アミノ酸

アルギニンとシトルリンどっちがいい?2つの違いをわかりやすく解説!

元気の源をつかさどる2大アミノ酸のアルギニン・シトルリンは、筋肥大を目指す人にとって欠かせない成分です。

しかし、アルギニン・シトルリンのどちらが良いのか、知らない人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、アルギニン・シトルリンの違いを詳しく解説します。両者の成分・代謝経路・吸収力の違いを深く知り、今後の効果的なトレーニングにつなげていきましょう。

アルギニンとシトルリンの基礎知識

アルギニン・シトルリンは市販のサプリメント・エナジードリンクなどに配合されているものが多い成分です。ここでは、2つの成分について基本を解説します。

アルギニンとは

アルギニンは、体内で合成できるアミノ酸の一種で、非必須アミノ酸に分類されます。
ただし、体内で合成できる量は多くありません。特に子どもだと体内で合成できる分では不足しがちとなるため「準必須アミノ酸」と呼ばれる事もあります。
アルギニンは、肉・魚・大豆・ナッツ類などのたんぱく質を多く含む食材に含まれています。

また、アルギニンは、筋肉が収縮する際に必要なエネルギーとなるアデノシン三リン酸(ATP)の再生に使われるクレアチンの合成に必要な成分でもあります。

アルギニンをもっと詳しく知りたい人は以下の動画をご覧ください。

アルギニンの摂取で期待できる効果は、成長ホルモンの分泌促進・筋肥大・免疫機能の向上・血流改善・肉体強化などです。アクティブに生活したい人やウイルス・細菌に負けない身体づくりをしたい人にも、アルギニンは最適です。

以下の記事では、アルギニンに関する効果を山本義徳先生が詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

アルギニンの効果を知りたい人は必読!トレーニング時の摂取量と摂取タイミングを紹介!https://www.youtube.com/watch?v=-OBsz-US9J0 非必須アミノ酸のアルギニンは、必須アミノ酸...

シトルリンとは

シトルリンは、スイカの果汁から発見されたアミノ酸です。通常、アミノ酸は体内でたんぱく質を構成しますが、シトルリンは体内のさまざまなところに存在し、たんぱく質の構成要素ではない遊離アミノ酸(たんぱく質を構成せず、血液や細胞に蓄積されているアミノ酸)に分類されています。特にスイカ・冬瓜(トウガン)・メロン・キュウリなどのウリ科の食品に多く含まれています。

シトルリンの効果には、筋肥大や集中力・記憶力の向上などがあります。身体のコンディションを整える効果も期待できます。

参考:クレアチンの効果や正しい飲み方とは | 江崎グリコ株式会社

アルギニンとシトルリンの違いとは

アルギニン・シトルリンは似たような効果が期待できる成分ですが、それぞれ違いがあります。ここではアルギニン・シトルリンの違いを確認しましょう。

代謝経路の違い

アルギニン・シトルリンを口から摂取した場合、体内で物質交代(代謝)がおこなわれますが、代謝経路が異なるのが両者の大きな違いです。

アルギニンの場合、腸管で4割が吸収され、残りは肝臓で代謝されます。一方のシトルリンは腸管に吸収されたあと、腎臓へ運ばれます。腎臓で代謝された際にアルギニンに変換され、全身に供給されます。

吸収率の違い

もう一つの違いは、体内での吸収率です。
アルギニンは体内での吸収率が悪いデメリットがあります。アルギニンを摂取しても6割以上は体内に吸収されずに損なわれます。
シトルリンの場合は、摂取したほぼすべてが体内に吸収され、代謝の対象となります。

アルギニンよりもシトルリンを摂取するほうがいいって本当?

アルギニン・シトルリンは似たような効果を持ち、アルギニンには吸収率が悪いというデメリットがあります。この事実だけを考えれば、シトルリンを摂取すれば良いと考えがちですが、そんな事はありません。どういうことか詳しく見ていきましょう。

どちらかではなく、両方摂取がベスト

アルギニン・シトルリンはどちらも一酸化窒素(NO)を作り出す成分ですが、それぞれが一方の成分を生成します。
アルギニンは一酸化窒素合成酵素に反応する事で、一酸化窒素(NO)とシトルリンを作り出します。シトルリンも代謝の過程を経てアルギニンを作り出します。

両者はお互いの働きをサポートし合う、まさに相互関係にあると言えるため、片方ではなく両方摂取すると効果的です。

なお、それぞれを別々のタイミングで摂取した場合、血中のアルギニン濃度のピークはおよそ2時間後となり、ピーク時でもアルギニン濃度は通常時の3.5倍程度の上昇にとどまるとされています。ところが、アルギニンとシトルリンを同時摂取すると、血中のアルギニン濃度のピークは30分で到達し、さらにアルギニン濃度も4.5倍まで上昇すると言われています。

別々に摂るよりも同時に摂ったほうが、アルギニン濃度がピークに到達するのが4倍速く、30分経過時点で比較すれば血中のアルギニン濃度も約2倍になります。アルギニンとシトルリンをトレーニングに活用するなら、トレーニング30分前に2つのアミノ酸を同時に一緒に摂取する事で、効果的なトレーニングができるでしょう。

アルギニンよりもシトルリンを意識して摂取しよう

アルギニン・シトルリンは両方摂取するほうがベストですが、どちらかにするのであればシトルリンを意識して摂取するのがオススメです。シトルリンを意識して摂取すると、アルギニンを意識して摂取するよりも血中アルギニン濃度が高くなります。

アンモニアの解毒の過程(尿素回路)で、シトルリンが段階的にアルギニンに変換していくため、アルギニンレベルが高まると考えられています。

参考:シトルリンの効果について。筋トレに役立つって本当? | 江崎グリコ株式会社

まとめ

元気の源を作り出すアミノ酸ともいわれる、アルギニンとシトルリンの最大の違いは、代謝経路と吸収率です。

アルギニンとシトルリンは互いをサポートする関係にあり、2つの成分を同時に摂取すると、血中のアルギニン濃度が高まり、効果的なパフォーマンス向上が期待できます。

ただし、アルギニンよりシトルリンを意識して摂取したほうが、アルギニンを意識して摂取するよりも血中濃度が高くなりやすく、より効果的に体内のアルギニンを増やす事が期待できることを覚えておくと良いでしょう。

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

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