「プロテインを飲みすぎると身体を壊す」「肝臓に負担がかかる」などと良くいわれますが、実際のところどうなのでしょうか?プロテインの摂取に危険性はあるのかどうか、山本義徳先生が解説します。
そもそもプロテインとは
プロテインに対して、どうして世間では薬のようなイメージがあるのでしょうか。特別なものを飲んでいるように感じられてしまいますが、プロテインは結局、たんぱく質にすぎません。たんぱく質は肉・魚・卵にも含まれています。仮にプロテインが身体に悪いとすると、肉・魚も身体に悪いことになってしまいます。
例えば、ビタミンであれば一気にワンボトルを飲むことは可能ですが、プロテインを100g一気に飲むことはあまりできません。
では、たんぱく質はどのくらい摂ると摂りすぎになるのでしょうか。体重1kgあたり3.4gや4.4gで調べた研究があります。研究結果ほとんど問題ありませんでした。
体重1kgあたり3.4gや4gのたんぱく質を摂取した場合は、ものすごい量になります。体重1kgあたり2~2.5gの常識的な範囲であれば、まず問題はありません。
プロテインと身体の関係
人の身体の15~20%を占めているのは、たんぱく質です。
たんぱく質は肌・髪の毛・筋肉・神経伝達物質などを構成し、たんぱく質のもとになるアミノ酸は人のエネルギー源にもなっています。
アミノ酸は全20種類あり、このうち9種類は体内で作ることができない「必須アミノ酸」です。
必須アミノ酸を含むたんぱく質を摂取し続けなければ、私たちの肌・筋肉などはどんどん衰えます。エネルギー源が減ると疲れやすくなったり、神経伝達物質が減って脳の機能が低下したりする可能性があります。
たんぱく質の不足を防ぐためには、毎日食事から摂取するしかありません。
特に必須アミノ酸は9種類すべてバランス良く摂取しなければ、健康に影響がおよびます。
毎回の食事で必須アミノ酸のバランスを考えるのは大変ですが、プロテインならより手軽にたんぱく質を摂取できます。
プロテインを飲むだけで、肌・髪のツヤの維持、筋肉量アップなどの効果が期待できます。
肝臓への悪影響は?
最近、腎臓病学会がたんぱく質に対するレビューを出しました。軽い腎臓病の人に対しては、特にたんぱく質を制限しないことになっています。
腎臓が悪い人でも制限はしないわけですから、健康な人においてはプロテインを飲みすぎたからといっても特に問題はないといえます。実際に健康な人がプロテインを飲みすぎて何か問題が起きたという研究論文はまったくありませんので、安心して飲んでください。
プロテインは過剰摂取で危険性がある!
プロテインを摂りすぎると、以下のような症状が現れる可能性があります。
腸内環境が悪化する
人の腸には100兆個にもおよぶ腸内細菌が生息しています。
腸内細菌は善玉菌・悪玉菌・中間菌の3種類あり、それぞれがバランスをとりながら腸内環境を守ります。
肉・魚・乳製品などの動物性たんぱく質を摂りすぎると、吸収しきれないたんぱく質が出てきます。
余ったたんぱく質は腸内に送り込まれ、悪玉菌のエサになります。エサをたくさん食べた悪玉菌がどんどん増殖すると、腸内環境のバランスを崩してしまいます。
ホエイプロテイン・カゼインプロテインなど、牛乳を原材料とした動物性たんぱく質のプロテインを摂取する際は、注意が必要です。
お腹が下る(下痢する)
動物性たんぱく質の摂りすぎで悪玉菌が増えると、お腹にさまざまな不調が生じます。その一つが、下痢です。
腸内環境のバランスがとれていれば、老廃物は適切に消化され、スムーズに排出されます。しかし、悪玉菌が増殖すると、食べ物の消化が上手く行きません。腸内で食べ物が腐敗したり、蠕動(ぜんどう)運動(体内で物を移動させるための筋肉の収縮運動)を過剰にしたりして、下痢の原因になります。
腸の消化機能が落ちると、便秘にもなります。腸内に悪臭がたまり、臭いのキツいおならをするようになったりします。
悪玉菌の影響を抑えるには、善玉菌のエサである食物繊維の摂取が大切です。
葉物野菜・根菜類などに多く含まれているので、サラダなどで野菜も摂るように心がけてみてください。
睡眠時間をしっかりとることも、腸内細菌を働かせる対策になります。
吸収しきれず余ったたんぱく質は尿として排泄されてしまう
たんぱく質は摂取した分すべてが吸収されるわけではありません。
摂取したたんぱく質は、肌・髪の毛・筋肉など身体のさまざまな部位に使われたり、エネルギー源として使われたりします。
余ったたんぱく質は分解されて窒素となり、肝臓・腎臓の働きによって最終的には尿に変換されて排出されます。
たんぱく質を過剰摂取すると、多くの窒素を尿に変換するために肝臓・腎臓への負担が増え、内臓疲労を起こすおそれがあります。
プロテインの副作用は、以下の記事でも詳しく解説しています。
プロテインは身体に必要な量だけ摂取することが大切
たんぱく質の過剰摂取は身体に悪影響もおよぼすため、適切な量だけ摂取することが大切です。
しかし、たんぱく質の必要摂取量は、年齢や日ごろの運動状況などによっても異なります。
1日にどれくらいのたんぱく質が必要なのか、運動しない人と運動する人に分けて解説します。
運動をしない人が必要なたんぱく質量
厚生労働省は、「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」でたんぱく質の推定平均必要量や推奨量をまとめました。
日ごろ運動をせず、必要エネルギーが低い人でも、推奨量以上のたんぱく質摂取を勧めています。
たんぱく質の食事摂取基準(g/日)
性別 | 男性 | 女性 | ||
年齢 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 推定平均必要量 | 推奨量 |
18~29歳 | 50 | 65 | 40 | 50 |
30~49歳 | 50 | 65 | 40 | 50 |
50~64歳 | 50 | 65 | 40 | 50 |
65~74歳 | 50 | 60 | 40 | 50 |
75歳以上 | 50 | 60 | 40 | 50 |
たんぱく質量が多い食品である鶏むね肉(皮なし)は、100gで23.3gのたんぱく質を含んでいます。
男性が65g、女性が50gのたんぱく質を摂ろうとする場合、男性は約300g、女性は約200g以上の鶏むね肉(皮なし)を毎日食べなければなりません。
鶏むね肉よりもたんぱく質が少ない食品はさらに多く摂る必要があります。
運動をする人が必要なたんぱく質量
運動をする人は、最低でも体重×2gのたんぱく質を摂取したいところです。
筋肉を増やす目的であれば、山本義徳先生が推奨しているたんぱく質量は体重×2.8g/1日です。事実、体重×2.8gで、筋肥大の効果は最大化するという研究もあります。
体重×2.8gということは、体重60kgの人なら、60kg×2.8g=168gのたんぱく質を摂取する必要があります。このくらいの量になると、たんぱく質を多く摂取できる食事を意識したり、プロテインを活用したりしないと、必要量の摂取は難しくなるでしょう。
たんぱく質の摂取量は、以下の記事でも詳しく解説しています。
食事で十分なたんぱく質を補えない人はプロテインを活用しよう!
1日に摂取すべきたんぱく質を食事から摂取するには、多くの食材と時間が必要です。
食事に手間・時間がかけられない人は、手軽にたんぱく質を摂取できるプロテインがオススメです。
余分な脂質を摂りたくない人に『VALX ホエイプロテイン WPI パーフェクト』
『VALX ホエイプロテイン WPI パーフェクト』は、数々の有名アスリートを指導してきた山本義徳先生が完全監修したプロテインパウダーです。
プロテインパウダーといえば多くの人が「たんぱく質の粉」を思い浮かべますが、実は市販のプロテインには、たんぱく質以外にも糖分などの成分が多く含まれている場合があります。
『VALX ホエイプロテイン WPI パーフェクト』はたんぱく質以外の材料を最小限にし、高い純度にこだわりました。フレーバーはプレーン味・チョコレート風味・ストロベリー風味など、全6種類です。
プロテインパウダーの特徴である溶けにくさ・飲みにくさを改善し、おいしく飲めます。
手軽に摂取できる高純度のたんぱく質を探している人は、ぜひ試してみてください。
まとめ
プロテインは薬ではなく、あくまでたんぱく質です。肉・魚・卵など、食事からたんぱく質を摂取することと何ら変わりはないので、常識的な範囲内の摂取であれば危険性はありません。
そもそも、厚生労働省はたんぱく質の耐容上限量を定めていません。腎臓病学会も、軽い腎臓病の人に対しては、特にたんぱく質を制限しないとしています。体重1kgあたり3.4gや4.4gのたんぱく質摂取でも問題はなかったという研究結果もあります。3.4gや4.4gは相当な量であり、大抵の人はここまでのたんぱく質を摂取できません。
つまり、よほどの大食漢でなければ、プロテインによるたんぱく質の摂り過ぎを心配する必要はなく、危険性もないといえます。
ぜひ、安心して摂取していただければと思います。
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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