「力こぶ」の筋肉である上腕二頭筋。この上腕二頭筋を「腕立てで鍛えたい」と考えている人もいるでしょう。
上腕二頭筋は、腕立てなどの自重トレーニングで鍛えることが可能です。最短で腕を太くしたいならダンベルトレーニングがオススメですが、腕立てなら思い立ったとき場所を選ばず、手軽にトレーニングできます。
この記事では、上腕二頭筋を腕立てで効果的に鍛える方法を解説します。鍛える際の2つのポイントも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
上腕二頭筋とは?
上腕二頭筋とは、腕の前面にある筋肉です。肘を曲げてこぶしを握りしめると力こぶができますが、この力こぶの筋肉が上腕二頭筋です。
意識をしてみると、肘関節の屈曲(肘を曲げる動作)・前腕を回外する(手首を外側にひねる動作)ときに上腕二頭筋が使われていることが実感できるでしょう。
上腕二頭筋は肩甲骨から始まり、前腕(肘と手首のあいだの骨)の頭骨に付着します。「二頭筋」の名前のとおり「長頭」と「短頭」の2つの筋肉でできていて、腕の外側にあるのが長頭、内側にあるのが短頭です。
長頭は手首を内側にひねる回内動作で、短頭は回外動作で強い負荷がかかります。
腕立てで上腕二頭筋を鍛えられるのか?
「ダンベルを買っても続けられるか不安」「ジムへ行く時間がない」などの理由から、まずは自重トレーニングに挑戦してみたいと思う人は多いでしょう。
上腕二頭筋は、腕立てなどの自重トレーニングで十分鍛えられます。
なお、最短で効率的に腕を太くしたいなら、ダンベルを使用した「インクラインダンベルカール」がオススメです。
インクラインダンベルカールは、上腕二頭筋を効果的に鍛えられる筋トレ法です。「インクラインベンチ」と呼ばれる角度調整のできるベンチを使っておこなうと、より上腕二頭筋に効かせることができます。
角度を45度くらいに傾けたインクラインベンチに座り、肘の位置を動かさずにダンベルをゆっくりと上げ下げします。10回~15回を3セット程度おこなうのが目安です。
上腕二頭筋を腕立てで鍛えるメリット
上腕二頭筋を腕立てで鍛えるメリットを見ていきましょう。
思い立ったときに場所を選ばず省スペースでトレーニングできる
腕立てで必要なのは自分の身体だけなので、思い立ったときにいつでもトレーニングできます。
自宅・公園・勤務先の休憩室など、場所を選ばずトレーニングできるため、ジムへ行く必要もありません。ベンチなどのかさばる器具も使わないため、省スペースでトレーニングできるのもメリットです。
器具を持たない筋トレ初心者も挑戦しやすい
器具を持たない筋トレ初心者の場合、「鍛えよう」と思い立っても、器具をそろえるのが面倒で、結局やらずじまいになってしまうこともあるでしょう。しかし、器具を使わない腕立てなら、思い立ったときにすぐに始められます。
ダンベルなどの器具は持ち歩けないため、器具がある場所でしかトレーニングできません。その点、腕立てなら器具がなくてもトレーニングできるため、続けやすいというメリットもあります。
フォームを変えるだけでほかの部位にも効かせられる
一般にトレーニングのための器具は、特定の部位を鍛えるために作られています。そのため、ほかの部位を鍛えるためには別の器具を用意しなくてはなりません。
それに対して、腕立てならフォームを変えるだけでほかの部位にも効かせられるのもメリットです。例えば、上腕二頭筋と上腕三頭筋の両方をトレーニングする場合、腕立てのフォームを変えるだけで、それぞれの部位を鍛えられます。
上腕二頭筋を腕立てで鍛える方法
それでは、上腕二頭筋を腕立てで鍛える方法を紹介します。下記のいずれの方法も、通常の腕立てにプラスアルファの動きを加えることで、上腕二頭筋をより効果的に鍛えられるよう工夫されています。
トレーニングをおこなう際は、ヨガマットやカーペットを敷くなどして、床を柔らかい状態にしておきましょう。
ドルフィンプッシュアップ
ドルフィンプッシュアップは、腕立てに前後の動きを加えたトレーニングです。上腕二頭筋だけでなく、肩にも刺激を与えられます。
やり方
1.床にうつ伏せになって腕立てのフォームを取る
2.お尻を高く上げ、肘から手までを床につけてキープする
3.腕立て伏せの要領で、床を押して元のフォームに戻る
4.くり返す
トレーニング量の目安は、12回×3セットが良いでしょう。セット間のインターバルは30秒程度が適当です。
注意点
お尻を高く上げようとして腰を反らしてしまうと、腰を痛めてしまうことがあります。
腰を反らさず、背筋も伸ばすのがこのトレーニングのポイントです。最初は鏡などでフォームを確認するのが良いでしょう。
クラッピングプッシュアップ
クラッピングプッシュアップは、床を手で押したときの反動で手を叩くトレーニングです。難易度が高くハードなため、注意しておこないましょう。
やり方
1.床にうつ伏せになって腕立てのフォームを取る
2.足を床につけたまま、両手で床を強く押して飛び上がる
3.空中で手をクラップ(拍手)させる
4.両手を床について着地する
5.くり返す
トレーニング量の目安は、10回×3セットが良いでしょう。セット間のインターバルは1分程度を取ります。慣れてきたら、手を叩く回数を増やすとより効果的です。
注意点
着地に失敗するとケガをする恐れもあるため、初心者は避けたほうが良いでしょう。トレーニングに慣れ、上腕二頭筋がある程度鍛えられてからチャレンジするのがオススメです。
ワイドプッシュアップ
ワイドプッシュアップは通常より広い幅に手を広げておこなう腕立てで、通常の腕立てより上腕二頭筋に強い負荷をかけられます。
やり方
1.床にうつ伏せになり、手を肩幅一つ分、通常の腕立てより外に開く
2.身体をゆっくりと持ち上げセットポジションを取る
3.身体をゆっくりと下ろす
4.ギリギリまで身体を下げたら、セットポジションに戻る
5.くり返す
トレーニング量は、15回×3セットが適当です。セット間のインターバルは1分程度が良いでしょう。
注意点
上腕二頭筋にしっかり負荷をかけるためには、首筋から足までをまっすぐの状態に保つことが必要です。初心者のうちは鏡などを見て、フォームを確認すると良いでしょう。
上腕二頭筋を腕立てで鍛える際のポイント
上腕二頭筋を腕立てで鍛える際のポイントを見ていきましょう。
オーバーワークをしない
まず重要なのは、オーバーワークをしないことです。
トレーニングによりダメージを負った筋肉は、休養を取ることで新たな筋肉を生み出します。筋肉を十分休ませずさらに負荷をかけてしまうと、筋肉を痛めるだけでなく、効果的な筋肉強化もできなくなるかもしれません。筋肉痛があるときのトレーニングは避けましょう。
上腕二頭筋の場合、筋肉を回復させるためには48時間の休養が必要です。トレーニングをおこなったら、次のトレーニングまで2日は空けましょう。
上腕三頭筋も鍛えると相乗効果あり
上腕二頭筋を鍛える際には、上腕三頭筋もあわせて鍛えれば相乗効果が生まれ、効果がより高まります。
筋肉には「対」になる筋肉があり、ある筋肉に負荷がかかると、その対になる筋肉にはストレッチがかかります。そのため、ある筋肉に負荷をかけた直後に対になる筋肉に負荷をかけると、筋肉の回復が促され効率が高まるのです。上腕二頭筋と対になるのは、上腕三頭筋です。
上腕二頭筋と上腕三頭筋の鍛え方は、以下の記事でも山本義徳先生が解説しています。
まとめ
上腕二頭筋は、腕立てなどの自重トレーニングでも鍛えることが可能です。腕立てなら、場所を選ばずトレーニングできる・器具を持たない初心者でも挑戦しやすい・フォームを変えるだけでほかの部位にも効かせられる、などのメリットがあります。
上腕二頭筋を鍛えるための腕立ての方法には、ドルフィンプッシュアップ・クラッピングプッシュアップ・ワイドプッシュアップなどがあります。トレーニングをする際には、オーバーワークをしない・上腕三頭筋も一緒に鍛ことをポイントにしておこないましょう。
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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