「糖質制限はリバウンドしやすい」という声をよく聞きますが、なぜリバウンドしてしまうのでしょうか。また、リバウンドしないための効果的な対策はあるのでしょうか。
リバウンドがこわいのは、繰り返すとどんどん「痩やせにくく」なってしまう事です。
今回はそんな糖質制限とリバウンドについて、リバウンドする理由や繰返さないための5つ対策などを解説します。
※本記事で解説する糖質制限は山本義徳先生が唱える糖質制限=ケトジェニックのことを指します。食事からの糖質摂取をほぼゼロに抑え、脂肪を多く摂ることによって、ブドウ糖ではなくケトン体をエネルギーとして使うケトーシスを目指すもので、ケトジェニックダイエットの理論と同じです。
糖質制限でリバウンドする理由とは
糖質制限は、糖質を摂取しないか、摂取量を極限まで減らして血糖値の上昇を抑え、肥満を回避する方法です。もともとは糖尿病患者の食事療法の一環でしたが、効果が評価されて糖尿病患者以外にも広まりました。
糖質制限は肥満の抑制や体脂肪の減少に効果的なのは事実ですが、正しい理論をもとに実践しないとリバウンドします。糖質制限でリバウンドする主な理由を、以下でご紹介します。
糖新生よる筋肉の分解
リバウンドするケースで特に多いのは、糖質だけを減らし、脂質をほとんど増やさない(もしくは制限する)というやり方をしている場合です。
低糖質・低脂質の食事では体を動かすエネルギーが極端に不足します。エネルギーが不足すると、身体は筋肉中のアミノ酸を取り出してブドウ糖を作り出します(糖新生)。その結果、筋肉が分解されて、基礎代謝の低いリバウンドしやすい身体になるのです。
また、糖質の制限量が緩い場合も、糖新生による筋肉の分解が起こりやすいです。糖質制限における「低糖質な食事」とは、1日の糖質摂取量50g以下が目安です。このくらい糖質を制限すれば、ブドウ糖ではなく脂肪と脂肪の代謝産物であるケトン体をメインのエネルギー源にするように、身体が切り替わっていきます。
しかし糖質の制限量が緩いと、身体はいつまでもブドウ糖代謝のままであり、ケトン体をメインのエネルギー源にできません。その状態で中途半端に糖質を制限しているので、身体のエネルギーが不足します。それを補うために糖新生が活発になり、筋肉が分解されます。
まとめると、糖質制限(ケトジェニックダイエット)でリバウンドする場合、多くは知識が不十分で食事管理が徹底できていないことが原因です。糖質制限中は、糖質摂取量を厳密にコントロールし、なおかつ脂質を十分に摂取しないと、リバウンドリスクが高まります。
糖耐性の悪化
糖質制限を続けると、インスリンの分泌能力が衰え、ブドウ糖を処理する糖耐性が低下します。筋肉のインスリン感受性(血液中のブドウ糖を筋肉に取り込む働き)が弱くなるので、処理しきれずに余ったブドウ糖が体脂肪として蓄積される事になります。したがって、糖質制限を終了した途端に一気に大量の糖質を摂取すると、リバウンドのリスクが大きくなります。
糖質制限終了後は、糖耐性を速やかに回復させる必要があり、その方法は以降の章で解説します。
糖質制限でリバウンドを繰り返さないための5つの対策
ここまでのべたように、糖質制限後にリバウンドする大きな理由は、「筋肉分解による基礎代謝の低下」と「筋肉のインスリン感受性の低下」の2点です。
つまり、リバウンドを防ぐポイントは、基礎代謝を下げないよう筋肉の分解を防ぐか、糖質制限終了後にできるだけ早く糖耐性を回復させる事です。
この2つを実現するための5つの対策を見ていきましょう。
たんぱく質を積極的に摂取する
筋肉は大部分がたんぱく質で構成されています。糖質制限の際に食事量自体を減らすと、たんぱく質も不足しがちです。たんぱく質不足を避けるためには、ささみ・サバ缶・豆腐・卵などの低糖質高たんぱく食品を積極的に摂取してください。
そもそも、現代人は通常の食事量でもたんぱく質が不足気味といわれています。糖質制限を成功させるためには、プロテインなどの補助食品を積極的に利用しましょう。
炭水化物(糖質)を減らし、脂質を多めに摂取する
糖質は主食からの摂取を控え、野菜・調味料などからの摂取のみに絞ります。さらに脂質を多めに摂取しましょう。目安は、カロリーの60%程度です。残りの40%の内訳は、たんぱく質で30%、糖質で10%が理想です。
このレベルの低糖質・高脂質であれば、ケトン体がエネルギーとして使われるようになるため糖新生が起こりにくく、筋肉の分解を抑えられます。
山本義徳先生が推奨するケトジェニックダイエットについて詳しく知りたい人は、以下の動画をチェックしてください。
糖耐性を回復させる
糖質制限を終了して通常の食事に戻るときは、できるだけ早く糖耐性を回復させる必要があります。そのためには、次の栄養素を積極的に摂取するのがポイントです。
- α-リポ酸
朝食後と夕食後にそれぞれ100~300mg - アルギニン
空腹時やトレーニング中に摂取(1日4~6g) - bクロムのサプリメント
朝食後・夕食後にそれぞれ200~300μg - 亜鉛
1日30mg程度
無理な食事制限は絶対にしない
糖質を制限して脂質も摂らないと、体重は急速に落ちていきます。短期間で大幅に体重が減った場合は、糖質と脂質を大幅に減らした事が要因である場合が多いようです。ただし、この方法では筋肉量も大きく落ちている可能性が高く、結果的に基礎代謝が減ってしまうためリバウンドしやすい状態となっています。
ダイエットは、身体に必要な栄養素を摂り、筋肉量を維持しながらおこなうのが基本です。糖質は減らしても、食事量や脂質の摂取量は減らさないようにしましょう。
また、たんぱく質不足にならないように配慮する事も大切です。糖質制限中、食事だけで十分なたんぱく質を確保する事が難しい場合は、サプリメントが有効な手段となります。
オススメは、山本義徳先生プロデュースの『VALX ホエイプロテイン WPI パーフェクト』です。ホエイから炭水化物・脂肪・乳糖・乳脂・灰分などを取り除き、たんぱく含有率90%以上を実現しています(無水物換算値)。ほとんどの乳糖が取り除かれており、牛乳でお腹を下しがちな人にも安心です。
トレーニングを怠らない
筋肉を落とさないためには、たんぱく質の摂取だけではなく、トレーニングも大切です。1日で全身のトレーニングするのではなく、今日は脚・明日は腕・明後日はお腹など、日ごとに部位を分ける鍛え方がオススメです。初心者でも取り組みやすく飽きにくいでしょう。以下の筋トレプログラムの組み方を解説した記事も、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
糖質制限でリバウンドする場合、多くは知識が十分にない状態で中途半端に糖質制限をしているからです。糖質だけでなく脂質まで制限したり、中途半端に糖質を摂取したりする方法では、リバウンドしやすい身体を作ります。正しい理論をもとに、糖質制限を実行しましょう。
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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