トレーニング

ダンベルローイングの正しい効かせ方を山本義徳先生が解説

ダンベルが一つあればとても効果的な背中のトレーニングができる事をご存知でしたか?ダンベルローイングはダンベルだけでおこなうことができるシンプルな種目でありながら、広背筋・僧帽筋などの背中の筋肉をとても効果的に鍛えることができます。この記事では山本義徳先生が、ダンベルローイングのやり方と効果を解説します。

ダンベルローイングとは

ダンベルローイングとは、背中を鍛えるためのウエイトトレーニングの種目です。ダンベルローイングの他にも、ダンベルロウイング、またはワンハンドローイングと呼ばれる場合もあります。

ベンチや高さのある台に片手をついて身体を支え、ダンベルを持ったもう片方の手を上下に引くように動かして背中の筋肉を鍛えます。

ダンベルローイングの効果

ダンベル持って引く動作をすることで、背中の筋肉全般を鍛えることができます。

多くのスポーツ競技のパフォーマンスを高める上で、背中の筋力はとても重要です。背中の筋肉は引く動作だけではなく、投げる動作や腕を押出す動作でも使われています。

また、背中の筋肉を鍛えて大きくすることで上半身の厚みが増し、シルエットが逆三角形に変化していきます。たくましい印象の身体を作る上で、大きな影響を及ぼすのが背中の筋肉です。

ダンベルローイングのやり方

1.片手と同じ側の片膝をベンチにつく体勢をとる

2.ダンベルを持った手を腰骨に向かって斜め後ろに引く

3.ダンベルを持った手を下ろし、広背筋にストレッチをかける

4.動作を繰り返す

ダンベルローイングの注意点

ダンベルを真っ直ぐ上に引くと、広背筋よりも僧帽筋や上腕二頭筋の方に刺激が入ってしまいます。僧帽筋を狙って鍛えたいのであれば決して間違いではありませんが、広背筋を狙いたいのであれば、ダンベルを斜め後ろに引くようにすると良いでしょう。

ダンベルローイングで鍛えられる筋肉

ダンベルローイングでは、広背筋や僧帽筋をはじめとした背中の筋肉を鍛えることができます。また、背中の筋肉を使うことで肘の曲げ伸ばしもおこなわれるため、上腕二頭筋も補助的に使われます。

起始と停止
筋肉の両端をそれぞれ起始(きし)と停止(ていし)と呼びます。一般的には、筋肉が収縮するときに関節の動きが小さい方が起始、大きい方が停止とされています。ターゲットとなる筋肉がどこに付着しているか意識することで、より効果的なトレーニングを行うことができます。

広背筋(こうはいきん)

広背筋は、腕で引く動作をする際に働く強力な筋肉です。鍛えることで上半身の逆三角形のシルエットを際立たせてくれます。

広背筋の起始

第7腰椎〜第5腰椎
腸骨稜(ちょうこつりょう)後面・仙骨(せんこつ)後面
第10〜12肋骨

広背筋の停止

上腕骨の小結節稜(しょうけっせつりょう)

広背筋の作用

肩関節の内転
肩関節の伸展
肩関節の内旋

僧帽筋(そうぼうきん)

僧帽筋は、背中に全体的に覆いかぶさるように付着している面積の大きな筋肉です。広背筋が背中の広がりを作るのに対して、僧帽筋は背中の厚みを作り出します。

 

僧帽筋

僧帽筋の起始

上部:後頭骨(こうとうこつ)
中部:第7頚椎・第1〜3胸椎
下部:第4〜12胸椎

僧帽筋の停止

上部:鎖骨の外側後面1/3
中部:肩峰内側縁(けんぽうないそくえん)と肩甲棘上縁(けんこうきょくじょうえん)
下部:肩甲棘(けんこうきょく)内端

僧帽筋の作用

上部:肩甲骨の挙上(きょじょう)
中部:肩甲骨の挙上・内転・上方回旋
下部:肩甲骨の下制(かせい)・内転・上方回旋

上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)

ダンベルローイングをはじめとした背中のトレーニングでは、肘関節の屈曲動作により背中の筋肉だけではなく上腕二頭筋も強く関与します。

上腕二頭筋の起始

長頭:肩甲骨の関節上結節(かんせつじょうけっせつ)
短頭:烏口突起(うこうとっき)

上腕二頭筋の停止

橈骨粗面(とうこつそめん)と上腕二頭筋腱膜(じょうわんにとうきんけんまく)

上腕二頭筋の作用

肘関節の屈曲
前腕の回外
肩関節屈曲の補助

ダンベルローイングかベントオーバーローイングか

ダンベルローイングと同じ背中のトレーニングとして、ベントオーバーローイングという種目も人気です。

関連リンク:背中にしっかり効かせるトレーニング!ベントオーバーロウを伝授
ダンベルローイングと同じ背中のトレーニングとして、ベントオーバーローイングと呼ばれる種目も人気です。

ダンベルローイングとベントオーバーロウイングには、それぞれにメリットとデメリットがあるため、必要に応じて使い分けると良いでしょう。

ベントオーバーローイングの問題点

ベントオーバーローイングはバーベルを用いて、屈んだ姿勢(ベントオーバーのポジション)をとり、バーベルを引くことで背中を鍛える種目です。高重量を扱うことができますが、ベントオーバーをした状態を保つだけで、筋力・神経共にかなりの労力を使ってしまい、背中の筋肉に集中できなくなってしまうことが問題点です。また、腰への負担も強くなってしまいます。

そして、バーベルを用いるとうまくストレッチをかけることができないというのもベントオーバーローイングの問題点です。
その点、ダンベルローイングは片手をついておこなうため、腰への負担も少なく、上半身の固定をしやすいのでしっかりとストレッチをかけることができます。

ダンベルローイングの問題点

しかし、ダンベルローイングにもデメリットが存在します。高重量のダンベルを用いると、幅の大きなダンベルが身体にぶつかり邪魔になってしまい、ダンベルを最後まで身体に引きつけるのが難しくなってしまうのです。

ベントオーバーローイングは収縮させやすく、ダンベルローイングはストレッチをさせやすいという特性があります。背中をより収縮させたいという目的がある場合は、ベントオーバーローイングを、ストレッチをさせたい場合はダンベルローイングを選択すると良いでしょう。

まとめ

ダンベルローイングをおこなうことで、広背筋や僧帽筋を始めとした背中の筋肉を鍛えることができます。そして、ダンベルを引く軌道を変えることでターゲットとする筋肉を変えることが可能です。

・まっすぐ真上に引く
→背中の厚さを作る僧帽筋、力こぶを作る上腕二頭筋に効きやすい。

・斜め後ろに引く
→背中の広がりを作る広背筋に効きやすい。

鍛えたい場所に応じてフォームを使い分けることで、より効果的なトレーニングをおこなうことができるでしょう。

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

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