栄養・食

最強の食事?MCTオイルとコーヒーにダイエット効果は本当にあるのか、仕組みを解説

MCTオイルコーヒーは、世界的に注目されるダイエットドリンクです。ただし、MCTオイルコーヒーでダイエット効果を高めるには、このドリンクの特徴を知ったうえで、正しい飲み方を実践する必要があります。

この記事では、「MCTオイルコーヒーにダイエット効果がある」とされる理由を解説し、理想的な飲み方や作り方を紹介します。

世界中で話題のMCTオイルコーヒーとは?

MCTオイルコーヒーとは、アメリカで刊行された書籍で紹介されたダイエット方法の一つです。コーヒーにMCTオイルとバターを合わせ、朝食代わりや空腹時に飲む方法です。近年の日本では有名人も実践するダイエット法として、SNSなどで注目を浴びています。

MCTオイルについて

MCTオイルとは、中鎖脂肪酸100%のオイルを指します。普段から食すような、馴染みある食べ物に含まれる脂肪酸の多くは、長鎖脂肪酸です。中鎖脂肪酸には、同じ飽和脂肪酸の一種である長鎖脂肪酸と比べて、分子量が半分程度という特徴があります。

中鎖脂肪酸を100%抽出したMCTオイルは分解されやすく、消化も速いため、一般的な油の約4倍速くエネルギーになります。エネルギーになるスピードが速いということは、体内に蓄積されにくい脂肪であることを意味します。

このような理由から、MCTオイルはダイエットに効果的な油であるといわれています。

短鎖脂肪酸・中鎖脂肪酸・長鎖脂肪酸のおもな特徴と、それらが含まれているおもな食品は以下のとおりです。

特徴 含まれているおもな食品
短鎖脂肪酸
  • 長鎖脂肪酸より分解・吸収が速い
  • 短時間でエネルギーになる
  • 体内に脂肪として蓄積されにくい
  • 便秘改善や免疫力アップ、コレステロールを減らす効果などで注目されている
酢、ヤシ油、牛乳などの乳製品、など
中鎖脂肪酸
  • 長鎖脂肪酸より分解・吸収が速い
  • 短時間でエネルギーになる
  • 体内に脂肪として蓄積されにくい
  • ダイエットや、脳の認知機能低下を抑制する効果で注目されている
ココナッツオイル、牛乳、母乳、ヤギ乳、パーム油 など
長鎖脂肪酸
  • 短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸と比べて、分解・吸収に時間がかかる
  • 体内に脂肪として蓄積されやすい
肉や魚の油、植物油(キャノーラ油、こめ油、オリーブオイル、ベニバナ油、大豆油、亜麻仁油、えごま油、コーン油、グレープシードオイル)など

実際には、MCTオイルコーヒーを毎朝飲み、ケトジェニックダイエットを実践して初めて、減量につながります。MCTオイルコーヒーを飲むだけで痩せられるわけではありません。

なぜMCTオイルとコーヒーを組合せるのか

MCTオイルをコーヒーに入れる理由には、コーヒーに含まれるカフェインが関係しています。カフェインには脂肪細胞の分解を促す効果があり、全日本コーヒー協会が2011年に公開したデータでは、運動前にコーヒーを飲むと脂肪が燃焼されやすくなることがわかっています。

カフェインには、筋肉を強くする作用もあります。カフェインを摂取すると筋肉中のカルシウムイオンが増え、普段よりも力が強くなるからです。

先述のとおり、MCTオイルは素早く消化吸収されるため、運動時のエネルギー源として優れています。したがって、MCTオイルとコーヒーの特性は、トレーニングや運動に適していると考えられています。

MCTオイルは、ケトジェニックダイエットを行なっている最中の手軽なエネルギー(脂質)補給源にもなります。

人によっては脂肪を多く摂るのが大変なこともあるでしょう。しかし、MCTオイルコーヒーであれば手軽に飲めて、食が細い人でも効率的に脂質を摂取できます。

MCTオイルコーヒーの作り方や飲み方

MCTオイルコーヒーダイエットの効果を高めるには、正しい作り方と飲み方を実践する必要があります。

1.コーヒーにMCTオイルと無塩バターを加える

150ml程度のコーヒーに、MCTオイルと無塩バターを大さじ1杯加えます。油浮きが気になる人には、パウダータイプのMCTオイルもオススメです。

2.ブレンダーやミキサーなどでしっかり攪拌(かくはん)させる

コーヒーにMCTオイルと無塩バターを入れ、ブレンダーやミキサーなどでしっかり撹拌(かくはん)させれば完成です。

MCTオイルコーヒーの飲み方は?いつ飲むべき?

MCTオイルコーヒーは、ライフスタイルに合わせ好きなタイミングで飲んで構いません。一般的には、朝に飲むと良いといわれていますが、間食代わりやトレーニング前に摂取するのもオススメです。

ただし、夜や寝る前の時間帯は、カフェインが睡眠に影響を与える恐れがあるため、なるべく避けるようにしてください。

MCTオイルコーヒーはバターなしでも大丈夫?

MCTオイルコーヒーは、バターなしでも同様の効果が期待できます。バターを使わなければ、コーヒーにMCTオイルを入れて、スプーンでかき混ぜるだけで手軽に作れます。

ただし、ミキサーで撹拌しないと油が浮いてしまうので、油っぽさが苦手な人には飲みにくいかもしれません。

バターなしのMCTオイルコーヒーで油っぽさが気になる人には、パウダータイプのMCTオイルを使うのがオススメです。

MCTオイルコーヒーの味はどう?

編集部では、実際にVALXの『VALX MCTオイルパウダー』をインスタントコーヒーに混ぜて、飲んでみました。

溶けやすさに関しては、スプーンでよく混ぜないと少し溶けづらく、わずかにスプーンにオイルが残った程度です。MCTオイルコーヒーの見た目は、少し濁った感じになりました。

味は、MCTオイル自体が無味無臭のため、コーヒーの風味はほとんど変わらないと感じました。

舌触りは、オイル特有の油っぽさがありましたが、これは決して身体に悪いものではなく、コンビニエンスストアで売っているプラスチック容器入りのカフェラテのような印象です。コーヒーのサラサラ感が、なめらかに変わったように感じました。

実際にMCTオイルコーヒーを飲んだ感想は、普通のコーヒーと比べて舌触りや味わいが多少変わるものの、不味くなるものではありませんでした。

MCTオイルコーヒーでダイエットを成功させる2つのポイント

MCTオイルコーヒーダイエットを成功させるには、以下2つの点に注意する必要があります。

1.MCTオイルの過剰摂取による下痢や腹痛に気をつける

MCTオイルを構成する中鎖脂肪酸を過剰に摂取すると、腸内の水分量が多くなり、下痢や腹痛を引き起こす原因になります。そのため、MCTオイルの摂取量は段階的に増やすことが大切です。

ケトジェニックダイエットを行なうときは、1日あたり合計30g程度を摂取するのが理想とされています。これ以上の量を摂取すると、消化器官の不調につながることもあるので、最初は3gのMCTオイルを複数回に分け、1日15g程度摂取することを目安にしましょう。そして、徐々に30gまで増やしていくのがオススメです。

2.MCTオイルコーヒーを飲むだけでは痩せないことを念頭に置く

MCTオイルには、通常の油と同じようにカロリーがあるため、食生活を変えずにMCTオイルコーヒーを採り入れたとしても、ダイエット効果は期待できません。

MCTオイルコーヒーは、糖質制限やケトジェニックダイエットの一環として採り入れるのがオススメです。そうしてMCTオイルの摂取量を増やしていくと、ケトーシスの状態になりやすく、ダイエット効果が期待できます。

まとめ

MCTオイルコーヒーは、効率良くエネルギーになる中鎖脂肪酸と、脂肪細胞の分解を促すカフェインによって、ダイエット効果につなげる飲み物です。

ダイエットにMCTオイルコーヒーを採り入れるときは、朝・間食代わり・トレーニング前に飲むのがオススメです。コーヒーの油浮きが気になる人は、パウダータイプのMCTオイルを使ってみてください。

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

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