シトルリンとは遊離アミノ酸(細胞や血液の中に蓄えられ、たんぱく質を構成するために使われる事のないアミノ酸)の一種で、疲労の原因となる物質であるアンモニアを除去する働きがあるため、ハードなトレーニングをする人から注目を集めている成分です。それだけではなく、シトルリンにはトレーニング中の人にうれしい効果も期待されています。
今回は、シトルリンの効果・飲んでから効果が出るまでの時間、気になる副作用などを詳しく解説します。
シトルリンの効果が最大限になるタイミングでトレーニングすれば、より効率的な身体作りにつながるでしょう。最後まで読んでトレーニングの参考にしてください。
シトルリンとは?
シトルリンとはスーパーアミノ酸・天然のバイアグラなどとも呼ばれる、遊離アミノ酸の一種です。
血管・内臓・皮膚・筋肉などの材料になるたんぱく質を構成する必須アミノ酸・非必須アミノ酸と異なり、遊離アミノ酸はたんぱく質の合成には使用されないものの、血管を拡張作用させる事による血流改善効果などが期待されています。
血流が改善されると筋肉や精力を増加させる・疲れにくくなるなどのさまざまな効果が現れやすくなり、トレーニングにも良い影響を与えてくれるでしょう。
シトルリンは食事から摂取できる栄養素で、おもにキュウリ・スイカなどのウリ科の食品に多く含まれています。シトルリンの推奨摂取量は1日800mgですが、スイカ100g中に含まれるシトルリン量はわずか180mgしかありません。
毎日800mgのシトルリンを摂取するには、400g以上ものスイカを食べ続けなければいけない計算になります。いくら食事から摂取できる栄養素とはいえ、食事だけでシトルリンの必要摂取量を補うのは大変です。
しかし近年アメリカではシトルリンを効率良く手軽に摂取するために、アスリート向けのサプリメントを利用する人が増えてきました。
トレーニングをする人はもちろん、普段トレーニングしていない人からも人気があります。欧州ではコンディショニングサポートの目的として販売されている医薬品に用いられているだけでなく、保湿効果も期待できる事から化粧品にも利用されています。
シトルリンの効果
筋肥大効果や疲労原因物質を取除く働きのあるシトルリンには、ほかにもさまざまな効果が期待されています。ここでは、シトルリンの効果を3つのポイントに分けて詳しく解説します。
運動パフォーマンスアップ
シトルリンを摂取すると体内のアルギニン量の増加にともない、一酸化窒素濃度が上昇します。一酸化窒素には優れた血管拡張効果があり、血流促進・血液量の増加につながります。血液量が増えるとトレーニング時の持久力やパフォーマンスの向上が期待できるため、トレーニング前にシトルリンを摂取するのもオススメです。
実際1日6gのシトルリン摂取で、高強度運動のパフォーマンスが上がったという報告もあります。
筋肉の成長を促す
シトルリンの摂取によって体内のアルギニン量が増加した結果、一酸化窒素の濃度が高まり血管拡張作用につながります。その過程において体内ではさまざまな反応が起こりますが、その一つが「成長ホルモンの分泌促進」です。
成長ホルモンといえば子どもに多く分泌されるホルモンですが、実は大人になっても成長ホルモンの分泌は続いています。成長ホルモンがしっかりと分泌されると、骨・筋肉の成長が促されます。
先ほどものべたように、シトルリンを摂取すると成長ホルモンの分泌が促進されるため、トレーニング中の人は運動前にシトルリンを摂取し、成長ホルモンの分泌を促すように意識しましょう。成長ホルモンは就寝中に分泌量が増えるため、就寝前にシトルリンを摂取するのもオススメです。
血流改善が見込める
シトルリンを摂取して血管が拡張すると、体内のアルギニン量が増加して血流改善効果をもたらします。アルギニンは血管拡張作用のある一酸化窒素濃度を高める成分のため、「シトルリンを摂取するよりもアルギニンを摂取するほうが効果はあるのでは」と考える人も少なくありません。
しかし、アルギニンを積極的に摂取するよりも、シトルリンを摂取したほうが体内のアルギニン量増加が期待されています。血流が改善されると冷えやむくみの解消にもつながり、健康的な毎日をサポートしてくれるでしょう。
シトルリンの摂取に副作用はない
シトルリンの1日の推奨摂取量は800mg程度ですが、それ以上の量を摂取したからといって健康被害が発生したなどの報告はあがっていません。そもそもシトルリンは栄養素の一種で薬ではないため、副作用は基本的にありません。
ただし、妊娠中や授乳中にシトルリンのサプリメントを摂取する際は注意が必要です。妊娠中や授乳中は体調の変化が起こりやすいため、成分に過剰反応する事もあります。利用したい場合は、かかりつけ医や専門家に相談して指示を仰ぐようにすると安心です。
シトルリンの効果が出るまでの時間
シトルリンを摂取してから効果が出るまでにかかる時間は、30分~1時間程度です。シトルリン摂取後30分ほどで血中の一酸化窒素濃度が最大に達し、1時間後には血流の促進が確認されています。
ただし、シトルリン摂取後2時間後には効果が半減し、4時間後には摂取前のレベルに戻ります。シトルリンの効果をトレーニングに反映させたい場合は、トレーニングの1時間前にシトルリンを摂取する事が望ましいでしょう。
トレーニング前にシトルリンを摂取すると、血液量増加にともなう持久力アップ・運動パフォーマンスの向上が期待できます。シトルリンの効果を最大限に利用するためにも、シトルリンの十分な量を摂取するとともに「摂取するタイミング」も意識しましょう。
まとめ
アミノ酸の一種であるシトルリンには血管を拡張させる作用があり、血流改善効果が期待されています。
血流が改善されると運動パフォーマンスが向上しやすくなるだけではなく、トレーニングによって溜まった疲労物質を除去する働きもあるため、スポーツする人には特にオススメの栄養素といえるでしょう。
シトルリンを摂取してから効果が出るまでには約30分~1時間かかるため、効果が出始める時間を計算してシトルリンを摂取するように意識するのもオススメです。
監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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