背中の筋肉は僧帽筋・広背筋・大円筋・脊柱起立筋に分かれ、それぞれバランス良く鍛える必要があります。
今回の記事では、キレイな姿勢・プロポーションにつながる背中の筋肉に注目し、自宅でできるトレーニングメニューを解説します。
自宅筋トレのメリット、トレーニング前後のストレッチの重要性も説明します。ぜひ参考にしてください。
背中の筋肉とは?代表的な4つの筋肉を知ろう
筋トレの効果をアップするためには、トレーニングの際に鍛えている部位を意識しておこなうことが大切です。背中の4つの筋肉はそれぞれ働きが違うため、鍛え方も違います。バランス良く発達した背筋を手に入れるためには、4種の筋肉の位置・役割を理解したうえで、それぞれの部位を鍛えていきましょう。
僧帽筋
背中の表面部分をおおい、首から肩・背中上部へとつながる筋肉が「僧帽筋」です。僧帽筋は肩甲骨を動かしたり固定させたりする役割を持ち、首・肩甲骨などの動き全般に関わります。僧帽筋の不調は、肩こりや、上半身が大きく動かせないなどの症状につながりがちです。
広背筋と大円筋
脇の下の「大円筋」と、背中の中央部から脇下・腕へつながる「広背筋」は、肩関節の動きに関わり、腕をうしろに動かしたり、内側にひねったりするときに使われます。
脊柱起立筋
背骨に沿って骨盤まで続くのが「脊柱起立筋」です。背中の筋肉のなかでも大きくて長い筋肉で、姿勢の安定・維持に欠かせません。背中から腰にかけて、うしろに反るような動きにも使われます。
筋トレを自宅でおこなう5つのメリット
背中の自宅筋トレのメニューを紹介する前に、筋トレを自宅でおこなうメリットを理解しておきましょう。
ジムの営業時間に合わせる必要がない
自宅トレーニングなら、ジムの営業時間や休業日に左右されません。悪天候で外出できなくても、自分の都合に合わせて、自由にトレーニングが可能です。仕事・家事の合間などの隙間時間を有効活用できます。
人の目を気にせずトレーニングに集中できる
初心者やトレーニングに苦手意識がある人は、自宅の筋トレなら、人目を気にせずおこなえます。服装・髪の乱れを気にせず、フォームの確認や自分のやりたいトレーニングに集中できます。
ジム用にウエアなどを買う必要がない
ジムに通う場合は、ジムで着ていて違和感のないジム用ウエアが必要です。これまでジムに通った経験がない人の場合、ウエア上下に靴下・シューズなど、それなりの初期費用の発生は避けられません。
自宅なら、お出かけ用としてはためらってしまうような着古したウエアでも、気にせずトレーニングできます。
ジムまでの移動時間を短縮できる
多くの人は、ジムまで移動時間がかかります。自宅からジムまで往復30分、週3日通うと仮定すれば、1年間はおよそ52週なので、0.5時間×3回×52週=78時間も移動に使うことになります。利用料・交通費も発生するでしょう。
自宅なら移動時間はもちろん、利用料・交通費・駐車料・ガソリン代もゼロで、トレーニングのための出費が増えません。
トレーニングのペースやタイミングを微調整できる
ジムが混雑していると、器具・シャワールームを使う際に待ち時間が発生することも珍しくありません。混んでいて、ゆっくりトレーニングができないシーンもあるでしょう。
自宅なら、混雑を理由に焦ることはありません。次のスケジュールがせまっていて時間に余裕がないときはもちろん、いつもより長い時間をかけてトレーニングに取り組むこともできます。ペース・タイミングを細かく調整できるのは、自宅トレーニングの大きな魅力です。
自宅でできる背中の筋トレメニュー
自宅で背中を鍛えることができる、筋トレメニューを6種紹介します。
リバーススノーエンジェル
広背筋・僧帽筋・脊柱起立筋を同時に鍛えられるメニューです。肩甲骨は寄せたまま肩を上げないようにし、反動を使わずにおこなってください。背筋に刺激が届いているか、意識してトレーニングしましょう。
慣れてきて物足りなさを感じるようになったら、ダンベルを使うのがオススメです。ダンベルはお手頃価格で手に入り、収納に場所を取りません。
1. うつ伏せに寝る
2. 両腕を浮かせ、肩甲骨を寄せる
3. その状態で、肘を曲げずに両手を頭上に持って行く
4. ゆっくり時間をかけて、もとの位置に戻る
5. 繰り返す
目安は、30回×3セットです。最初のうちは20回から始めましょう。
バックエクステンション
上体を反らすトレーニングで、広背筋を自重で鍛えます。最初は正しいフォームでおこなうことを意識し、慣れてきたら回数を少しずつ増やしましょう。
1. うつ伏せになり、両手は頭のうしろで組む
2. 脚は少し開いてリラックスする
3. 顔・目線は上に向ける
4. 上半身を、身体を反るイメージで上げる
5. 限界まで上げたら、時間をかけて戻す
6. 繰り返す
目安は10回を1セットとし、合計3セットをおこないます。
懸垂(けんすい)
懸垂は背筋全体に効く自重トレーニングで、高い効果が期待できます。懸垂用のバーはお手頃価格なので購入すれば、自宅でいつでも懸垂をおこなえます。
懸垂で効果を得るためには、フォームを意識してください。慣れるまでは、逆手でおこなってかまいません。
手首の力で身体を持ち上げず、持ち上げるときは肩甲骨を寄せ、バーを胸に引きつけるイメージでおこないます。
身体を一気に下げてしまうと、肘・肩を痛めるリスクがあります。身体はゆっくり下げてください。
1. 肩幅ほどに手を開き、手のひらを自分に向けてバーを握る
2. 上腕二頭筋を意識しながら、顎がバーと同じ高さになるまで身体を持ち上げる
3. 目標の高さに来たら上体を少しキープ
4. 肘を伸ばしきらない程度まで、ゆっくりと下げて行く
5. 繰り返す
目安は、10回もしくは限界回数と1セットとし、3セットおこないます。
インターバルは30~60秒入れてください。長すぎるインターバルは、筋肉がおやすみモードに入ってしまうので、要注意です。
1セット、10回やってしまうと3セットがむずかしい人は、回数を減らして3セットおこなえば、効率的な筋肥大が期待できます。
懸垂は、難度の高いメニューです。最初からできない人は、ほかのメニューで背筋の筋肉量を増やしてからチャレンジしましょう。
デッドリフト【参考メニュー】
デッドリフトは、背中を中心に背面全体を鍛えるメニューです。
股関節を中心に下から重りを引き上げ、広背筋・脊柱起立筋が鍛えられます。背筋に加え、ハムストリングス・大腿四頭筋など、ほかの部位の筋肉にも効果が期待できます。
デッドリフトは重い重量が扱えるメニューですが、負荷をかけすぎるとフォームが崩れやすいので注意が必要です。無理をしないよう、正しいフォームを意識してください。
つま先はまっすぐ前を向くように、背中は丸めないで姿勢は維持します。腰は反らしすぎないよう、おこないます。
1. 肩幅より少し広げて立つ
2. バーベルを肩幅で握り、背中はまっすぐにする
3. 背中を伸ばしたまま、上体を起こす
4. もとの位置まで戻す
目安は、限界回数×3セットです。
ベントオーバーローイング【参考メニュー】
広背筋を集中して鍛えるメニューです。デッドリフトと同様、フォームが正しくないと腰を痛めやすいので、注意してください。
肩が上がってしまうと効果的に鍛えられません。肩を斜めうしろに下げながら、腕を引き上げましょう。背中は丸めず、視線を前方に向けておこないます。
1. 脚は肩幅に開く
2. 手幅を脚幅より少し広めにしてバーベルを握る
3. ヒップを軽く出してバーベルを持ち上げる
4. バーベルを引いて3の状態まで下ろす
5. 繰り返す
目安は、限界回数×3セットです。
慣れたら負荷を増やせるメニューですが、最初は「正しいフォーム」を優先し、少しずつ負荷を増やしてください。
ラットプルダウン【参考メニュー】
ラットプルダウンは専用マシンを使うため、自宅ではむずかしいかもしれませんが、広背筋・僧帽筋・大円筋はもちろん、上腕二頭筋と多くの筋肉を刺激できます。
マシンを使うトレーニングなので正しいフォームでおこないやすく、筋トレ初心者にオススメです。
1. マシンのほうを向いてシートに座る
2. 胸を張って、背中は反らせる
3. バーを両手で握り、息を吐きながらバーを引く
4. 2秒ほど静止後、息を吸いながらゆっくり戻す
10回を1セットとし、3セットおこないます。
背中トレーニングの前後はストレッチが大切!
筋トレの効果を上げるためには、トレーニング前後のストレッチが大切です。
背中のトレーニングをおこなう際も、前後のストレッチを忘れずおこないましょう。
広背筋のストレッチ法は、以下の記事でも詳しく解説しています。
筋トレ前のストレッチ
筋トレ前のストレッチで期待できる効果は、以下のとおりです。
- ケガを防止
- 可動域を広げて筋肉への負荷効率を上昇させる
筋トレ前のストレッチは、反動をつけながら伸ばしていくダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)をおこないます。
ダイナミックストレッチのメニューをいくつか紹介します。それぞれ10回ずつおこないましょう。
・肘ぐるぐるストレッチ
両手の指先を肩に置き、肘を大きく外側に10回まわし、肩甲骨の可動域を広げます。
・肩甲骨の柔軟性を高めるストレッチ
肘を90度に曲げた状態にし、腕を胴体に対して90度にキープします。手のひらは自分のほうを向け、両肘から先を身体正面で合わせます。
両肘を離して90度をキープしたまま、腕を外側にして胸を開きます。手のひらは外側を向くようにしてください。
・両手を上に上げるストレッチ
両手の甲で三角形を作るように、頭上の高い位置で合わせます。手を合わせたまま、「背伸びをする→背伸びをやめる」を繰り返し、肩甲骨を上に動かしましょう。
筋トレ後のストレッチ
筋トレ後のストレッチで期待できる効果は、以下のとおりです。
- 疲れがたまりにくい
- むくみ防止
- 筋肉痛が収まりやすい
筋トレ後のストレッチは、ゆっくりと伸ばす「スタティックストレッチ(静的ストレッチ)」です。
30秒ほどかけてゆっくり伸ばします。伸ばしている筋肉を緊張させないように意識してください。
・ 身体を横に曲げるストレッチ
右腕を横から振り上げ、身体を左に曲げる動きで、左腕も同様におこないます。
30秒ほどかけて脇周辺をゆっくり伸ばし、広背筋をほぐしてください。
・背中を丸めるストレッチ
身体の前で手を組み、組んだ手をできるだけ前に伸ばし、背中の筋肉も伸ばします。手の内側に柱がある状態をイメージし、手を引っ掛けるようにしながら、うしろに重心を持って行くように、30秒ほどかけて背中の筋肉を伸ばしてください。
・腰をひねるストレッチ
床に仰向けになって両手を広げ、右脚を持ち上げて左側に倒して腰をひねります。
左右30秒ずつ2セットほどおこない、脊柱起立筋を伸ばしましょう。
まとめ
背筋は4つの部位からなります。それぞれの役割を理解してどこを鍛えているか意識して筋トレをおこないましょう。
自宅での筋トレなら時間の制約がなく、人目を気にせずトレーニングができ、ウエア・利用料・交通費が発生しません。自分のペースでトレーニングできる点も魅力です。
筋トレの効率をアップするためには、筋トレ前後のストレッチが欠かせません。自宅でのトレーニングでも、忘れずにストレッチをおこないましょう。
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
【You Tube】
山本義徳先生の知識と経験に基づいたトレーニング方法や、プロテインやサプリメントの情報を科学的根拠(エビデンス)に基づいて、YouTube動画を随時更新しています。
【筋トレ大学PRO】
https://shop.valx.jp/shop/information_categories/kintoredaigaku-pro
【SNS】
X▶︎https://twitter.com/valx_official
Instagram▶︎https://www.instagram.com/valx_official/