トレーニング

筋トレに炭水化物(糖質)が必要な理由とは?ただ食べるのではなく、最適なタイミングで摂れ!

筋トレをする事でせっかく代謝が高まっているのに、お腹が空いたから炭水化物(糖質)を食べる、という生活リズムでは効率的なボディメイクは難しいと思います。

特に身体のエネルギー源として使われる炭水化物は、摂るタイミングを間違えると体脂肪に変わる恐れがあります。

今回は炭水化物をいつどのくらい摂ればいいのかという点について、山本義徳先生が理論的に紹介します。

筋トレにおける炭水化物(糖質)の役割

炭水化物とは糖質のことを意味しており、主に米・パン・パスタ・うどんなどの主食に多く含まれています。
炭水化物は体内の消化酵素によってグルコースという単糖類のひとつまで分解され、身体に吸収されます。

おもに人が活動するためのエネルギー源として糖質が使われるほか、トレーニングなどの激しい運動に備えて筋肉や肝臓にグリコーゲンという物質として蓄えることもできます。

・グルコースとは、炭水化物を最小単位の糖質まで分解した物質名のことです。
グルコースのほか、フルクトース・ガラクトースなどが単糖類に含まれます。

・グリコーゲンとは、肝臓でグルコースが変換された物質名のことです。

炭水化物(糖質)の種類

炭水化物とは糖質であると上述しましたが、糖質は単糖類・単糖類が2つ結合した二糖類・3つ以上結合した多糖類と分類することができます。

単糖類 ブドウ糖・フルクトース・ガラクトース
二糖類 スクロース・ラクトース・マルトース
多糖類 デンプン

炭水化物の摂取タイミング

トレーニング効果を高める炭水化物の摂取タイミングについて、トレーニング前・中・後について紹介します。

ポイントはウエイトトレーニング前に炭水化物を摂ることで、体内に十分な量のエネルギーを蓄えることができる点です。
トレーニング中のエネルギー不足を防ぐために、トレーニング中に炭水化物を摂取することも重要です。

炭水化物の摂取量

炭水化物の摂取量を計算するために、参考になるPFCバランスの目安をご紹介します。
タンパク質は1gあたり4kcal、脂質は9kcal、炭水化物は4kcalのエネルギーに変換されます。

消費カロリーを計算するために基礎代謝と生活活動強度指数が必要ですが、今回は基礎代謝を1500kcal・生活活動強度指数を1.72と定めました。
さらに、バルクアップと減量時では摂るべきカロリーのが異なるため、バルクアップの場合「消費カロリー+500」、減量の場合「消費カロリー−500」と定めました。

・生活活動強度指数とは、トレーニング頻度から日常生活でどの程度の負荷が身体にかかっているかを表す指数です。
今回の1.72という数値は、1週間のうち5日間トレーニングをした場合の数値となります。

・消費カロリーは以下の計算式により求めることができます。
消費カロリー=基礎代謝×生活活動強度指数

・PFCバランスとは、3大栄養素であるタンパク質(Protein)脂質(Fat)炭水化物(Carbohydrate)の頭文字をとった言葉で、摂取カロリーのうちそれぞれどのくらい摂取するかという指標として活用されています。

今回のコラムでは、バルクアップ・ローファットの減量に応じた最適な適切なPFCバランスについて紹介します。

バルクアップに必要な炭水化物の摂取量

バルクアップに最適なPFCバランスは「糖質50%・タンパク質 30%・脂質20%」と言われています。
上述した内容を参考にしてバルクアップ時の消費カロリーを計算します。

(1500(kcal)×1.72)+500(kcal)=3080(kcal)

PFCバランスに基づいてカロリーを算出すると以下の値になります。

  • 糖質:1540kcal
  • タンパク質:924kcal
  • 脂質:616kcal

さらに、タンパク質1gあたり4kcal、脂質1gあたり9kcal、炭水化物1gあたり4kcalとして変換します。

  • 糖質:385g
  • タンパク質:231g
  • 脂質:68g

つまりバルクアップに最適な糖質の1日あたりの摂取量は385gです。

ローファットによる減量に必要な炭水化物の摂取量

ローファットに最適なPFCバランスは「糖質60%・タンパク質30%・脂質10%」と言われています。
上述した内容を参考にしてローファットによる減量の消費カロリーを計算します。

(1500(kcal)×1.72)-500(kcal)=2080(kcal)

PFCバランスに基づいてカロリーを算出すると以下の値になります。

  • 糖質:1248kcal
  • タンパク質:624kcal
  • 脂質:208kcal

さらに、タンパク質1gあたり4kcal、脂質1gあたり9kcal、炭水化物1gあたり4kcalとして変換します。

  • 糖質:312g
  • タンパク質:156g
  • 脂質:23g

つまり減量に最適な糖質の1日あたりの摂取量は、312gです。

バルクアップのカロリー計算方法|筋トレ中のPFCバランスを山本義徳が解説本記事では、増量期と減量期におけるPFCバランス及び摂取カロリーの設定方法までを具体的に解説している。...

トレーニング前の炭水化物について

トレーニング前に炭水化物を摂取することで、筋肉や肝臓にグリコーゲンを貯めることができるのでエネルギー不足を予防してトレーニング効果を高めることができます。

トレーニング直前に炭水化物を摂らない

実はトレーニング直前にあんまり摂るのは好ましくないです

筋力トレーニングの直前に炭水化物を食べると、血糖値が低下するためオススメできません。
食事の直後は血糖値が上昇しますが、その後、血糖値を正常な値に戻すためインスリンが分泌されて血糖値を一気に下げる働きをします。

そのため、血糖値の値は食事前よりも食後の方が低いため、十分なトレーニング効果を得ることができなくなってしまいます。

前日の夕食・当日の朝に炭水化物を摂る

前の夜、当日の朝にしっかりと糖質を摂っておく

トレーニングをする前日の夕食・当日の朝の食事から十分な量の糖質を摂ることで、筋肉と肝臓にグリコーゲンを蓄えることができます。

グリコーゲンはトレーニング中のエネルギー源として消費されるため、トレーニング中のエネルギー不足を予防することができます。
さらに、余裕を持って炭水化物を摂ることで、トレーニング前に血糖値が低下することを防ぐことも可能です。

クエン酸と一緒に摂る

クエン酸を一緒に摂るととても良いです

クエン酸は糖質がエネルギーとして使用されることを妨げる働きがあります。
そもそもエネルギーとして炭水化物と脂質が利用されているため、クエン酸を摂ることで炭水化物がエネルギーとして使われずに筋肉や肝臓にグリコーゲンを貯めることが可能になります。

オレンジジュース・グレープフルーツジュースなどを炭水化物と一緒に1杯程度飲んだり、クエン酸のサプリメントを摂ることを山本先生はオススメしています。

トレーニング前の炭水化物の摂取量

トレーニング中のエネルギー不足を防ぐため、トレーニング前の食事で十分な量の炭水化物を摂ることがオススメです。

トレーニング中の炭水化物について

そしてトレーニングが始まったら糖質のパウダーを

トレーニング中に糖質を摂ることを、山本先生は推奨しています。

前述しましたが、炭水化物を摂った後の血糖値は上昇後、インスリンの働きにより一気に下がるという動きをします。
しかし、トレーニング中は糖質を摂取しても血糖値を上昇させるホルモンであるアドレナリン・グルカゴンが分泌されているため、インスリンによる血糖値の低下の心配はありません。

糖質の摂取方法として、ワークアウトドリンクにパウダー状の糖質を混ぜることで効率的に糖質を摂ることができます。
ワークアウトドリンクの中に一緒に混ぜるサプリメントとしては、必須アミノ酸が取れるEAA9がオススメです。

トレーニング中の炭水化物の摂取量

トレーニング中の糖質の摂取量として、体重1kgあたり0.8g程度摂ることを山本先生は推奨しています。

60kgの人の場合、糖質の摂取量は48gとなります。
そのため48gの糖質をパウダーとしてワークアウトドリンクに溶かして飲むことで、トレーニング中のエネルギー不足を予防することができる計算になります。

トレーニング後の炭水化物について

その後そんなに摂らなくても十分です

トレーニング中に十分な量の糖質を摂れている場合、そこまでトレーニング後に糖質を摂る必要はありません。

減量中の人の摂取量

特に減量をしている人はそれほど多く糖質を摂る必要はありません。
夜にトレーニングをしている場合においても、糖質を過剰に摂りすぎることで筋肉ではなく体脂肪として吸収される恐れがあります。
そのため大量に糖質を摂る必要はありません。

バルクアップ中の人の摂取量

ご飯食べて寝たほうがいいです

そのためハードなウエイトトレーニングをしている人の場合、体内のグリコーゲンが完全になくなっている可能性があるため、お茶碗1.5杯程度(糖質としておよそ90g)の糖質を摂取しておくことでグリコーゲンとして筋肉に蓄えることができ、消費したグリコーゲンを補うことが可能になります。

特にトレーニング後から3時間程度、体内におけるグリコーゲンを合成する働きが高まるという特徴があるため、トレーニング後3時間以内に糖質を摂取することをオススメします。

参考:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl

糖質を摂らないケトジェニックダイエットについて

ケトジェニックダイエットとは糖質ではなく、ケトン体という脂質を材料にしたエネルギー源に切り替えることで、体脂肪を落とすダイエット方法です。

糖質の摂取量を1日50g程度まで抑えることで、脂肪をエネルギー源として利用できます。

まとめ

筋トレにおいて炭水化物を摂ることの重要性について説明しました。
炭水化物は、体内で糖質に分解されてエネルギー源として利用されます。
炭水化物の摂取量が多すぎるとエネルギーではなく体脂肪として蓄えられ、少なすぎるとエネルギー不足になる恐れがあります。
山本先生の基本的な考え方をボディメイクの参考として活用してください。

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
静岡県出身の日本のボディビルダー・トレーニング指導者。プロ野球選手のダルビッシュ有や松坂大輔などをはじめ、多くのクライアントを指導している。サプリメントにも精通しており、サプリメント博士の異名を持つ。
2019年4月に開設したYouTubeチャンネル『山本義徳 筋トレ大学』は登録者数69万人を超える。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

【You Tube】
山本義徳先生の知識と経験に基づいたトレーニング方法や、プロテインやサプリメントの情報を科学的根拠(エビデンス)に基づいて、YouTube動画を随時更新しています。

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