山本スペシャルはその名前の通り、山本義徳先生が90年代前半に考案したオリジナルのトレーニング方法です。一つの種目に対してさまざまな重さの刺激を一度に与えることで、短時間で高い効果を得ることができます。
山本スペシャルとは?
山本スペシャルは、同一の種目で扱う重さを変えながら連続でおこないます。通常のトレーニングは筋肉が疲労して動作が続けられなくなることで、セットが終了します。しかし山本スペシャルであれば重さを変えることでトレーニングをさらに続けることができます。
とてもハードなトレーニングですが、1セットだけでも強い刺激を与えることができるため、時間がない人のトレーニング方法としても有効です。
山本スペシャルはさまざまな種目で応用することが可能ですが、例えばサイドレイズのような1つの関節を動かす単関節運動の種目が効果的です。
参考リンク:サイド・レイズ – Wikipedia
サイドレイズで山本スペシャルを実践!
ここではサイドレイズを例に、山本スペシャルの実践方法を解説します。
準備
ダンベルサイドレイズで山本スペシャルをおこなう場合は、
①高重量ダンベル(1RMの85%ほどが目安)
②中重量ダンベル(高重量ダンベルの60%程度)
③軽重量ダンベル(高重量ダンベルの30%程度)
の重さの異なる3種類のダンベルを準備します。
RMとは?
RMとはrepetition maximumの略語です。トレーニング動作を何回(レップ)反復できるかによる負荷の大きさを示しています。1回が限界の負荷を1RM、10回反復できる負荷を10RMというように表します。
実践
この例では、
高重量ダンベル(10kg)
中重量ダンベル(6kg)
軽重量ダンベル(3kg)
の3種類のダンベルを使用し、サイドレイズをおこなっています。
実際におこなう場合は、ご自身の筋力レベルに応じた負荷のダンベルを選択してください。
1.高重量ダンベルでサイドレイズを6〜8回おこなう
2.軽重量ダンベルでサイドレイズを20回おこなう
3.中重量ダンベルでサイドレイズを6回おこなう
4.軽重量ダンベルでサイドレイズを20回おこなう
この順番でインターバルを挟まずに連続でサイドレイズをおこなうため、とてもハードなトレーニングであることは言うまでもないでしょう。
参考動画:【筋トレ】肩にしっかり鍛えたい人は知らないと損する!?最強に効く山本スペシャルとは?【肩トレ】
山本スペシャルの効果
重い重量でトレーニングをしているときは速筋繊維が使われ、軽い重量でトレーニングをしているときは遅筋繊維が使われています。
山本スペシャルでは、始めは高重量ダンベルを用いて速筋繊維を刺激しますが、次の軽重量ダンベルを使っているときには速筋繊維は休んでいます。その後重さを変えて、回復した速筋繊維をまた刺激し、最後の追い込みとして遅筋繊維を刺激することで、1回のセットで速筋繊維と遅筋繊維を両方を鍛えることができます。
通常トレーニングでは、速筋繊維と遅筋繊維を同時に鍛えることはできません。
しかし山本スペシャルを取り入れれば、たった1回のセットで速筋と遅筋を同時に刺激し、非常に強い刺激を与えることができます。
トレーニングの最後の締めとしておこなったり、時間のない人の時短トレーニングとしても有効です。
速筋と遅筋とは?
筋繊維は、速筋繊維と遅筋繊維の2つに分類されます。
速筋繊維は、瞬発的に大きな力を発揮することができる筋肉で、ウエイトトレーニングや短距離走などの無酸素運動時に使われます。
遅筋繊維は、長時間に渡って緩やかに力を発揮することができる筋肉で、マラソンなどの有酸素運動のときに使われます。
山本スペシャルはどのような種目でやれば良い?
基本的には、山本スペシャルはどの種目でも応用することはできますが、できればサイドレイズのような1つの関節だけが動く単関節種目を選択するとより追い込みやすくなります。
ベンチプレスなどの複数の関節が動く多関節種目でおこなうと、メインで鍛えたい主動筋よりも、補助的に使われる補助筋が疲労して追い込めなくなってしまう場合があります。
またスクワットなどの全身の筋肉を使う種目を選ぶと、筋肉の限界よりも先に心肺機能の限界が先にきてしまい、息が上がって動作を続けられなくなる場合がほとんどです。
ショルダープレスよりもサイドレイズ、ベンチプレスよりもダンベルフライ、スクワットよりもレッグエクステンションまたはレッグカールを選択すると、より効果の高いトレーニングとなることでしょう。
まとめ
山本スペシャルでは、3種類の異なる負荷を用いて連続でトレーニングをおこなうことで、速筋繊維と遅筋繊維を一度に刺激できるトレーニング方法です。
サイドレイズ・ダンベルフライ・レッグエクステンションなどの単関節種目を選択することで、より効果的におこなうことができます。
とてもハードですが、短時間で強い刺激を与えることができます。トレーニングの締めとして取り入れたり、時間がない人のための時短トレーニングとしても有効です。
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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