トレーニング

インクラインベンチプレスで大胸筋上部を刺激する!山本義徳先生が解説

インクラインベンチプレスとは、ベンチプレスのバリエーション種目です。ベンチに角度をつけ、頭の方を高くした状態でベンチプレスを行います。ポイントを押さえた正しいやり方でおこなうことで、胸板の盛り上がりを作る筋肉を鍛えることができます。

この記事ではインクラインベンチプレスの方法や注意点を、山本義徳先生が解説していきます。

インクラインベンチプレスのやり方

1.ベンチの角度を30〜40度に設定する

2.胸を張って、肩を後ろに引いた状態でバーをもつ
3.バーを鎖骨よりも少し下の位置へおろして、再びあげる

注意点

下ろした時に肘が寝てしまうと、肘の怪我に繋がる可能性があります。肘は常に手首の真下に来る位置に下ろしましょう。

インクラインベンチプレスの重量は?

インクラインベンチプレスはベンチに角度をつけた状態でプレスをおこなうため、通常のベンチプレスよりも大胸筋の中部や下部が使いにくくなります。そのため、扱える重量が通常のベンチプレスよりも20〜30%ほど低下すると言われています。

高重量を扱える種目ではないので、ベンチプレスと比ベてしまうと使用重量を更新することにモチベーションを感じている人は少ないようです。しかし、ベンチプレスとは使用される筋肉が異なることから、多くの人がトレーニングのメニューに取り入れている種目でもあります。

また、インクラインベンチプレスを初めて行う人は8〜12回が余裕をもって扱える重量から初め、フォームを習得してから負荷を高めて行くと安全で効果的なトレーニングを行うことができます。

インクラインベンチプレスで鍛えられる部位

インクラインベンチプレスで鍛えることができるのは、大胸筋上部・三角筋前部・上腕三頭筋です。

大胸筋は面積が大きな筋肉のため、筋繊維が走る方向によって上部・中部・下部に分類することができます。そして、大胸筋の中でも上部を重点的に鍛えて鎖骨のすぐ下から盛り上がるような形を作ることが、見栄えのする大胸筋を作るための近道となります。

起始と停止
筋肉の両端をそれぞれ起始(きし)と停止(ていし)と呼びます。一般的には、筋肉が収縮するときに関節の動きが小さい方が起始、大きい方が停止とされています。ターゲットとなる筋肉がどこに付着しているか意識することで、より効果的なトレーニングを行うことができます。

大胸筋

角度をつけたベンチでプレス動作を行うと、肩関節においては腕を前から上方にあげる屈曲という動作が行われます。肩関節の屈曲には、大胸筋の上部が強く関与しています。

起始

鎖骨の内側2分の1(上部)・第1〜6肋骨の肋軟骨と胸骨(中下部)

停止

上腕骨大結節稜(だいけっせつりょう)

作用

上部
肩関節の内旋・水平屈曲・屈曲・外転

中部

肩関節の内旋・水平屈曲

下部
肩関節の内旋・内転

三角筋(前部)

インクラインベンチプレスは大胸筋の上部だけではなく、三角筋前部も強く使われる種目でもあります。

起始

前部
鎖骨の外側1/3

中部
肩峰(けんぽう)

後部
肩甲棘(けんこうきょく)

停止

上腕骨の三角筋粗面

作用

前部
肩関節の外転・屈曲・水平屈曲

中部
外展

後部
外展・伸展・水平伸展

上腕三頭筋

肘を曲げた状態から伸ばす、肘関節の伸展という動作には上腕三頭筋が使われます。バーベルやダンベルを用いたプレス運動では、例外なく上腕三頭筋が補助筋として使われているということです。

起始

長頭
肩甲骨の関節下結節(かんせつかけっせつ)

外側頭
上腕骨の後外面

内側頭
上腕骨の後内面

停止

肘頭

作用

肘関節の伸展
肩関節の伸展(長頭)
肩関節の内転

肩のオーバーワークに注意する

フラットで行うベンチプレスと比べて、インクラインベンチプレスは三角筋前部への刺激が強いという特徴があります。三角筋前部を鍛える種目を意識して取り入れていなくても、インクラインベンチプレスを行うことによって三角筋の前部が発達している人も中にはいます。

しかし、胸の日とは別日で肩のトレーニングをしっかり行う場合はオーバーワークに気をつける必要があります。胸の日にインクラインベンチプレスを行った状態で、肩の日に三角筋前部を鍛える種目も取り入れてしまうと、オーバーワークに陥ってしまう可能性があります。

関連記事:オーバーワークとは?避ける方法を山本義徳先生が解説

オーバーワークを避けるためには、インクラインベンチプレスの代わりにインクラインダンベルフライをとりいれると良いでしょう。三角筋や上腕三頭筋への関与が少なくなり、より大胸筋上部を集中して鍛えることができます。

関連記事:ダンベルフライを山本義徳先生が解説!大胸筋を大きくしたい人必見

逆に、胸と肩のトレーニングを同日に行う場合は、インクラインベンチプレスで大胸筋上部と三角筋前部を同時に鍛えるのも良いでしょう。
目的や分割する方法に応じて、オーバーワークを避けるためにも種目を使い分けていくことが大切です。

まとめ

角度をつけたベンチプレス台で行う、インクラインベンチプレスは大胸筋上部・三角筋前部・上腕三頭筋を鍛えることができる種目です。

三角筋前部のオーバーワークに注意しながら、トレーニングメニューに組み入れてみてください。

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

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