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ボディビルのポージング一覧|全種類のポイントを山本義徳が解説

ボディビルのポージングは、リラックスポーズ4種類、規定ポーズ8種類の計12種類です。競技会では、ポーズを順に披露しながら、筋肉の大きさや仕上がり、全身のバランスの良さなどを競います。

この記事では、各ポーズの特徴、ポージングの方法・注意点、競技会での審査ポイントを紹介するので、ぜひご一読ください。

ボディビルのポージングは全部で12種類ある!

ボディビルのポージングは、リラックスポーズと規定ポーズの2つに分けられ、全部で12種類あります。

リラックスポーズは、必要以上に筋肉に力を入れず、全身の筋肉部位の仕上がりを審査員に見せるものです。規定ポーズでは、筋肉に極限まで力を入れ、各部位の大きさやカット(筋や境目)を十分アピールします。

リラックスポーズは、以下の4種類です。

1.フロントリラックス
2.サイドリラックス(左)
3.バックリラックス
4.サイドリラックス(右)

規定ポーズは、以下の8種類です。

1.フロントダブルバイセップス
2.フロントラットスプレッド
3.サイドチェスト
4.バックダブルバイセップス
5.バックラットスプレッド
6.サイドトライセップス
7.アブドミナルアンドサイ
8.モストマスキュラー

ただし、この規定ポーズには団体により若干の違いがあり、NBBF(特定非営利活動法人 日本ボディビルディング連盟)は上記の8種類ですが、JBBF(公益社団法人 日本ボディビル・フィットネス連盟)はモストマスキュラーを除いた7種類で審査をします。

ボディビルのポージング|リラックスポーズ4種類

まずは、ボディビルのポージングのうち、リラックスポーズ4種類の特徴・ポイントを見ていきましょう。リラックスポーズでは、身体の正面・左側・背面・右側の筋肉を順に見せていきます。

1.フロントリラックス

最初に披露するフロントリラックスは、身体の正面の筋肉を見せるポーズです。正面を向いて両腕を軽く開き、広背筋を大きく広げます。

脚の筋肉に力を入れ、重心をかかとに乗せるのがポイントです。

見せる筋肉は、僧帽筋・三角筋・広背筋・大胸筋・外腹斜筋・大腿四頭筋。特に、大腿四頭筋・広背筋・外腹斜筋を意識します。

ポーズを披露する手順は、以下のとおりです。

  • ステージで正面を向いて立つ
  • 司会者のコールを待つ
  • コールがあったら、ポーズを披露する

2.サイドリラックス(左)

サイドリラックス(左)は、おもに身体の左側の筋肉を見せるポーズです。

頭と下半身は、ステージから見て左を向いたまま、上半身だけをひねって正面を向かせ、両腕を軽く開いて広背筋を大きく広げます。

身体を立体的に美しく見せることがポイントです。

見せる筋肉は、広背筋・上腕三頭筋・大胸筋・外腹斜筋・大腿四頭筋。特に、大腿四頭筋・外腹斜筋・上腕三頭筋を意識します。

ポーズを披露する手順は、以下のとおりです。

  • ステージから見て、左を向いて立つ
  • 司会者のコールを待つ
  • コールがあったら、ポーズを披露する

3.バックリラックス

バックリラックスは、身体の背面の筋肉を見せるポーズです。ステージから見て後ろに向いて立ち、両腕を軽く開いて、肩甲骨を広げます。

見せる筋肉は、僧帽筋・三角筋・広背筋・上腕三頭筋・大腿四頭筋・下腿三頭筋。特に、広背筋・大殿筋・上腕三頭筋を意識します。

ポーズを披露する手順は、以下のとおりです。

  • ステージから見て、後ろを向いて立つ
  • 司会者のコールを待つ
  • コールがあったら、ポーズを披露する

4.サイドリラックス(右)

サイドリラックス(右)は、サイドリラックス(左)と反対側の、身体の右側の筋肉を見せるポーズです。

頭と下半身は、ステージから見て右を向いたまま、上半身だけをひねって正面を向かせ、両腕を軽く開いて広背筋を大きく広げます。

こちらも、身体を立体的に美しく見せることがポイントです。

見せる筋肉は、広背筋・上腕三頭筋・大胸筋・外腹斜筋・大腿四頭筋。特に、大腿四頭筋・外腹斜筋・上腕三頭筋を意識します。

ポーズを披露する手順は、以下のとおりです。

  • ステージから見て、右を向いて立つ
  • 司会者のコールを待つ
  • コールがあったら、ポーズを披露する

ボディビルのポージング|規定ポーズ8種類

つづいて、ボディビルのポージングのうち、規定ポーズ8種類の特徴・ポイントを見ていきましょう。

1.フロントダブルバイセップス

「バイセップス」とは、上腕二頭筋を意味します。フロントダブルバイセップスは、両腕をガッツポーズのように上げ、上腕二頭筋を強調するポーズです。

上腕二頭筋だけでなく、逆三角形の体型・腹筋・身体全体のバランスとひととおりを見ることができるため、ボディビルの代表的なポーズといえるでしょう。

身体の正面の筋肉全体に力を入れ、腕の筋肉だけに集中しすぎないことがポイントです。

見せる筋肉は、上腕二頭筋・三角筋・広背筋・大胸筋・腹直筋・腹斜筋・大腿四頭筋・前脛骨筋。特に、上腕二頭筋・大腿四頭筋を意識します。

2.フロントラットスプレッド

「ラット」は背中の筋肉、「スプレッド」は広げることを意味します。フロントラットスプレッドは、背中の筋肉を左右に大きく広げ、横幅を強調するポーズです。

息を大きく吸い込み、お腹をへこませて胸郭を広げることで美しく見えます。背中の筋肉を意識し、上半身を広く見せるのもポイントです。

見せる筋肉は、三角筋・広背筋・上腕二頭筋・前鋸筋・大胸筋・腹直筋・腹斜筋・大腿四頭筋。特に、広背筋・大胸筋を意識します。

3.サイドチェスト

サイドチェストは、胸(チェスト)の厚みを横から見せるポーズです。腕・太もも・肩の筋肉など、身体の厚みを強調します。

競技者が女性の場合、背中からお尻にかけてのS字ラインも評価の対象となるのがこのポーズの特徴です。

見せる筋肉は、三角筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋・大胸筋・大殿筋・大腿四頭筋・ヒラメ筋・前脛骨筋。特に、大胸筋・上腕二頭筋・大殿筋・三角筋を意識します。

ポイントは、腕だけでなく、大腿部からふくらはぎの脚全体に力を入れること・まっすぐ立たず、膝を少し曲げて立つことです。呼吸を止め、血管を浮かせると、よりキレイに見えます。

4.バックダブルバイセップス

バックダブルバイセップスは、フロントダブルバイセップスと同じポーズを、後ろ向きでおこなうものです。上腕二頭筋だけでなく、背中から上腕にかけての筋肉群の凹凸、さらにはお尻・太もも・ふくらはぎの筋肉をくっきり見せ、背面全体の筋肉美をアピールします。

後ろを向き、両腕を上げて90度の角度で維持し、背中に意識を集中します。肩甲骨を締めすぎないことがポイントです。

見せる筋肉は、三角筋・僧帽筋・上腕二頭筋・広背筋・大殿筋・大腿二頭筋・ヒラメ筋。特に、広背筋・三角筋・上腕二頭筋を意識します。

5.バックラットスプレッド

バックラットスプレッドは、フロントラットスプレッドを後ろから見せるものです。背中の筋肉を広げることで広背筋が引き立つため、背中のV字シルエットの美しさをアピールできます。

背中だけでなく、太ももの筋肉も意識することがポイントです。肘を前に出しすぎないこと・背中を反りすぎないことに注意しましょう。

見せる筋肉は、僧帽筋・三角筋・広背筋・脊柱起立筋・大殿筋・大腿二頭筋・ヒラメ筋。特に、脊柱起立筋・肩甲骨・僧帽筋を意識します。

6.サイドトライセップス

「トライセップス」は、上腕三頭筋を意味します。腕を横から見せることで、上腕三頭筋の美しさをアピールするポーズです。横を向くため、胸・脚の厚みなど、身体の凹凸も披露できます。腹斜筋が強調できるのも、このポーズの特徴です。

見せる筋肉は、僧帽筋・三角筋・上腕三頭筋・大胸筋・外腹斜筋・腹直筋・大腿四頭筋。特に、上腕三頭筋・大胸筋・腹筋・外腹斜筋を意識します。

7.アブドミナルアンドサイ

「アブドミナル」は腹筋、「サイ」は脚を意味します。アブドミナルアンドサイは、腹筋・脚の筋肉をアピールするポーズです。腕を上げているため、広背筋の広がりや腹筋の絞り具合も強調できます。

審査では、脚の筋肉の大きさとともに、腹筋の脂肪がどれだけ絞られているかが対象となるため、上半身の見せ方も重要です。

見せる筋肉は、上腕二頭筋・上腕三頭筋・大胸筋・腹直筋・腹斜筋・腹横筋・大腿四頭筋。特に、腹筋と大腿四頭筋を意識します。

腹部を曲げずに腹筋に力を入れること・脚の筋肉にも最大限力を入れることがポイントです。

8.モストマスキュラー

「モストマスキュラー」は、「最も力強い」という意味で、おもに肩から腕にかけての筋肉をアピールするポーズです。自分がアピールしたい部位を強調するため、ボディビルダーによってさまざまなアレンジが見られます。

NBBFの大会では規定ポーズの最後に披露されますが、JBBFの大会では規定ポーズに含まれないため、披露されるのはフリーポーズのときだけです。

見せる筋肉は、僧帽筋・三角筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋・大胸筋・腹直筋・腹斜筋・大腿四頭筋。特に、僧帽筋、大腿四頭筋、上腕三頭筋を意識します。

一番自信のある筋肉を、しっかりアピールできるポージングを研究してみるのも良いでしょう。

ボディビルのポージング|審査のポイント

ここからは、ボディビル競技会での審査のポイントを見てみましょう。バルク・ディフィニション・プロポーションの3つのポイントを押さえることが、高評価につながります。

バルク

「バルク」は、「筋肉の大きさ・太さ」という意味です。審査の割合として、約50%が筋肉の大きさ・発達を見て採点されることから、バルクは重要なポイントだといえます。

競技会へ向けてのトレーニングでは、各部位の筋肉量・ボリューム・密度を十分に高めていきましょう。

ディフィニション

競技会の審査では、バルクだけでなく、ディフィニションも大切なポイントです。

「ディフィニション」とは、「筋肉の脂肪がしっかり落とされ、絞られた状態」を意味します。いくらバルクが良くても、しっかり絞られていて、筋肉の筋や境目がはっきり見える状態になっていないと、高得点は望めません。

体脂肪率を5%程度まで落とせば、ディフィニションの評価が高くなり、上位入賞の可能性も出てくるでしょう。

プロポーション

「プロポーション」は、「比率」「割合」という意味で、全身のバランスが良い状態のことです。

上半身と下半身、肩と腕、ウエストの細さなど、筋肉の発達・骨格といった全身のバランスがとれているかが重視されます。ただ、筋肉を大きくすれば良いというわけではなく、いかにキレイにバランス良く見せられるかも大切なのです。

腕・脚の長さや顔の小ささなどもプロポーションに寄与するため、元からスタイルが良い人が有利になるところではあります。

以下の記事では、山本義徳先生のボディビル大会での裏話を紹介しているので、ぜひご覧ください。

大会前に強制送還の危機!?ボディビル大会の裏側をお伝えします!山本義徳先生のトレーナー実績と、20年以上前のボディビル大会に参加した際の武勇伝をご紹介!...

まとめ

ボディビルの競技会では、4種類のリラックスポーズ、つづいて8種類(JBBFは7種類)の規定ポーズを披露します。ポージングをおこなう際には、どの筋肉をアピールするのかを意識しましょう。

審査では、バルク・ディフィニション・プロポーションが重視されます。それだけでなく、ポージングの上手さ、いかにキレイに見せられるかも重要なポイントです。

食事・トレーニングで筋肉をバランス良く発達させるだけでなく、それぞれのポージングのポイントを押さえて練習していきましょう。

公式ライン

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

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