人の身体のもとになっているたんぱく質は、20種類のアミノ酸から構成されています。アミノ酸のうち、体内で合成されない「必須アミノ酸」に属するのがフェニルアラニンです。
フェニルアラニンには、気分を穏やかにする・集中力を上げるといった効果があるといわれています。
この記事では、フェニルアラニンが持つうれしい効果・フェニルアラニンの摂取方法を解説します。
フェニルアラニンの効果
フェニルアラニンは、ノルアドレナリンやドーパミンなどの物質に変換される必須アミノ酸です。ノルアドレナリンやドーパミンには、気持ちを明るくする・生産性を高めるなどの働きがあります。
フェニルアラニンのおもな効果は、以下の4つです。
フェニルアラニンについては、以下の記事でも解説しています。
気分の落ち込みやうつ症状の緩和に効果的
フェニルアラニンは、体内に取り込まれるとノルアドレナリンやドーパミンに転換されます。
ノルアドレナリンは交感神経の興奮を促すホルモンで、身体を活動的にしてくれます。ドーパミンは「やる気ホルモン」とも呼ばれており、勉強・仕事など、あらゆる活動に対して意欲的にしてくれるホルモンです。
ノルアドレナリンもドーパミンもうつを抑える効果があり、これらのホルモンが減るとうつ状態になりやすいことがわかっています。
落ち込みやすい人・気力が湧かない人は、フェニルアラニンの摂取で改善できる可能性があります。
痛みを抑える効果
フェニルアラニンを摂取すると、「脳内麻薬」とも呼ばれるエンドルフィンというホルモンが産出されます。
エンドルフィンは脳内でモルヒネのような働きをするとされており、外傷・腰痛・片頭痛などあらゆる痛みを軽くすることが可能です。
実際に医療の現場では、フェニルアラニンを人工的に合成した「DL-フェニルアラニン」という鎮痛剤が使われています。
依存性や毒性がないのもフェニルアラニンの特徴です。
ドーパミンで集中力UP
フェニルアラニンは、体内に取り込まれるとチロシンという物質に変換されます。チロシンはその後酵素によってさまざまな物質に変化しますが、そのうちの一つがドーパミンです。
ドーパミンは何かに打ち込んでいるときなどに分泌され、集中力を高めてくれます。さらにドーパミンは酵素によって、ノルアドレナリンという神経伝達物質に変換されます。
ノルアドレナリンの働きは、血圧や心拍数の上昇など、身体を活動状態にすること。フェニルアラニンがドーパミンやノルアドレナリンに変換されることでやる気が高まり、集中力を維持できます。
リラックス効果も
フェニルアラニンには、ストレスを軽減させる働きもあります。
人はストレスを感じると、やる気がなくなり無気力状態に陥ります。
しかし、フェニルアラニンはやる気のもととなるドーパミンの前駆体なので、無気力状態を緩和して前向きにさせる働きがあるのです。
忙しいときやイライラしがちなときも、フェニルアラニンを摂取すれば気分が落ち着きやすくなります。
フェニルアラニンの摂取方法
フェニルアラニンは、日常生活でどのように補っていけば良いのでしょうか?
フェニルアラニンは必須アミノ酸の一つであることから、基本的には食べ物から摂取するしかありません。しかし、食事の時間を確保する・栄養バランス良く食べるといったことが難しい人には、サプリメントで摂取するという方法もあります。
以下からは、フェニルアラニンの摂取方法についてご紹介します。
食べ物から摂る
フェニルアラニンは、肉類や卵類、豆類、乳製品などのたんぱく質に多く含まれています。
特にフェニルアラニンを多く含んでいるのは、以下のような食品です。
- 牛レバー
- かつお
- まぐろ
- 鶏むね肉
- 大豆製品
- 小麦
- 卵
- チーズ
- 脱脂粉乳
- アーモンド
- 落花生
- かぼちゃ
- じゃがいも
- ごま
このほか、人工甘味料であるアスパルテームもフェニルアラニンを原料としているため、糖質ゼロの製品にはフェニルアラニンが含まれていることになります。
フェニルアラニンが少ない食品でも、複数の食品を組合せることでフェニルアラニンを補充できます。一度に補おうとせず、複数回の食事に分ければ、無理のないフェニルアラニンの摂取が可能です。
サプリメントから摂る
仕事や家事で忙しく、栄養バランスの良い食事が難しいという人には、サプリメントによるフェニルアラニンの摂取もオススメです。最近ではさまざまなサプリメントが販売されており、フェニルアラニンだけを補うこともできます。
ここで注意が必要なのは、必須アミノ酸は9種類すべてをバランス良く摂取しないと、栄養状態に影響を及ぼすという点です。
同様に、フェニルアラニンだけをたくさん摂取しても、効果的な栄養補給はできないのです。サプリメントは、必須アミノ酸9種類すべてがバランス良く配合された商品を選ぶと良いでしょう。
フェニルアラニンについて知っておきたいこと
フェニルアラニンは、基本的に安全性が高い成分であることがわかっています。とある研究では、被験者6名に3gのフェニルアラニンを一度に投与しましたが、健康状態への影響は特に見られなかった結果もあるようです。
ただし、ある特定の疾患を持つ人は、フェニルアラニンの摂取に注意が必要となります。ここからは、フェニルアラニンの副作用について解説します。
副作用はあるの?
フェニルアラニンは、適量の摂取であれば副作用はほぼありません。日本人のフェニルアラニンの1日平均摂取量は、男性3.51g、女性2.97gですが、この量は鶏むね肉であれば200~300g相当に留まります。
ただし、フェニルアラニンの代謝ができない「フェニルケトン尿症」の人は、フェニルアラニンが高値になると症状が悪化する恐れがあります。
また、妊娠している人も、血中のフェニルアラニン濃度が高まると流産などのリスクが高まるため、検診での観察が大切です。
そのほか、抗うつ薬を服用している人や、高血圧、心臓系疾患がある人は、フェニルアラニンから作られるドーパミンやノルアドレナリンが症状に影響を及ぼす可能性もあります。
摂取の際は担当医に相談することをオススメします。
必須アミノ酸を効率よく摂れる『VALX EAA9(イーエーエーナイン)』
フェニルアラニンをサプリメントで摂取する際は、必須アミノ酸9種類がバランス良く配合された商品を選ぶことが大切です。
『VALX EAA9(イーエーエーナイン)』は、ボディービル・パワーリフティング界のレジェンド山本義徳先生が完全監修したサプリメント。9種類の必須アミノ酸はもちろん、筋肉の修復を高めるとされているアミノ酸β-アラニンも配合されている商品です。
必須アミノ酸の補充はもちろん、筋肉トレーニング用のドリンクにもぴったりのサプリメントです。
使い方は、付属のスプーン2杯分を冷たい水で溶かすだけ。3種類のフレーバーから好みの味を選べるので、忙しい毎日の中でも無理なく摂取できます。
まとめ
フェニルアラニンは身体の中で合成できない必須アミノ酸の一つです。
身体に取り込まれるとドーパミンやノルアドレナリンなどの物質に変換され、集中力を高める・気持ちを前向きにさせるなどの働きを持ちます。
特定の持病をお持ちの人・妊娠中の人でない限り、過剰摂取をしなければ副作用も基本的にありませんので、食事やサプリメントから摂取してみてください。
なお、持病などをお持ちの人でサプリメントを飲んでも良いか気になる方は、本記事を参考にするほか、担当医にご相談ください。
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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