2019年の秋。ちょうどミスターオリンピアの話題が持ちきりだった頃、とあるニュースが話題をさらいました。なんでも、あのミロス・シャシブがセミナーをしに日本へやってくるというのです。
ミロス・シャシブとは?
ミロス・シャシブは、アメリカを中心として世界的に活動するトレーナーです。
かつては自身もIFBBプロボディビルダーとして活躍されました。ミスターオリンピアには、なんと10年連続出場の実績を持っています。
そして引退後はトレーナーとして選手育成にあたり、数々な著名な選手を指導しています。
日本人初のIFBBプロボディビルダー山岸秀匡も、ミロス・シャシブの指導により一気にポテンシャルを発揮しました。他にもフレックス・ウィラー、デニス・ウルフ、ルー・チェンなど、古くから現役まで多数の有名選手のコーチを務めています。
「ジャイアントセット」はミロスが多くのボディビルダーに実施し結果をもたらしたトレーニング法としてご存知の方も多いはず。
トレーナーとして世界一の実績をもつ、と言って間違いないミロス。この記事ではそんなミロス・シャシブの貴重な東京でのセミナーの様子お届けします。
セミナー開始
セミナーの開催日は、史上最大規模とさえ言われた台風が東京を通過した翌日でした。一部の交通機関が麻痺していたものの、会場の席は満員。中には飛行機が欠航になっても諦めずに、遠方からなんとか駆けつけたという参加者の方も。
そんな高い期待感に包まれた参加者たちに迎えられたミロス。大きな拍手で迎えられ壇上へと上がりました。
「退屈させてしまうかもしれないが、まずは基本から話さなければならない。」と冒頭に断わりを入れてから語りはじめたのは、栄養素の話でした。摂取した栄養がそれぞれ体内でどう働くのか。まずはそれを知っておいてほしいと言います。
筋肥大には炭水化物が絶対に必要。
冒頭で炭水化物とインスリンの関係を分かりやすく解説した上で、炭水化物を摂らなければ筋肉を大きくすることができない、だからボディビルダーにとっての炭水化物は絶対不可欠なものであると強く語ります。
トッププロレベルの選手を指導したミロスから発せられる言葉には非常に説得力がありました。実際、日本のトレーニング愛好家にも、炭水化物は必要だという考えは浸透しつつあるようです。
途中、あえてケトジェニック(低炭水化物)ダイエットの有効性について説明する場面もありました。大幅に体脂肪を落とさなければならない場合や、ある特定の体質の人の場合は、理にかなった非常に有効な食事法であるのだそうです。
ミロスといえば炭水化物主義!と言うイメージはやはり浸透しており、そのミロスがケトジェニックについて説明している事に驚いた方もいました。
それでもやはりミスターオリンピアのような巨大な筋肉を手に入れるために炭水化物は不可欠である事。そして安易にケトジェニックに頼るのは好まない事を明言した上でのことでした。
「ジムでカロリーを燃やしてはいけない。ジムは筋肉を刺激する場所だ!」
セミナーを通して、何度も繰り返し強調していたのはこの言葉でした。
炭水化物主義と同様に、いやもしかするとそれ以上にミロスといえばジャイアントセットの提唱者、と言う認識は日本でも広まっています。
同じ筋群に対して異なるエクササイズを4種目以上休みなく続けて行うことで、筋肉への刺激を最大化できる。だからドロップセットではなくジャイアントセットを推奨しているのだ。と、ミロスは言います。
ただ、ジャイアントセットを行うことだけがトレーニングの全てではなく、筋肉を発達させるためには様々な種類の刺激が必要であること、ジャイアントセットによる刺激もそのうちの1つでしかない、とも付け加えました。
「友達同士でジムに行くと、ベンチプレスを何回挙げられるかの戦いが始まるだろう。彼が10回やれば、君は12回挙げたいだろうし、その次の君はもっともっと、、、男ならそうだろう?」と会場に問いかけると参加者からはつい、笑みがこぼれました。
「そうではなく、彼が10回やれば君は『それ以下の回数しか挙がらない』ことを目指すべきだ」と。
コンテスト直前の調整方法
今回のセミナーでのメイントピックのうちの1つが、コンテスト直前の調整方法でした。
炭水化物・塩分・水分がそれぞれどのような役割で、なぜ必要なのか。さらには、いつ、何を、どのくらい摂取するのか?といったかなり実践的なところにまで踏み込んだ内容でした。化学の根拠に基づいた必要量を細かく数値化して説明がなされており、アメリカでは常識となりつつあるそうです。
参加者からは、「コンテスト前のカリウムの摂取目安は?」「調整中のトレーニングメニューは?」「女性競技者も同じ調整方法が可能か?」などの質問が飛び出しました。セミナー参加者には競技者が多く、とりわけ関心の高いトピックであった事を伺い知ることができました。
ミロスからのメッセージ
俳優ブルース・リーの言葉を引用し、会場にいる参加者に贈りました。
“Absorb what is useful, discard what is useless and create your own.”「使えるものを吸収し、使えないものは捨てていけ。そして自分だけのものを作るんだ。」
たとえ優れた選手が取り入れているトレーニングメニューでも、それをそのまま真似てはいけない。自分に正直になり、自分にとって一番良いものを作り上げるのだ、と。
終わりに
セミナーは3時間にわたって行われ、その間ミロスは休みなく話し続けました。時間の許す限り参加者からの質問への回答をし、長時間だと思っていたセミナーがあまりにもあっという間に過ぎてしまいました。
ミロスといえばもう一つ有名なのが、「ミロストレーニングキャンプ」です。本来なら一流選手しか受けられない指導を受けるチャンスとして、費用は安くないのにもかかわらず世界中から希望者が絶えないのだそう。日本人向けのキャンプはロサンゼルスにてさらに贅沢な内容で行われます。参加者たちは数日間ずっと寝食を共にして、トレーニング指導・栄養指導をみっちり受けるのだとか。
そんなミロスキャンプに参加しないと聞けないのではないのか?と思われるレベルの内容が今回のセミナーでは惜しみなく語られていて、濃密な内容であった事は間違いありません。これからのセミナー情報もお見逃しなく!
実際のトレーニング指導の様子が公開されているYouTube、今後の予定が告知されるInstagramやFacebookも要チェックです。
ミロス・シャシブの情報はこちらから
オフィシャルホームページ ※近日公開
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監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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