トレーニング

筋トレと有酸素運動の正しい組合わせ方を山本義徳先生が解説

普段おこなっている筋トレに有酸素運動を組合せる場合には、有酸素運動が筋トレの効果を打消さないように注意する必要があります。

この記事では山本義徳先生が推奨する、有酸素運動をやりすぎない方が良い理由と、正しい筋トレとの組合わせ方を説明します。

筋トレとは?

筋肉に対して何らかの方法で負荷をかけて鍛えるためにおこなう運動全般のことを筋力トレーニングといい、略して筋トレと一般的には呼ばれています。例えば、腕立て伏せや上体起こしなど、自分の体重を負荷として利用して筋肉を鍛える運動が筋トレに分類されます。

また、バーベルやダンベルなどを持上げることで筋肉に負荷をかける、ベンチプレスやサイドレイズなどの運動も、代表的な筋トレであるといえます。

筋トレは、主に競技力向上や筋肉量を増やす目的のためにおこなわれます。

有酸素運動とは?

有酸素運動とは、わかりやすく言うとエネルギー源を生み出すために酸素が使われる運動のことを指します。強度は低〜中程度と比較的低く、その代わりに長時間継続することができるのが特徴です。水泳・ジョギング・ダンス・エアロビクスなどが代表的な有酸素運動の一例です。

有酸素運動のメリット

筋トレ多くが主に糖質をエネルギー源として筋肉を動かすのに対して、有酸素運動をおこなうときの主なエネルギー源は脂肪です。そのため有酸素運動をおこなうことで体脂肪の燃焼を加速させる効果が期待できます。

また、有酸素運動は心機能や肺機能の適切な負荷をかけることができるため、心肺機能の向上には効果的です。ダイエットが主な目的である場合や、心肺機能を高めたい場合に有酸素運動は効果的です。

有酸素運動のデメリット

その反面、有酸素運動には筋トレとの相性があまり良くないというデメリットがあります。筋トレは短時間のうちに、高い強度の刺激を与えることでより高い効果を期待することができます。しかし有酸素運動は運動を継続する時間が長くなる傾向があるため、筋トレの効果を打消してしまう可能性があります。

無酸素運動との違い

そして、有酸素運動の対義語に当たるのが無酸素運動です。無酸素運動は、筋肉に貯まったグリコーゲンをエネルギー源とするため酸素が使われることはありません。
強いパワーを発揮することができますが、長時間継続することができないのが無酸素運動の特徴です。

筋トレは無酸素運動か?

筋トレは無酸素運動であると一般的には言われます。これは決して間違いではありませんが、すべての筋トレが無酸素運動にあたるわけではないというのも事実です。なぜなら、筋トレという単語の意味はとても広く、筋肉を鍛えるために負荷をかける運動はすべて筋トレであると言うことができるためです。

数回で限界になるような高重量のバーベルをあげるような筋トレは、長い時間継続することができません。このような筋トレは無酸素運動に分類されます。

しかし、複数の種目を連続でおこなうサーキットトレーニングと呼ばれる筋トレも存在します。このような運動は、筋トレであっても有酸素運動に分類されます。

筋肉を成長させるには無酸素運動

すべての筋トレが無酸素運動に該当するわけではありません。しかし、筋肉を発達させたい人がおこなう筋トレは、無酸素運動でなければいけません。

筋肉は、筋トレによって身体に与えられるストレスに適応しようとして発達していきます。筋肉が大きくなるためのスイッチを入れるためには、身体がストレスに感じるほどの強い刺激を筋肉に対して与えなければいけません。

そのためには、無酸素運動にあたるような強度の高い筋トレをおこなう必要があります。

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VALX ホエイプロテインは、メジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家など多くのアスリートを指導していたこともある”山本義徳”先生が完全プロデュースしたホエイプロテインです。

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筋トレと有酸素運動を組合わせるべき?

それでは、筋肉を発達させるための筋トレと有酸素運動は組合わせるべきなのでしょうか?もちろん、有酸素運動自体にメリットはありますが、やりすぎてしまうと筋トレの効果を打消してしまう可能性があるため注意が必要です。

筋トレと有酸素運動の相性が良くない理由

特に筋肥大を目的として筋トレをおこなう人が、有酸素運動を取り入れる場合には注意が必要です。有酸素運動をやりすぎることによって、せっかくの筋トレの効果を低減させてしまう可能性があります。その理由は次の通りです。

UCPが減ってしまう

UCPとはUncoupling Protein(アンカップリングプロテイン)の略で、身体の体温を担うたんぱく質です。ミトコンドリアがエネルギーを生み出すときには、すべての材料がエネルギーになるわけではなく、ある程度の余裕が生じています。その材料の余剰分がUCPの働きによりエネルギーではなく熱に変わり、体温を発生させています。

有酸素運動を長くおこないすぎると、そのUCPの活性が減ってしまうことが分かっています。長時間の運動を続けることで大きくなるエネルギーの消費に対応するために、本来であれば体温の発生に充てていた材料でエネルギーを生み出そうとするのです。

こうすることで少ない材料でより多くのエネルギーを生み出すことができますが、これでは運動中はもちろん、運動をしていない時間も活動代謝が下がり、消費カロリーが減ってしまうことになります。

遅筋繊維が増えやすくなる

筋トレのような強度の高い運動には、速筋繊維が使われています。それに対して有酸素運動のような強度の低い運動に使われるのは主に遅筋繊維です。そのため、有酸素運動を長く続けると、速筋繊維の遅筋化が促されてしまいます。筋トレによって発達しやすいのは速筋繊維のため、遅筋繊維が増えてしまうことは筋トレとあまり相性が良くないといえます。

コルチゾルなどのホルモンが増えてしまう

コルチゾルは長時間の運動などによる何かしらのストレスがかかった時に分泌されるホルモンです。コルチゾルには血糖値を保つ働きがあり、長時間の運動によって下がろうとする血糖値を保つことでエネルギー不足を防いでくれますが、同時に筋肉も分解してしまうという側面もあります。

コルチゾル自体は身体の機能を保つために必要なホルモンではありますが、分泌されすぎてしまうと筋トレとの相性は良くないということが言えます。

筋トレに有酸素運動を取入れる方法

それでも筋トレと有酸素を組合わせるのであれば、やりすぎにならないように上手に付合う必要があります。

長時間おこないすぎない

筋トレと有酸素運動を組み合わせた時のデメリットは、運動時間が長くなればなるほど大きくなります。筋トレの効果を最大限に引き出すためにも、有酸素運動は短めの時間に留めることをオススメします。

ひと昔前までは、有酸素運動は20分以上やらないと脂肪がエネルギーにはならならないと良く言われました。しかし、最近の研究では有酸素運動は短い時間でも効果が現れることが分かっています。(注1)例えば通勤のために駅まで歩く人であれば、たとえ10分程度の短い時間でも有酸素運動をしていることになります。

そこからさらに有酸素運動をするとやりすぎになってしまう可能性もあるため、日常生活での運動量も考慮した短めの時間でおこなうようにしましょう。

*1 …  https://www.nittai.ac.jp/souken/katsudou/pdf/vol1_1-7.pdf

有酸素運動は筋トレをしない日にする

ある程度まとまった時間の有酸素運動を取入れる場合は、トータルの運動時間が長くならないようにするために筋トレをしない日におこなうのがベストです。頻度は週に2〜3日に、1回の運動時間は30分程度にすれば、筋トレの効果を邪魔してしまうことは無いでしょう。

アクティブレストとして有酸素運動を取入れる

アクティブレストとは「積極的休養」とも呼ばれる疲労回復方法です。軽い運動で身体を動かし、血流を促すことで老廃物や発痛物質を取除きます。アクティブレストを狙った有酸素運動であれば心身のリラックスに繋がるというメリットがあります。

アクティブレストとしてオススメなのは、軽いウォーキングやスイミングです。身体の回復のためには決してハードな運動はおこなわないようにしましょう。また、気分を切替えるという意味で、普段やらない運動を取入れてみるのも良いでしょう。

まとめ

有酸素運動とはウォーキングやスイミングなど長時間継続できる強度の低い運動のことです。脂肪燃焼や心肺機能の向上などの効果があります。

しかし、有酸素運動を長時間やりすぎてしまうと、
・UCPの低下
・遅筋繊維の増加
・コルチゾルの増加

などの弊害があるため、筋トレと組合わせる場合は注意が必要です。筋トレを組み合わせる場合は必要以上の長時間はおこなわないように注意して上手に取入れましょう。

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

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