デッドリフトとは、スクワット・ベンチプレスと並んでウエイトトレーニングのBIG3にも数えられている、筋トレの重要種目です。高重量を扱うことができるため、背中のトレーニングにおいて欠かせない種目としても人気があります。
デッドリフトのやり方
デッドリフトの動きは、床(またはセーフティバー)の上に置いてあるバーベルを持ってただ持ち上げるという、一見シンプルなものです。しかしその動きには実に多くの筋肉が関わっているため、高重量で行うことで、トレーニングの強度も非常に高くなります。
ハーフデッドリフト
1. バーベルの高さが膝の位置に来るように、セーフティバーを設定する
2.ベントオーバーする(かがむ)姿勢をとり、腕を真っ直ぐ下ろしてバーベルを握る
3.ゆっくりとバーベルを持ち上げて胸を張る
4.腰を後ろに突き出しながらバーベルを下ろし、バーベルがセーフティバーに軽く触れたら再び上げる
スモウデッドリフト
力士が四股を踏むような見た目から、スモウデッドリフトと呼ばれるデッドリフトのバリエーション種目があります。脚のスタンスを大きく開くことで、内転筋群に強い刺激が入ります。
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デッドリフトの回数・頻度
デッドリフトをあまりに高回数でおこなってしまうと、心肺機能の限界により息が上がってしまい、それ以上トレーニングを続けられなくなってしまいます。そのため6〜8回反復するのが限界になるような高重量でトレーニングをすると良いでしょう。
回数
6〜8回
セット数
2セット
頻度
週1回
デッドリフトは背面の筋肉を強化する
デッドリフトは一部の筋肉を狙ってピンポイントに刺激する種目ではなく、スクワットやベンチプレスと同様に一度に多くの筋肉を使うことができる種目です。そのため、他の種目ではとても扱えないような高重量でトレーニングを行うことができます。
デッドリフトは、身体を後ろから見たときに付着している筋肉をほぼ全て使っていると言っても良いでしょう。デッドリフトで鍛えられる筋肉をそれぞれ解説していきます。
起始と停止
筋肉の両端をそれぞれ起始(きし)と停止(ていし)と呼びます。一般的には、筋肉が収縮するときに関節の動きが小さい方が起始、大きい方が停止とされています。ターゲットとなる筋肉がどこに付着しているか知ることで、より効果的なトレーニングを行うことができます。
背中の筋肉
ラットプルダウンやロウイングのような一般的な背中の種目と違い、デッドリフトでは背中の筋肉の筋繊維の伸び縮みは起こりません。その代わりに背中に大きな負荷をかけることができ、さらに上腕二頭筋の疲労が起こりにくいという特徴があります。
広背筋
広背筋は肩関節を内旋・内転させる強力な筋肉です。デッドリフトにおいては、上腕骨を体幹の方に引き付ける役割をします。
起始
第7腰椎〜第5腰椎
腸骨稜(ちょうこつりょう)後面・仙骨(せんこつ)後面
第10〜12肋骨
停止
上腕骨の小結節稜(しょうけっせつりょう)
作用
肩関節の内転
肩関節の伸展
肩関節の内旋
僧帽筋
デッドリフトでは手でバーベルをもち、ベントオーバーの姿勢をとるので、肩甲骨は外転方向に引っ張られることになります。それに対抗して僧帽筋が働くことで、肩甲骨が固定されます。
起始
上部:後頭骨(こうとうこつ)
中部:第7頚椎・第1〜3胸椎
下部:第4〜12胸椎
停止
上部:鎖骨の外側後面1/3
中部:肩峰内側縁(けんぽうないそくえん)と肩甲棘上縁(けんこうきょくじょうえん)
下部:肩甲棘(けんこうきょく)内端
作用
上部:肩甲骨の挙上
中部:肩甲骨の挙上・内転・上方回旋
下部:肩甲骨の下制・内転・上方回旋
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
脊柱起立筋は、仙骨から脊柱、後頭骨にかけて付着するさまざまな筋肉の総称です。
デッドリフトでは、バーベルの負荷に対して脊柱起立筋が働くことで、腰椎を伸展させ、かつ安定させています。
作用
脊柱の伸展と側屈
脚の筋肉
バーベルを床に置いた状態から動作を開始する、いわゆる「床引きデッド」と呼ばれるデッドリフトでは、背中だけではなく大臀筋とハムストリングスも強い筋力を発揮します。開始位置のバーベルが低い位置にあることで、腰椎を大きく屈曲させた状態から筋力を発揮するため、股関節を伸展させる作用のある筋肉への負荷が大きくなるからです。
大臀筋(だいでんきん)
特に床にバーベルをおいた状態からのデッドリフトを行うことで大臀筋は強く働きます。
起始
腸骨稜(ちょうこつりょう)の後方1/4
仙骨と尾骨
停止
大転子(だいてんし)外側面
大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)の腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)
作用
股関節の伸展
股関節の外旋
股関節の内転の補助
ハムストリングス
ハムストリングスとは、半腱様筋(はんけんようきん)・半膜様筋(はんまくようきん)・大腿二頭筋の3つの筋肉の総称です。デッドリフトでは、坐骨を引っ張り骨盤を立たせるという役割を持ちます。
起始
坐骨結節(ざこつけっせつ)
停止
脛骨粗面(けいこつそめん)の内側
脛骨外側顆(けいこつがいそくか)と腓骨頭(ひこつとう)
作用
股関節の伸展
膝関節の屈曲
デッドリフトは床から引くべき?
デッドリフトをおこなうにあたっては、セーフティバーを使うハーフデッドリフトよりも床引きデットリフトを行うべきだという意見もよく耳にします。しかしそれは本当でしょうか?
床から引く場合は、バーベルが床からプレートの半径分だけ高い位置からスタートすることになります。しかしこのバーベルの高さは、身体の解剖学的な構造とはなんら関係がありません。
そのため、床から引くことが、その人にとって必ずしもベストであるとは限らないと山本先生は考えています。
デッドリフトは正しいフォームでおこなわないと、腰を痛めてしまうと言われています。腰を痛める主な原因は、デッドリフトの動作最中に骨盤が後傾することです。そして、骨盤が後傾しない動作範囲は人によって異なります。
骨盤を後傾させずに安全なデッドリフトを行うためには、パワーラックのセーフティバーを上げて行う、ハーフデッドリフトを行うと良いでしょう。
まとめ
デッドリフトは、
・背中の筋肉全体に刺激を与えることができるトレーニング種目
・床から引くことにこだわらずに、目的や安全面を考えてハーフデットリフトを取り入れるのも良い
記事監修者 情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
静岡県出身の日本のボディビルダー、トレーニング指導者。
メジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家など幅広いクライアントを指導している。
2019年4月から投稿を始めたYouTubeチャンネル「VALX 山本義徳 筋トレ大学」を開設。
一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)(下)
【SNS】
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Instagram▶︎https://www.instagram.com/valx_official/
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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