MCTオイルは分解・吸収が一般的な油より4倍速く、ケトジェニックダイエットに適していると注目を集めています。
ケトジェニックダイエットとは、低糖質・高脂質の食事を摂ることによりダイエットするものです。MCTオイルを活用することで、ケトジェニックダイエットを無理なく進められます。
この記事では、MCTオイルがケトジェニックダイエットにオススメである理由について解説します。
なお、ケトジェニックダイエットで注意すべきポイント・食べ物については、以下の動画で山本義徳先生が詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
MCTオイルとは?
最初に、MCTオイルとは何かについて確認しておきましょう。
MCTとは「Medium Chain Triglyceride」の略で、「中鎖脂肪酸」のことを指します。
一般的な食用油に含まれる「長鎖脂肪酸」と比べると、分子量が半分くらいであるため分解されやすく、消化が早いのが特徴です。
MCTオイルがエネルギーになるまでの時間は、一般的な油より「4倍速い」といわれています。そのため、MCTオイルは体脂肪としてあまり蓄積されません。
また、すぐにエネルギーになるため、運動時のエネルギー源としても適しています。
MCTオイルの効果については以下の記事でも詳しく解説しています。
ケトジェニックダイエットにMCTオイルがオススメな理由
ケトジェニックダイエットはMCTオイルを使用すると無理なくおこなうことができます。
MCTオイルがケトジェニックダイエットにオススメな理由を見ていきましょう。
ケトン体産生の効率が良くなる
ケトジェニックダイエットにMCTオイルがオススメである第1の理由は、ケトン体産生の効率が良くなることです。
ケトジェニックダイエットは、体内の状態を「ケトン体優位」(ケトーシス)にしておこないます。
ケトン体とは、脂肪を代謝する過程で生じる物質のことです。通常は血中にほとんど存在しませんが、糖質の摂取をほぼゼロに制限することで、糖質の代わりにエネルギー源として使用されるようになります。
体内の状態をケトン体優位にするためには、糖質の摂取を減らしたうえで、脂質を多く摂ることが必要です。
脂質のなかでもMCTオイルは、消化速度が一般的な脂質の4倍なので、急速にケトン体が生成され、素早くエネルギーに変換されます。
迅速にケトーシスを実現できるため、MCTオイルはケトジェニックダイエットに最適なのです。
脂質の摂取不足を解消できる
ケトジェニックダイエットにMCTオイルがオススメである第2の理由は、脂質の摂取不足を解消できることです。
ケトジェニックダイエットにおいては、一日の総摂取エネルギー量の6~7割程度を脂質から摂取することが必要です。
しかし、それだけの脂質を食事から摂取するのは困難でしょう。肉・魚などの脂質を含んだ食品を大量に食べなければいけないからです。
一般的に、日本人は糖質中心の食事をしている人が多く、そのような人が脂質を多く含んだ食品をたくさん食べると、胃もたれしてしまうことがあります。
MCTオイルであれば、コーヒー・プロテインなどに混ぜて摂取できます。
また、サラダのドレッシングとしても使用できます。手軽に、さまざまな取入れ方ができるので、無理のない脂質の摂取が可能となります。
運動時のエネルギーになる
ケトジェニックダイエットにMCTオイルがオススメである第3の理由は、運動時のエネルギー源にもなることです。
ケトジェニックダイエットで糖質を制限し、脂質を増やすと、エネルギーが不足することがあります。
なぜならば、一般的な脂質は消化に時間がかかるため、食べてすぐにエネルギーになってくれないからです。
その点、MCTオイルは一般的な脂質より4倍ほど速く消化・吸収されるため、速やかにエネルギーを生み出せるのです。
また、MCTオイルには「DIT」の効果もあります。
DITとは「Diet Induced Thermogenesis」の略で、日本語では「食事誘発性体熱産生」といいます。エネルギーを摂取することで体温が上昇することです。
一般的な脂質の場合、DITはあまり多くないのに対し、MCTオイルは急激に吸収されるため体温の上昇は高くなります。DITが多くなることで、エネルギーアップにつながるのです。
以上のような性質があるMCTオイルは、運動時のエネルギー補給に向いています。糖質に依存しないエネルギー補給が可能な点もうれしいポイントです。
トレーニング時ならば、プロテインに混ぜて飲んでも良いでしょう。MCTオイルをプロテインに混ぜることにより、血中アミノ酸濃度・エネルギーの双方を高い状態に保ってトレーニングできます。そのため、筋肉の分解を防げます。
MCTオイルとプロテインを混ぜるメリットや混ぜ方は、以下の記事でも詳しく解説しています。
ケトーシスに素早く移行するためのMCTオイルの摂り方
ケトーシスに素早く移行するためのMCTオイルの摂り方は、どのようにすれば良いのでしょうか。
まず前提として、ケトジェニックダイエットをする際には、「PFCバランス」を意識することが大切です。
PFCとは「たんぱく質(Protein)」「脂質(Fat)」「炭水化物(Carbohydrate)」の頭文字を取ったものです。PFCバランスとは摂取カロリーのうち、たんぱく質・脂質・炭水化物が占める比率のことを指します。
ケトジェニックダイエットをする際は、PFCバランスが3:6:1になるように意識し、中たんぱく・高脂質・低糖質の食事をすることが大切です。
糖質をゼロに近くし、その代わりに脂質を多く摂取するためには、食事は肉・魚・チーズなどの高脂質食品を中心とするのが良いでしょう。
脂質の摂取は、あくまでも食事からおこなうのがメインです。そのうえで、一日30g程度のMCTオイルを摂取すれば、理想的なPFCバランスが実現できます。
まとめ
消化・吸収が一般的な脂質と比べて4倍速いMCTオイル。ケトジェニックダイエット中に摂取することで、ケトン体産生の効率アップ、脂質の摂取不足解消、運動時のエネルギー生成など、多くのメリットを得られます。
中たんぱく・高脂質・低糖質の食事に加え、コーヒー・プロテインなどに混ぜる、あるいはサラダのドレッシングに加えるなどしてMCTオイルを摂取するのがオススメです。
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監修者情報
山本 義徳(やまもと よしのり)
1969年静岡生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ボディビルダーとして国内外の大会で活躍。世界2冠を獲得する等、数多くの優勝経験を持つ。その後、アスレティックトレーナーとしてメジャーリーガーやJリーガー、総合格闘家等幅広いクライアントへトレーニングおよび栄養指導を行う。2019年4月にトレーニングのノウハウや食事、ダイエットに関する情報を発信する『VALX 山本義徳 筋トレ大学』を開設し、登録者数72万人を突破。2024年8月には、更に深い知識やより細かいメカニズムを徹底解説した動画コンテンツ『筋トレ大学PRO』を新たに開設し、より上級者に向けたトレーニングや健康に関する情報を発信している。
【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる
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