VALXの監修をしており、筋トレ業界のレジェンドである山本義徳先生はこれまでにさまざまな経歴があります。
ベンチプレス260kgや、NPC アイアンマン・アイアンメイデンというボディビルの大会において日本人初ライトヘビー級優勝、NPC トーナメント・オブ・チャンピオンズではヘビー級で優勝しています。
これらの輝かしい功績の裏には、山本義徳先生の「101理論」やトレーニング方法に対する理論的な考え方がありました。
今回は、山本義徳先生の全盛期とも言えるヘビー級で優勝するまでの道のりに焦点を当てたエピソードを紹介します。
筋肉量よりも筋力を重視した学生時代
山本義徳先生は、いまでこそ「筋肉博士」と呼ばれています。
これは山本義徳先生が積み上げてきた数多くの実績が、多くの筋トレファンに支持されたことでこう呼ばれるようになりました。
ベンチプレスとの出会い
山本先生とベンチプレスとの出会いは、高校時代のラグビー部での補強練習でした。
初心者であったにも関わらず、始めてすぐに80kgのベンチプレスを上げることができたのだそうです。
ラグビー部の先輩や同級生と比べても、ベンチプレスが強いことを自覚して、本格的にベンチプレスの練習を始めました。
一般的な男性の場合、初めてのベンチプレスで扱える重量はだいたい40kgくらいと言われています。
参考:ベンチプレスが伸びないのはなぜ?山本義徳氏が解説する3つのダメな理由と伸ばし方! – VALX(バルクス)produced by 山本義徳
雑誌「月間ボディビルディング」に、当時のベンチプレス世界記録保持者テッド・アーシディ選手の「180kgのベンチプレスを上げる人が、197.5kgまで記録を伸ばすトレーニングサイクル」が掲載されていました。
山本先生は、半分の重量でトレーニングサイクルを組むことで、ベンチプレス100kgにせまる記録まで伸ばすことができました。
高校3年生の卒業前には、140kgのベンチプレスをあげられるまで、筋力が伸びたそうです。
4分割のトレーニング方法
山本先生は大学時代、4分割のトレーニング方法を実践することで筋力を伸ばしました。
具体的には以下の4つに分割しており、高重量かつ6回3セットで練習していたといいます。
- 胸・上腕二頭筋
- 脚
- 肩・上腕三頭筋
- 背中
胸・上腕二頭筋の場合は重い重量でベンチプレスを行います。
一方、肩・上腕三頭筋の練習では、重い重量の80%程度の重さに設定したベンチプレスを5回3セット行い、フォームが崩れないことを重視しながら、一気に上げることを意識します。
最終的に、26歳で260kgのベンチプレスをあげました。
一般的な男性の場合、初めてベンチプレスで上げられる平均的な重さは40kgと言われていることを考慮すると、非常に強いことがわかると思います。
参考:ベンチプレスが伸びないのはなぜ?山本義徳氏が解説する3つのダメな理由と伸ばし方! – VALX(バルクス)produced by 山本義徳
筋力よりも筋肉量を重視したボディビルダー時代
260キロのベンチプレス達成後、本格的にボディビル選手としての活動に専念するようになりました。
1994年「ミスター東京」で優勝しましたが、当時の筋肉量ではミスター日本やボディビルの国際大会で海外選手を相手に勝つには至らないと考え、筋力ではなく筋肉量を増やすトレーニングを重視し始めました。
101理論を確立して、1日に全身を鍛える
また、ボディビル選手として活躍を始めた時期から、かなり少ないトレーニング方法で全身を追い込む「101理論」を確立していました。
短時間で強度の高いトレーニングをする理由は、長時間できるトレーニングは自身のホメオスタシスを超えることができず、たんぱく質合成のシグナルも送られないからです。
101理論とは、山本義徳先生が提唱しているトレーニング理論です。
女性の健康管理を指導していた頃、少ない量のトレーニングで効果が出ていることに気づいたことがきっかけで「少ない量でいかに効かせるか」ということに着目したとのことです。
参考:『101理論』を山本義徳先生が徹底解説! – VALX(バルクス)produced by 山本義徳
3分割のトレーニング方法
4分割のトレーニング方法から、3分割に分ける方法に変化しました。
山本先生は以下のように分割してトレーニングを積み重ねました。
- 胸・背中
- 肩・腕
- 脚
具体的には、胸を鍛える日には、
・65kgのインクラインダンベルフライ×2セット
・70kgのフラットダンベルフライ×2セット
合計4セットのトレーニングが一番気に入っていた種目だったのだそうです。
上腕二頭筋を鍛える場合、
・インクラインダンベルカール×2セット
・インクラインハンマーカール×1セット
合計3セットを行っていたそうです。
101理論に基づいた、1部位45分程度の短く少ないセット数で全身を追い込むトレーニング方法や、食事方法も改善を重ね続けました。
今よりボディビルが盛んではない時代、アジア大会で日本人が3位になることですら決して悪くない成績にも関わらず、1998年に海外選手を抑えて、国際大会のライトヘビー級において日本人初の優勝者となりました。
参考:『私とボディビル Part 34』
参考:『私とボディビル Part 29』
日本人初のヘビー級優勝
ライトヘビー級で優勝した山本先生の次なる目標は、ヘビー級で優勝することでした。
しかし、ボディビルという世界で階級を上げることは、筋肉量を増やしつつ、体脂肪を減らす必要があるので、非常に厳しいトレーニングや食事管理をすることになります。
1日で全身を鍛えるトレーニング方法
山本先生は、2000年~2003年まで、1日で全身を鍛えるトレーニング方法を取り入れていたそうです。
2000年~2003年まで、ヘビー級に出場しましたが、結果は4位でした。
しかし「自らの筋肉量を際限なく増やしたい」という想いが変わることはなく、山本先生は諦めずにトレーニング方法の改善を重ねました。
2分割のトレーニング方法
海外選手を相手に勝つために、常にトレーニグ方法に改善を重ね続けた結果、全身をAとBの2分割に分け、週3回トレーニングする方法に行き着いたそうです。
コンテスト前にも関わらず、1回のトレーニング時間は1時間程度でしたが、この方法によってこれまでで最高の身体作りに成功しました。
- A:胸・背中・腕
- B:肩・脚・腹筋
山本先生の腕は十分な太さもあり、胸や背中のトレーニングでも腕が使われるため、トレーニングでは後半で腕を鍛えるようにしているそうです。
肩は、
・インクラインサイドレイズ
・サイドライイングリアレイズ
・インクラインフロントレイズ
などのストレッチ系を行っているとのことです。
2005年に、山本義徳先生はついにヘビー級で優勝という偉業を成し遂げました。
参考:『私とボディビル Part38』
参考:『私とボディビル Part 40』
参考:『私とボディビル Part 41』
参考:『私とボディビル Part 42』
まとめ
現在、山本先生は現役のボディビル選手を引退しており、スポーツ選手のパーソナルトレーナーやYouTubeの出演・書籍の執筆など、多方面で活躍をしています。
山本先生が全盛期に打ち建てた、260kgのベンチプレス記録や、ボディビルダーとして日本人初のライトヘビー級優勝と、ヘビー級優勝という功績は現在も色褪せていません。
- 高校時代に80kgのベンチプレスを上げ、ベンチプレスに目覚めた
- 「月間ボディビルディング」に載っているトレーニング方法を参考にして、高校卒業前に140kgのベンチプレスを上げられるようになる
- 26歳で260kgのベンチプレスを上げる
- ボディビルダーに転向後、1998年(当時29歳)NPC アイアンマン・アイアンメイデンで日本人初のライトヘビー級優勝
- 2005年(当時36歳)NPC トーナメント・オブ・チャンピオンズのヘビー級で優勝
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
【You Tube】
山本義徳先生の知識と経験に基づいたトレーニング方法や、プロテインやサプリメントの情報を科学的根拠(エビデンス)に基づいて、YouTube動画を随時更新しています。
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