トレーニング

タバタ式トレーニングとは?考案者の田畑教授と山本先生のコラボレーションが実現!

現在、科学的に効果があると証明されたトレーニング方法として、タバタ式トレーニングが広くプロスポーツの世界で取組まれています。
またよく似たトレーニングとして、HIITと言われるトレーニングプログラムは、スポーツジムのプログラムメニューとして広く用いられています。
タバタ式トレーニングとHIITの明確な違いは何でしょうか?

ここではタバタ式トレーニング発案のきっかけ・有効性、立命館大学の田畑泉教授によるタバタ式トレーニングについての最新の見解などについても合わせて紹介していきます。

タバタ式トレーニングとは?

タバタ式トレーニングとは「20秒間・高強度の運動を行い、10秒間・休憩する」というプログラムを8セット繰り返すことで、身体がバテるまで追込むトレーニング方法です。

田畑教授の研究によると、タバタ式トレーニングは有酸素性エネルギー(身体に酸素を取入れてできるエネルギー)と無酸素性エネルギー(酸素を必要としないエネルギー)を最大まで高められる、ということがわかりました。

HIITとの違いは?

HIITとは、High-Intensity Interval Training(高強度インターバルトレーニング)と言われており、高強度の運動を一定の回復時間を設けながら交互に行うトレーニング方法です。

タバタ式トレーニングとHIITの違いは、運動時間や回復時間に関して明確な基準がないため、運動効果においてもバラつきがあるとされています。

タバタ式トレーニングやHIITでは、アフターバーン効果による脂肪燃焼の効果が期待されますがタバタ式トレーニングにおいては約200kcalほどしかありません。
HIITは運動強度などが一定ではないため、消費カロリーも異なり具体的な数値は計測出来ないと考えられます。
アフターバーン効果とは、運動を終えた後も一定の間カロリーが消費される働きのことです。

タバタ式トレーニングが発案された経緯

もともと、全日本スピードスケートのヘッドコーチを務めていた入澤孝一氏が実施していた2種類のトレーニング方法を、田畑教授が分析することになったのがきっかけです。
オリンピックなど、世界で活躍できるプロスポーツ選手を育成するために発案されました。

  • 最大酸素摂取量108%程度で、30秒間の運動(スピードスケートでおよそ500m走)と、2分間のインターバルのサイクルを3〜4セット行うトレーニング方法
  • 最大酸素摂取量170%程度で、20秒間の運動と、10秒間のインターバルのサイクルで8セット行うトレーニング方法(タバタ式トレーニング)

タバタ式トレーニングのほうが、心肺機能と筋力が向上することがわかった

2種類のトレーニング方法を田畑教授が分析した結果、タバタ式トレーニングのほうが有酸素運動と無酸素運動の効果が高いことが分かりました。

なぜなら、30秒間の運動を行うトレーニング方法では、運動強度は高いのですが、2分間のインターバルを設けたことで代謝が下がってしまうからです。

しかし、タバタ式トレーニングでは、10秒間のインターバルのため、代謝が下がらない状態で次のセットを始められます。
さらに最大酸素摂取量170%の強度の運動というのは、本来50秒くらいしか継続できないと言われています。
その中で、10秒のインターバルを設けることで、最大酸素摂取量170%の強度の運動を140秒間(20秒間の運動×7セット)行うことが可能となります。

結果として、タバタ式トレーニングの方が、有酸素運動と無酸素運動の両方において効果が高いことが分かりました。

体脂肪燃焼としてタバタ式トレーニング・HIITが用いられるが田畑先生の見解は?

運動生理学という研究領域において強度の高い運動は、運動後に脂質が消費されることもありますが、主に糖質が消費されます。
実際に、田畑教授らがタバタ式トレーニング後のエネルギー消費量を測ったところ、運動中及び運動後のエネルギー消費量は120kcalくらいしかないことが判明したとのことです。

そのため、タバタ式トレーニングで痩せるということは考えられないという見解です。

実際に痩せている人に対する考察

田畑教授のHIITに対する考えとしては、HIITによって体力がつき、日常生活においても活発に活動することで少しずつ痩せていくのでは?とのことです。
なぜなら、HIITは最大酸素摂取量を高めて、持久力を向上させる効果が期待できるからです。

タバタトレーニングのメリット・デメリット

タバタ式トレーニングは、有酸素エネルギーと無酸素エネルギーの両方の力を同時に高められる点が注目されています。

なぜなら、実際に数多くのスポーツ競技能力を向上させるためには、有酸素と無酸素状態でエネルギーを高めることが欠かせないからです。

運動の特異性として、本来有酸素の能力を高めるには最大酸素摂取量を高めるためのトレーニングが必要であり、無酸素の能力を高めるには最大酸素借を高めるためのトレーニングが必要となります。
タバタ式トレーニングでは、有酸素と無酸素エネルギーの両方を同時に高めることができます。

特異性とは、そのものに備えられた特殊な性質のことです。
有酸素運動で向上する機能と無酸素運動で向上する機能は異なるということを指します。

酸素借とは、最大酸素摂取量と実際の酸素摂取量の差のことです。
運動をはじめた時点では、酸素摂取量が高まっていないため、無酸素エネルギーも使われています。

メリット:無酸素と有酸素の運動能力を高められる

タバタ式トレーニングのメリットは、有酸素エネルギーと無酸素エネルギーの両方の力を同時に高められる点です。

本来、人間のエネルギーを生み出す経路は「無酸素エネルギー供給系」と「有酸素エネルギー供給系」の2種類あり、運動時には2つの供給系をうまく切替えながら使っています。

無酸素と有酸素の両方が鍛えられるため、タバタ式トレーニングは注目されています。

デメリット:アスリート以外は最後までできないくらいきつい

タバタ式トレーニングのデメリットとしては、非常にキツイ点です。
前述しましたが、世界で活躍できる選手を育成するためにタバタ式トレーニングは考えられました。
HIITは、運動時間や回復時間が厳格に定められていないのですが、タバタ式トレーニングには運動時間20秒・回復時間10秒と決められているため、アスリート以外の人が実施するには非常に難しい内容になっています。

さらにタバタ式トレーニングを実施した後のエネルギー消費量を測った実験結果では、120kcalくらいしか消費しないためタバタ式トレーニングで痩せることはできません。

推奨されているトレーニング種目

タバタ式トレーニングとして推奨されているトレーニングプログラムを紹介します。
ポイントは、トレーニングの強度を指定できるという点です。

自転車(エアロバイク)

自転車(エアロバイク)の特徴として、ペダルにブレーキ(負荷)をかけることで一定の強度でトレーニングをすることができます。

ランニングマシン(トレッドミル)

ランニングマシン(トレッドミル)の特徴として、速度や傾斜を変化させることで一定の強度でトレーニングをすることができます。

バーピーなどの自重有酸素運動

バーピージャンプやスクワットジャンプなど、自分の体重を負荷としたトレーニングは、正確な運動強度を測定することができません。
そのため、有酸素運動による心肺機能の向上と、無酸素運動による筋力向上の効果が期待できるトレーニング種目という扱いになっています。

現在の田畑教授の研究結果によると、バーピージャンプやスクワットジャンプの最大酸素摂取量は、ランニング時の最大酸素摂取量のおよそ9割、自転車の最大酸素摂取量の10割まで上げられることが判明しているとのことです。

バーピージャンプとは、立っている上体から腕立て伏せ・しゃがんで立ち上がる、という動きを繰り返す全身運動の種目のひとつです。

まとめ

タバタ式トレーニングについてお分かりいただけたでしょうか?
タバタ式トレーニングはオリンピックなど世界の舞台で活躍する選手を対象に、心肺機能や筋力を高めることを目的としているトレーニング方法のため、ダイエット効果などについて考えられていません。

そのため、一般的に脂肪燃焼を目的とする人はタバタ式トレーニングではなく、HIITを試してみることをオススメします。
実際に、一緒にバーピージャンプのHIITトレーニングができる動画もありますので、試してみてください。

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

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