂取という前提条件をクリアすることが先決だということです。
HMBの効果は十分なたんぱく質と筋力トレーニングがカギ
先述のように。HMB自体で筋肉を作ることは不可能です。プロテインなどでバランス良く筋肉の材料となるたんぱく質を摂取していないと、HMBだけ飲んだところで筋肥大には効果が期待できません。
また、運動習慣のない人にとって、飲むことによるデメリットはありませんが、メリットも享受できません。あくまで筋トレする習慣がある人にとって効果のあるサプリメントです。
トレーニングすると筋繊維が破壊され、修復します。これの繰り返しがバルクアップとなり筋肉が大きくなるわけですが、そのときに合成され筋肉の材料となるのがたんぱく質です。
HMBには、破壊された筋肉を修復し、たんぱく質の合成を促進させる働きがあります。つまり、トレーニングする人にとって最適なサプリメントといえます。
また、トレーニング習慣がある人ならば、オフの日であってもHMBを飲むことは効果的です。なぜなら身体を休めているときも常に筋肉の合成と分解は続いており、HMBがその動きをサポートしてくれるからです。
より効率のいいバルクアップを目指すならばHMBは摂取したほうがいいといえるでしょう。
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『VALX HMBタブレット』は山本義徳先生が監修したサプリメントです。
HMBカルシウムではなくHMBとして3000mg配合。ハードなトレーニングをおこなうトレーニーが1日に必要とするHMBを手軽に摂取できます1日あたり93円のコストパフォーマンスの良さを発揮しています。
他社製品よりも小ぶりなサイズのタブレットのため飲みやすいのもポイント。1日1回5粒を朝昼晩に分けて飲むことをオススメします。
高品質とコスパを実現した、本物のHMBタブレットです。ぜひ試してみてください。
まとめ
HMBの効果について、最新論文などを交えて解説しました。結論として、トレーニング習慣があり、筋肉の材料となるたんぱく質の摂取がしっかりできているという前提条件をクリアしている場合に、HMBの効果を実感しやすい、ということでした。
上記の前提をクリアせずにHMB単体を摂取したところで、筋肥大の効果は得られません。インターネット上では過去に「HMBを飲めば痩せる」「HMBを飲むだけで筋肉がつく」などの誇大広告も見受けられましたが、そういった誤った情報に踊らされないようにしましょう。
正確な情報をもとに、適正量を守って摂取すれば、効果を実感できるサプリメントであるといえます。
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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