EAA

BCAAは筋肉を増やす効果なし?根拠となる論文について

トレーニングをするうえで、BCAAを取入れている人が増えていますが、一方で「BCAAは筋肉を増やす効果なし」といった論文も発表されています。日常的にBCAAを飲むのであれば、効果やデメリットについて詳しく把握しておきたい人も多いのではないでしょうか。

この記事では、BCAAは本当に筋肉を増やす効果がないのか、またBCAAのデメリットを避け、効率的に筋肉量の増加を目指すにはどうすれば良いかを解説します。バルクアップのためにトレーニングに励んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

BCAA単体では筋肉が分解されるだけ

筋肉を作るにはアミノ酸が必要不可欠です。アミノ酸には、体内で合成できる非必須アミノ酸と、体内で合成できない必須アミノ酸があり、必須アミノ酸は食事やサプリメントから摂取する必要があります。

BCAAは、必須アミノ酸のうち、バリン・ロイシン・イソロイシンの3つを総称したもので、アミノ酸から筋肉を構成するたんぱく質を合成するシグナルとしての役割があります。

ただし、BCAAがシグナルを発したとしても、筋肉を構成するたんぱく質の材料である必須アミノ酸すべてがそろっていなければ筋たんぱく質の合成はできません。イェール大学医学部の研究論文でも「BCAAの摂取だけでは、分解を超えた量の筋肉を合成する状態は作り出せないと考えるのが妥当」とされています。

出典:Isolated branched-chain amino acid intake and muscle protein synthesis in humans: a biochemical review

筋肉量の増加を目指すには、BCAA単体ではなく、筋肉を構成するたんぱく質の材料となるプロテインやEAAを併用する事で必須アミノ酸をまんべんなく摂取する必要があるのです。

BCAA摂取によるデメリットとは?

BCAAは筋肉を構成するたんぱく質を合成するためのシグナルになりますが、筋肉トレーニングをする際、BCAA単体での摂取には注意が必要です。

BCAAを摂取すると、筋たんぱく質合成のシグナルが強まります。そのとき筋肉を構成するたんぱく質の材料になる必須アミノ酸が不足していると、別の部位の筋肉を分解する事で必須アミノ酸を補給しようとします。

例えば、BCAA単体を摂取して脚の筋肉を鍛えるトレーニングをおこなっている場合、筋肉を構成するたんぱく質の材料になる必須アミノ酸が不足していると、腕などのほかの筋肉が分解される可能性があるのです。

BCAA単体による副作用などを防ぐには?

ほかの筋肉が分解されるのを防ぐには、BCAA単体で摂取するのを避け、必須アミノ酸すべてを摂取するように心がけるのがポイントです。

BCAA+ホエイプロテインの組合せ

筋肉を構成するたんぱく質を合成する際、材料不足によるほかの筋肉の分解を防ぐには、BCAAとホエイプロテインの組合せがオススメです。

BCAAが3種類の必須アミノ酸であるのに対し、プロテインは必須アミノ酸を含む20種類のアミノ酸すべてが含まれています。そのため、BCAAと組合せて摂取すれば、材料不足でほかの部位の筋肉が分解されるのを防ぐことができます。

オススメのホエイプロテインは『VALX ホエイプロテイン WPI パーフェクト』です。

筋トレ中はEAA単体をドリンクとして摂取

EAAには9種類の必須アミノ酸が含まれています。そのなかにはBCAAであるバリン・ロイシン・イソロイシンも含まれるため、EAA単体の摂取でも筋肉を構成するたんぱく質を合成するためのシグナルが出せるうえに、筋肉を構成するたんぱく質の材料も確保できます。

EAAは吸収が速く、血中のアミノ酸濃度を素早く高めてくれるため、トレーニングの効果をより高めたい場合は、トレーニング中の水分補給やアミノ酸補給にEAAを利用するのがベストな選択です。

以下の動画では、EAA・BCAA・プロテインの違いをより詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

EAAが少量なら食事やホエイプロテインを

EAAには9種類の必須アミノ酸がすべて含まれていますが、少量を摂取している場合は食事やホエイプロテインで栄養素を補う必要があるでしょう。

EAAの摂取量の目安は15gです。15gを下回り、トレーニングをしっかりおこなう場合は、食事やホエイプロテインでたんぱく質(アミノ酸)を確保しておく必要があります。

オススメのEAAサプリメントは『VALX EAA9(イーエーエーナイン)』です。

なお、BCAAやEAAを一度に大量に摂取すると、浸透圧性の下痢を引起こす可能性があります。BCAAやEAAは、胃に留まらずダイレクトに腸へ運ばれるため、急激に小腸内でのアミノ酸量が増え、浸透圧を調整しようと水分が多く取込まれます。その結果、腸内の水分が増え、下痢が起こりやすくなるのです。

BCAAやEAAを摂取するときは、少量を何回かに分けて摂取するようにしましょう。

まとめ

BCAAは筋肉を構成するたんぱく質を合成するためのシグナルとしての働きがありますが、単体で摂取したときに体内に必須アミノ酸が足りていなければ、ほかの部位の筋肉を分解してしまう可能性があります。

筋肉の分解を防ぎながら筋肉量の増加を目指す場合は、BCAAとプロテインをあわせて摂取するか、EAAをトレーニング中のドリンクとして利用するのがオススメです。

また、BCAAやEAAは一度に大量に摂取せず少量を何回かに分けるなど、ご自身の体調を見ながら摂取量を調整するようにしましょう。

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

【You Tube】
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