筋トレなどでBCAAの効果を摂取する際、量や飲み方が自己流であったり、毎回量や飲むタイミングがバラバラという人はいないでしょうか。BCAAには、効果を最大限に引き出すための理想的な摂取量や飲み方があります。
この記事では、BCAAを初めて取り入れる人や、今まで量や飲み方をあまり意識していなかった人に向けて、適切な摂取量や飲み方などを解説します。効果的な摂取量や飲み方を学んでBCAAの効果を最大限に引き出しましょう。
BCAAはどのくらいの量を飲めばいい?
まずは、BCAAの摂取量について詳しく確認していきましょう。
血中濃度が確実に高まる分量を飲む!
トレーニングでBCAAの効果を発揮させるには、血中のアミノ酸濃度を確実に高められる2,000mgほどのBCAAを飲む事が大切です。
運動で多くのエネルギーが使われると、エネルギー源となるBCAAの要求量が高まります。エネルギーを生み出すために筋肉内にあるBCAAが使われてしまい、筋肉の分解が進みやすくなってしまうためです。
BCAAは2,000mgほど摂取した場合、BCAAの血中濃度が摂取から30分後にピークを迎える事が証明されています。これが1,000mg以下の場合、血中濃度の変化は認められていません。
したがって、トレーニングによって筋肉を効率良く増やしていくためには、BCAAを2,000mg以上摂取し、その血中濃度を高く維持する必要があるのです。
BCAAの摂取量には黄金比がある!
筋トレなどの効果を高めるには、BCAAを構成する必須アミノ酸の割合についてもこだわりたいところです。
BCAAを構成する必須アミノ酸のバリン・ロイシン・イソロイシンの黄金比は「1:2:1」となります。
これは、最も理想的な栄養バランスとされる母乳の比率と同じです。
BCAAは、魚・肉・卵・大豆製品といった食べ物からも摂取可能です。
ただし、BCAAの理想的な摂取量や必須アミノ酸の黄金比を考えると、サプリメントのほうがバランス良く、かつ効率良く摂りやすいでしょう。
サプリメントによって比率には違いがあるため、なるべくバランスが良いサプリメントを選ぶのがオススメです。
また、サプリメントは、余計な摂取カロリーや脂肪分などを抑えられる利点もあります。
BCAAは複数回に分けて飲む!
BCAAを取入れるときは、トレーニングする上で大切なエネルギーとなる栄養分を枯渇させない飲み方をしましょう。
そのためには、一度に多くのBCAAを飲むのではなく、1回5g程度を複数回に分けて飲むのが理想です。1日の合計はおよそ15gを目安にするので、3回に分けるのがオススメです。
BCAAはどうやって飲めばいい?
トレーニングの効果を高めるために、理想的なBCAAの飲み方も実践していきましょう。
BCAAは水分補給のように飲む!
BCAAはプロテインと異なり、水分補給のイメージで飲むものです。
先述のとおり、トレーニングでは血中のBCAA濃度を高く維持する事でより効果が期待できます。また、筋肉量を増やすには、水分を十分に摂取する事も大切とされています。
ジムなどで筋トレをするときには、BCAAを溶かしたドリンクを作り、運動中の水分補給として飲むのがオススメです。
過剰摂取はNG
筋肉を早く大きくさせたいからといって、BCAAを飲みすぎるのは良くありません。
BCAAは、筋肉で代謝されます。しかし、過剰摂取を続けた場合、筋肉で消費できなかったBCAAは肝臓で代謝され、腎臓から排出されるようになり、内臓への負担が大きくなってしまいます。
また、BCAAを飲みすぎると、下痢もしやすくなります。
健康的に筋肉を増やしていくためにも、必ず適量を守って摂取するようにしましょう。
飲むタイミングに注意する
筋肥大の効果を期待するなら、BCAAを飲むタイミングも工夫してみましょう。
トレーニングの30分前
まず、BCAAの血中濃度を上昇させるには、トレーニングの約30分前に飲む事が非常に大切です。このタイミングでBCAAを摂取しておくと、大事な働きである筋たんぱく質の合成シグナルを出しやすくなります。
運動中の身体は、筋肉中のグリコーゲン(糖質)や脂肪をエネルギーとして使っています。そして、それだけで足りない場合は、筋肉を分解して取り出したアミノ酸からも血液中や筋肉内のBCAAからもエネルギーを生み出してしまいます。
筋肉の分解を起こさないためには、運動30分前にBCAAを摂取し、血中濃度を上げておくようにしましょう。
運動中
長時間の運動をおこなうときには、身体を動かしている最中にエネルギー不足を起こさないためにも、60分に1回ぐらいのペースでBCAA補給をするのがオススメです。
ちなみにBCAAは、脳内に到達するトリプトファン量を減らす働きがあり、セロトニンの生成を抑えられます。結果として、運動中における中枢性疲労の軽減をサポートできるといわれています。
したがって、長時間のランニングやゴルフなどをするときにBCAAを摂取するのも、疲労による集中力低下などを防ぐうえでは非常にオススメとなります。
運動後
トレーニングを終えてからの約30分間は、運動で壊れた筋組織の強化が期待できる「回復のゴールデンタイム」です。筋肉の修復材料となるBCAAを摂取する事が重要になります。
シャワーを浴びた後ではなく、トレーニングの直後にBCAAドリンクを飲んで、水分と栄養の両方を補給しましょう。
作った分は1日で飲み切る
栄養を豊富に含むBCAAドリンクは、長時間の放置によって雑菌や微生物が発生しやすくなっています。内閣府の食品安全委員会が公開している細菌繁殖の条件は「温度・水分・栄養」です。
水分・栄養を満たしているのはいうまでもなく、トレーニング中はドリンクの保冷ができない事が多いでしょう。
BCAAドリンクは基本的に「飲む直前に飲む量だけ作り、すぐに飲み切ってしまう事」が大切です。
まとめ
BCAAは血中のアミノ酸濃度を高めるために、トレーニングの約30分前に2,000mg以上を摂取するのがオススメです。また、高い血中濃度を維持するうえでは、1回5g程度を数回に分けて、1日15g程度を目安に飲むのが理想となります。過剰摂取による内臓への負担を避けるためにも、BCAAを飲む量と飲み形に注意しましょう。
BCAAによる筋肉量増加の効果を高めるには、摂取量のほかに理想的なタイミングの飲み方も意識してみてください。
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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