トレーニング

僧帽筋の筋トレ|上部を鍛えるメニューを山本義徳が伝授!

僧帽筋は、背中の最も浅層にある筋肉です。首に近い僧帽筋上部を鍛えることで、ガッチリした背中を作れます。そのほか、僧帽筋を鍛えることにはさまざまなメリットがあります。

この記事では、僧帽筋を鍛えるメリットや、鍛える際の注意点を解説します。僧帽筋上部に効くトレーニングも紹介しますので参考にしてください。

僧帽筋とは?

僧帽筋とは、首から背中にかけて三角形に広がる筋肉です。おもに上部・中部・下部に分けられ、それぞれ役割が異なります。

・僧帽筋上部

後頭骨の扁平部分から鎖骨後縁の外側に位置します。肩をすくめたり、首を下に向けるときなどの動作に使われる筋肉で、僧帽筋のなかでも鍛えやすい部位です。

・僧帽筋中部

頚椎下部と胸椎上部の棘突起から、肩峰の内側部に位置する筋肉です。おもに背伸びや深呼吸など、肩甲骨を後ろに下げる(胸を張る)動作で使います。

・僧帽筋下部

胸椎の中部・下部から肩甲棘の上縁に位置し、物を引っ張るときなど、僧帽筋のなかで最も使われる部位です。チューブトレーニングなどで刺激できます。

僧帽筋を鍛えるメリット

僧帽筋を鍛えて肩から背中にかけての筋肉量を増やすと、ガッチリとしたスタイルが手に入るだけでなく、さまざまなメリットがあります。ここからは、背中を鍛えることで期待できるメリットを解説します。

姿勢が正される

背中の筋肉を鍛えると、猫背などの姿勢の悪さを改善できます。背中の筋肉が弱いと、正しい姿勢を長時間保てず、姿勢が崩れてしまいます。

無理な姿勢で腰が反り、腰痛の原因になることも少なくありません。背中の筋肉をしっかり鍛えることは、姿勢改善に役立ちます。

基礎代謝がアップする

筋肉を鍛えれば、基礎代謝アップが期待できます。特に僧帽筋は、首から背中にかけて広がる大きな筋肉です。増える筋肉量が多いほど、より多くの基礎代謝向上が叶います。

基礎代謝が上がれば、痩せやすく太りにくい身体になるため、ダイエットはもちろん、パンプアップにも最適だといえるでしょう。

肩こりの予防になる

僧帽筋の筋肉を鍛えると、日常生活で起こる肩こりを防げます。肩こりは、首や背中の筋肉不足が原因です。頭をしっかり支えられないことから起こりやすくなるため、僧帽筋上部を鍛えることが大切です。

パソコン業務など同じ姿勢を長く続けている人は、血流が悪くなっている恐れがあります。ストレッチ・トレーニングにより血流が良くなれば、肩こり改善につながります。

僧帽筋上部を効率的に鍛えられる筋トレメニュー

僧帽筋上部を鍛えるためには、肩回りへの負荷を意識したトレーニングが大切です。ここからは、僧帽筋上部を鍛えられるトレーニングメニューをご紹介します。正しいフォームや意識するポイントも参考に、無理のないペースでおこないましょう。

フロントブリッジ

フロントブリッジは、いわば“プランク”の姿勢を維持して僧帽筋を鍛えるトレーニングです。基礎代謝のアップや猫背の緩和などが期待できます。

フロントブリッジの手順

1. 床でうつ伏せの姿勢になる
2. 腕を肩幅に広げて肘を床につく
3. 腕の角度を90度に曲げる
4. つま先と腕で身体を支える
5. 真っすぐな身体をキープする

フロントブリッジをおこなう際は、お尻を下げずに真っすぐな姿勢をキープできるよう意識します。最初は20~30秒キープから始め、慣れてきたら徐々に時間を長くしていきましょう。体幹が強くなり、さまざまなトレーニングに役立ちます。

続けておこなうときは、必ずインターバルを取ってください。

デクラインプッシュアップ

デクラインプッシュアップとは、脚を高く上げておこなう腕立て伏せのことです。重心が上半身にかかり、効率良く僧帽筋を鍛えられます。

デクラインプッシュアップの手順

1. ベンチやイスなど高い物に脚をのせる
2. 腕立て伏せの体勢をとり、手は肩幅に開く
3. つま先と手のひらで体重を支え、ゆっくり身体を下げる
4. 地面を押すイメージで身体を起こしてもとに戻る

身体は、肩からつま先まで真っすぐになるよう意識します。身体を下げたらすぐにもとに戻ろうとせず、一度しっかり停止させるのがポイントです。

慣れてきたら脚の高さを上げたり、インターバルを短くしたりして調整しましょう。

バーベルシュラッグ

バーベルシュラッグは、バーベルを使って僧帽筋上部の首回りを重点的に鍛えるトレーニングです。肩回りを鍛えることで、太くてたくましい首を作れます。

バーベルシュラッグの手順

1. 腕を前に下げた状態でバーベルを持ち、脚を腰幅に開く
2. 肩甲骨を上げて首をすくめる(このとき下半身の力は利用しない)
3. その位置でバーベルを3秒程度キープする
4. ゆっくり肩甲骨を下げてもとに戻る

肩甲骨を上げるときは、あごが一緒に上がらないよう注意しましょう。バーベルが重すぎると腰を痛める危険があります。自分に合った重量を選び、正しいフォームでおこないましょう。

チューブシュラッグ

チューブシュラッグとは、トレーニングチューブを引き上げて僧帽筋に負荷をかけるトレーニングです。慣れてきたら、チューブの強度や長さで負荷を変えてみましょう。

チューブシュラッグの手順

1. チューブの両端を持ち、チューブのたわんだ部分を両脚で踏み押さえる
2. 両手は身体の横、脚は肩幅に広げて構える
3. 肩甲骨を寄せながらチューブを引き上げる
4. ゆっくりと肩の力を抜いてもとに戻る
5. 1~4を繰り返す

腕や肘でチューブを引くと、負荷が逃げてしまい僧帽筋が刺激されません。肩甲骨をしっかり寄せて、僧帽筋を集中的に鍛えられるよう意識しましょう。

ダンベルシュラッグ

ダンベルシュラッグは、ダンベルを上下させて肩の筋肉を鍛えるトレーニング方法です。肩回りのパンプアップにはもちろん、血流を良くして肩こりを改善する効果が期待できます。

ダンベルシュラッグの手順

1. 脚を肩幅に広げて両手にダンベルを持つ
2. ダンベルは肩から垂直に下ろして身体につけない
3. 息を吐きながら、肩甲骨を寄せてダンベルを持ち上げる
4. 息を吸いながらゆっくりダンベルを下ろす

片手にダンベルを持ち、左右交互にトレーニングしてもかまいません。前傾姿勢になると負荷が逃げてしまうため、背筋をしっかり伸ばしておこなうのがポイントです。下げた反動でダンベルを持ち上げないよう、重量の調整には注意してください。

ダンベルショルダープレス

ダンベルショルダープレスは、ダンベルを上方向に持ち上げて三角筋を鍛えるトレーニングです。僧帽筋を増やすことにもつながるためオススメです。

ダンベルショルダープレスの手順

1. インクラインベンチに座って両手にダンベルを持つ
2. ダンベルを耳の横に構え、そのまま頭上に上げていく
3. ダンベルを頭上に上げたらそのまま少しキープする
4. 上腕が床と水平になる位置までゆっくりダンベルを下ろす

ダンベルが肘の内側に入らないよう、角度に注意しましょう。背筋を伸ばして座り、胸をしっかり開くのがポイントです。ダンベルの重さで身体を傷めないためにも、自分に最適な重量でおこなってください。

懸垂(チンニング)

懸垂(チンニング)は、自分の体重を利用して鍛えるトレーニング方法です。全身が鍛えられていなければ、身体を上手く引き上げられないため、中級者にオススメのトレーニングといえます。

懸垂(チンニング)の手順

1. 手を広く広げて鉄棒や懸垂バーを握る
2. 地面を軽く蹴り上げてあごをバーの高さまで持ち上げる
3. 肘を伸ばしきらない程度まで下げる動作を繰り返す

懸垂に慣れていない場合は、ぶらさがるだけでも効果があります。地面を蹴り上げる力を利用して、身体を持ち上げる感覚をつかみましょう。

僧帽筋を鍛える際の注意点

僧帽筋を鍛えるときは、負荷がかかる位置をしっかり意識することが大切です。トレーニングの際に注意したいポイントを解説します。

安全面を意識する

僧帽筋上部のトレーニングでは、首・肩に大きな負荷がかかるため、ケガには十分注意が必要です。特に首の神経は、傷つけると重大な後遺症につながる恐れがあります。安全面に考慮し、正しいフォームを意識しましょう。

適度な負荷調整をする

「早くムキムキになりたい」「回数を増やして効果を高めたい」と、無理をするのは禁物です。最初から回数ばかりを意識するのではなく、適度な負荷をゆっくりと加えていきましょう。ダンベル・バーベルを使用するときは、負荷の軽いものから徐々に慣らしていくのがポイントです。

筋肉が硬くならないようストレッチも取入れる

トレーニングを重ねると、筋肉が硬くなるため、適度にストレッチを挟んでほぐすことも大切です。トレーニング前とあとにはストレッチを意識的に取入れましょう。首・肩を回すだけでも簡単にほぐせます。

背中の筋トレを一挙公開!部位別の効かせ方を山本義徳先生が解説!背中の筋トレをついおろそかにしていませんか?大胸筋や腕の筋肉は自分でも目に入りやすいため鍛えたい部位として真っ先に挙げられますし、筋肉の...

まとめ

僧帽筋は、首から背中へつながる三角形の筋肉です。上部・中部・下部に分けられ、たくましい上半身作りには欠かせない筋肉でもあります。特に上部の不調は、肩こりや姿勢悪化の原因になることもあるため、日頃から意識してトレーニングすることが大切です。

僧帽筋上部を鍛えるときは、首回りに過度な負荷がかからないよう、安全面に十分配慮しましょう。ケガを防ぐためにも、正しいフォームを心がけてください。

公式ライン

監修者情報

山本義徳

山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。

一般社団法人 パーソナルトレーナー協会 理事

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下) 
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

【You Tube】
山本義徳先生の知識と経験に基づいたトレーニング方法や、プロテインやサプリメントの情報を科学的根拠(エビデンス)に基づいて、YouTube動画を随時更新しています。

【筋トレ大学PRO】
https://shop.valx.jp/shop/information_categories/kintoredaigaku-pro

【SNS】
X▶︎https://twitter.com/valx_official
Instagram▶︎https://www.instagram.com/valx_official/

....