アスリートにとって重要な成分であるイソロイシン。スポーツサプリメントなどにも含まれていることが多い成分ですが、過剰に摂取してしまうと何か身体に悪影響があるのか気になっている人も多いと思います。
この記事ではイソロイシンに副作用はあるのか・摂取しすぎた場合、どのような問題が起こりえるのかを解説します。運動や筋肉強化のサポートとしてサプリメントを使いたいものの、副作用も気になる人は参考にしてください。
イソロイシンの基礎知識
イソロイシンは、人間の生命維持や成長に必要となるアミノ酸のうちの一種です。アミノ酸はたんぱく質を構成する成分で、筋肉はもちろんのこと、骨・髪の毛・内臓・皮膚・脳・血管など、さまざまな身体の組織を作るのに使われています。
イソロイシンはアミノ酸のなかでも9種類ある必須アミノ酸のうちの一種です。必須アミノ酸は人間の体内で新たに作り出すことができない成分であるため、食品やサプリメントから十分な量を摂取しなければなりません。
9種類の必須アミノ酸のうち、イソロイシンは、「ロイシン」「バリン」とともに、枝分かれする分子構造から「BCAA(分岐鎖アミノ酸)」と呼ばれるアミノ酸に分類されています。
食事やサプリメントから摂取されたBCAAは、筋肉を構成するたんぱく質の35%を占める主成分として蓄積され、運動時には代謝されてエネルギー源となります。
このため、運動やトレーニングにおけるパフォーマンスの維持や、筋肉量の維持にとって、大変重要な成分となっています。
イソロイシンはサトウダイコンの糖蜜から発見された天然成分で、普段口にする食材では鶏肉・鮭・牛乳・プロセスチーズなどに多く含まれています。バルクアップを目指す人にとっては食材だけで十分な量を摂取することは難しいため、サプリメントなどで補給を助けるのも効率的です。
BCAAはスポーツドリンクなどにもよく配合されており、運動時のエネルギー補給などに利用されています。なかでもイソロイシンは、バリンやロイシンよりも効率的にエネルギー源となることがわかっています。
イソロイシンに副作用はある?摂りすぎた場合の影響とは
次に、イソロイシンには副作用があるのか解説します。イソロイシンは人間にとって必須の成分ではありますが、過剰に摂取してしまった場合に悪い影響があるのか、知識として押さえておきましょう。
イソロイシン自体に副作用はない
結論からいうと、イソロイシン自体に副作用はありません。
イソロイシンは天然の成分で、普段私たちが口にする食品にも自然に含まれているアミノ酸の一種です。イソロイシンはそのほとんどが筋肉で代謝されるため、内臓への負担もほとんどないといわれています。実際、イソロイシンの過剰摂取による副作用は報告されていません。
また、BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)3種の摂取量として、1日に必要な量の3倍程度を摂取しても安全であることも、研究により報告されています。
ただし、健康のためには、どのような成分であっても過剰摂取というのは禁物。バリン・ロイシン・イソロイシンの3種類のバランスが崩れないように、摂取しましょう。
バリン・ロイシン・イソロイシンのバランスが崩れると…
副作用のない成分であっても、バランスを欠くことで身体に悪影響が出る場合もあります。
BCAAであるバリン、ロイシン、イソロイシンの3成分についても摂取バランスが保たれていることが大切です。どれかが多すぎると身体にいくつかの弊害が生じる可能性があります。
具体的には、以下の可能性が報告されています。
- 体重の減少
- ブドウ糖の代謝阻害
- アンモニアの排出阻害
また、過剰摂取により筋肉で消費しきれなかったアミノ酸は、肝臓や腎臓などで代謝されることになりますが、これにより臓器への負担につながる可能性もあります。イソロイシンを通常の食品から重点的に摂取すれば、カロリーや脂質の摂りすぎにつながることもあるでしょう。
イソロイシンは鶏肉や鮭、牛乳、プロセスチーズなどに含まれていますが、これらの食品の摂りすぎは高カロリーになりがちです。吸収までの時間もかかるため、摂取カロリーの割に効率的とはいえません。
特定の偏った食品に頼らないようにするほか、必要に応じてサプリメントやBCAA含有飲料などを併用して、BCAAをバランス良く摂取するのがオススメです。
イソロイシンを含むBCAAの過剰摂取による副作用や影響については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。
イソロイシンやBCAAの必要量
ここではイソロイシンの1日の必要量の目安や、BCAAの摂取量の目安について解説します。
1日に必要なイソロイシンの摂取量
1日のイソロイシンの摂取量目安は、成人で体重1kgあたり20mgです。
食品に含まれるイソロイシンの量の目安は以下の通りです。
- 卵1個(50g):680mg
- 納豆1パック(50g):340mg
- 牛乳コップ1杯(200ml):340mg
最低限の量は比較的容易に摂れる成分といえるでしょう。
基準より多く摂っても副作用はないため、バルクアップを目指す人は意識して多めにイソロイシンを摂取しても問題ありません。
ただし、BCAAのバランスには気をつけて、イソロイシンの摂取量だけが過剰にならないように注意しましょう。
1日に必要なBCAAの摂取量
次に、イソロイシンを含むBCAAについて、1日の最適な摂取量を解説します。
国際機関(FAO/WHO/UNU)が2007年に定めた基準によると、健康を維持するために必要なBCAAの摂取量は下表のとおりとなっています。
名称 | 成人が1日に必要な量 |
バリン | 26mg |
ロイシン | 39mg |
イソロイシン | 20mg |
BCAA合計 | 85mg |
通常の食事で十分な量を摂取できない場合は、サプリメントやBCAA含有飲料の利用が効率的です。
なお、筋トレのパフォーマンスを上げるためには、BCAAの1回の摂取量や飲み方にもコツがあります。BCAAの効果を最大限に引き出す方法については、以下の関連記事を参考にしてください。
まとめ
人間の生命維持に必要な必須アミノ酸の一種であるイソロイシン。イソロイシンは、適切に摂取することで、筋肉量の維持や運動パフォーマンスの維持につながる、重要な成分です。
イソロイシンは食品に含まれる天然の成分であり、過度な副作用は報告されていません。
しかし、イソロイシンのみを過剰に摂取すると、体内のアミノ酸バランスが崩れ、体重減少など身体への悪影響が生じることもあります。
イソロイシンに限った話ではありませんが、各種成分はバランス良く摂取するようにしましょう。
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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